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できないという当たり前

アパートに引っ越したが、8月完成予定のプールがまだ全然できていない。
窓から見えるこれを、帰ったら一番で見るのが日課になった。
コツコツ進んでいく工事を見ながら完成を想像して気が遠くなる。
夏のうちに入れるんだろうか?

アメリカに来て2ヶ月あっという間に過ぎてしまったけど、
結構キツい2ヶ月だった。
はっきり言って30歳を過ぎたら生活する上でできない事なんて殆どない。
と言うか、できない事やしたくない事はやらなくても生活できていたし、
仕事に関してはできるのが当たり前で、その先を求められる立場だった。
その当たり前の生活が一変したのだ。
こっちに来て私は旦那さんの助けがないと何もできなくなった。
子供みたいに。

そもそも仕事で外人モデルなどとも会っていたし、
友達の友達の外人とも飲んだりしていたから免疫はあるつもりだったが、
全然だめだった。
アメリカ人に対してどう接していいのか分からなくなったのである。
だって言ってる事は分からないし、伝えたい事は出てこない。
それでイジけたって何もならないのは分かっている。
そこだけは大人だった。

夏休みだけどやってる週一回のESL(教会が主催する無料の英会話)
に行く様になって益々落ち込んだ。
来てる日本人は留学経験者ばかりで普通に英語で話していたし、
(若い女の子5人中5人が留学経験ありってどんだけー)
お年を召した婦人も「私何年も住んでるけど全然話せないよー」と
言いながらペラペラ話していた。(謙遜が美学の世代か?)
できない自分に苛立った。
できない自分が情けなかった。
でも私にとって、できないと開き直るのが第一歩だったのかもしれない。
分からないとか通じないとかは今当たり前で、どうでもよくて、
そんな事より人対人っていうのを忘れてた気がする。

開き直った私は何言ってるか分かんない先生の隣を陣取って
冗談で「I agree」を連発してみた。
そしたら「お前俺が何を言ってもagreeって言うんだろ」って
笑いになった。
あー。これこれこの感じだと思った。
楽しめれば、努力も努力じゃなくなるのだ。

アメリカに来て2ヶ月、
何度か行ったお店で掛けられる英語が聞き取れる様になった。
自己紹介がすんなり出る様になった。
テレビを観ていて言ってることが偶に拾える様になった。
話せる様になるまでの道のりは気が遠くなるけれど、
全ては一歩ずつしか進めない。

「結果を大事にするのではなく、過程を楽しむのが大事」

なんだと改めて思う。
プールは早く作って欲しいけどね。



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