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動物のグリーフ(死別の悲しみ)

皆さんは、動物も死別の悲しみを感じると思いますか。
私は、自分のペットの行動や、知人のペットの話、動物関連の本(特に動物行動学)等から、やはり「動物も、死別を悲しむ」と考えています。

一般的によく言われるているのは、
「擬人化してはいけない」
「動物は、人間ほど知能が高くないから、理解していない」
「いつもと違うことへの不安で、悲しんではいない」
などです。

確かに、いつもいる誰かがいなかったり、人間たちの様子が違えば不安は感じるでしょう。擬人化についても、一理あると思いますが、喜び、愛情は、動物にもあるので、少なくとも家族や大切な仲間が居なければ、寂しいと感じるでしょうし、死もちゃんと理解しており、悲しみを感じていると思います。もちろん種により状況は異なるでしょうから、全ての動物が、人と同じような悲嘆反応(泣く、悲しむ、落ち込む等)を示すとは言い切れませんが、少なくとも私の知っている犬や猫たちは、寂しさや悲しみを感じていたと、私は確信しています。同じく、一緒にくらしているチンチラのけだまも、感情を表現する動物なので、私が長期不在から戻った際は、「戻ってきた!心配してたよ」とでも言いたげに、私に毛繕いしたり、ずっとそばに居たので、単なる不安ではない感情があると分かります。

ネズミ(チンチラはネズミの仲間です)の悲嘆反応ではないですが、かなり共感性が高い動物であることが分かる記事です。

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO56842680W0A310C2000000/


ところで、実家の半野良クロちゃんの場合

母が急死してから、あっという間に1か月過ぎましたが、家に入るたびに、まず母の祭壇のある部屋へ行くようになりました。

「おばちゃんがいない」

と、探しているように見えて、父はクロちゃんに、「おばちゃん居ないねぇ」「おばちゃん、居なくなっちゃったんだよぅ」と話しかけては、クロちゃんを見ていて胸を痛めている様子。

クロちゃんが、ホントに母を探しているのかは不明ですが、母の死後、しばらくは、一緒に寝てた場所へ近寄らなくなりました。しかし、数日たっても母が戻ってこないため、今はその場所で寝ています。まだ母の匂いが残っているのかもしれません。

ちなみに、その場所というのが、母が亡くなる約2か月前に他界した先住猫(家猫)が母と一緒に寝ていた場所です。
その先住猫が亡くなった時、クロちゃんは、暫く部屋に居座らなくなったり、先住猫が寝ていた場所に近寄らなくなったり、しばらくウロウロ(探している様子)していました。そして、先住猫がもう戻らないとわかったのか、母と一緒に寝るようになったそうです。

半分野良猫のクロちゃんは、先住猫や母が居なくり、悲しいかどうかはわかりませんが、寂しさは感じているように思います。環境の変化による不安だけで、1か月以上も、母の祭壇のある部屋を気にするでしょうか。
また、母の代わりにクロちゃんの呼びかけに応えて、部屋へ招き入れたり、ご飯をあげたりしている私の事は受け入れたようで、膝の上にのり、ふみふみ(甘えている仕草)をするようになったことから、環境の変化には順応しているように思います。それならば、クロちゃんが感じているのは、環境変化による不安だけではないように思えます。

この記事を書きながら、「私が知らないだけで、すでに答えが出ているのでは?」と思い検索したところ、以下のような記事を見つけました。

https://cat.benesse.ne.jp/withcat/content/?id=63337


動物の死別の行動については、様々な報告があります。有名なものは、象、カラス、チンパンジーの葬儀のような行動です。また、わが子を亡くしたシャチの母親の行動もよく取り上げられています。

動物の悲嘆反応については、意見が分かれるようですが、「擬人化」といってしまうのは、あまりにも人を中心にした考え方だと思います。
これまで様々な動物の実験を通して、人の心理や発達、行動など解明してきました。ハーローの赤毛ザルの実験、ケーラーのチンパンジーの洞察学習、セリグマンの犬の学習性無力感など。
これらは「擬人化」ではありません。むしろ、人も動物たちと同じという事です。

結論

科学的根拠はないですが、動物と暮らす飼い主として、少なくとも「犬や猫は死別による悲しみを感じている」と思います。そして死別経験はないですが、恐らくチンチラなども同様ではないかと推測します。ただし、人間同様、悲しみを感じるには、その相手との関係性により異なるでしょう。半野良猫のクロちゃんは、父や私に甘える時間の長さや、以前は見られなかった母を探すような行動が1か月以上続いていることから「寂しさ」は感じているように思います。ただし残念ながら「悲しい」かどうかはわかりません。
それでも、悲嘆反応は、個人差があるため、半野良猫のクロちゃんも、やはり死別による悲しみを感じていると言えるのではないでしょうか。

前に書いた愛犬のグリーフはこちら


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