見出し画像

「国土交通グリーンチャレンジ」に込めた30年後のインフラへの想いを聞いた

 国土交通省は2021年7月に国土交通省管轄の社会インフラ分野での脱炭素化を促進するための重点P J を定めた「国土交通グリーンチャレンジ」を発表しました。

 大きく分けてそのP Jは、6分野に分かれます。 

1スマートで強靭なくらしとまちづくり 
2交通・物流・インフラシステムの構築
3港湾・海事分野
4自然共生地域づくり
5交通・物流
6インフラのライフサイクル全体でのカーボンニュートラル、循環型社会の実現 

これら6分野では、「国土・都市・地域空間、そしてそれらを行き交う移動手段におけるグリーン社会の実現に向けた分野横断・官民連携の取組推進」を目的として様々な施作が順次実施されていきます。 

今回の「脱炭素の今」では、国土交通省 総合政策局 環境政策課 地球環境政策企画官 大井 征史氏に 「グリーンチャレンジ」に込めた想いと今後の社会インフラにおける脱炭素化の展望について伺いました。 


「脱炭素」は一部の業界だけが取り組むものではない
社会全体の取り組みがあってこその実現


ー発表された「国土交通グリーンチャレンジ」では、脱炭素の先を見据えたグリーン社会の実現に焦点を当てているのが印象的でしたー

大井:「みなさん、ご存知の通り我が国では2030年度では、2013年度比でマイナス46%の温室効果ガスの削減を目標としていますが、その中で、国内のC O2排出量に関わる5割は国土交通の管轄となります。 全体の約2割が運輸部門、そしてビルや住宅など民生部門(業務・家庭)で約3割を占めます。

このように広い分野で関わってくることから、脱炭素という観点だけで切り取るのではなく、脱炭素化のその先を見据えた社会構築を目指して脱炭素化だけにフォーカスせず「グリーン社会の実現」と設定しました。

画像3

 最終的なゴールとしては、いかに持続的で豊かな社会を実現していくかというところです。その中で、脱炭素化をし、気候変動にも適応し、そして自然とも共生していかないといけないわけです。 
脱炭素化の占める割合は非常に大きいのですが、それでも脱炭素にだけフォーカスすると片手落ちになってしまいます。国交省は様々な分野が絡み合って30年、50年続くインフラを作っていくので長期的な視点で動いていく必要があります。

だからこそ、ダイレクトに脱炭素という形でなくても色んな方面から、最終ゴールとしての「グリーン社会」を目指していければという想いを込めて立案しています。」

 ー発表後の反応はいかがでしたか? ー

大井:「業界ごとに反応は様々ですが、いわゆるその業界を牽引しているリーディングカンパニーの方々たちはこれまで以上に強くその想いを固めていただいたのではと思います。中小企業の方に向けては、今後施策を通じてより環境配慮の取り組みにつながりやすいように促進を進めていきたいたいと思います。」


脱炭素技術開発は一斉に世界でスタートしたばかり
ビジネスチャンスとして捉えてほしい


ー6分野全てにおいて、新しい技術が取り組みの要になってくるかと思います。現状はどのようなな状況なのでしょうか?ー

 既にいくつかの企業では化石燃料を再生可能エネルギーに置き換える技術開発を進めていますが、同じ技術でも適応領域によって課題があります。
 先日、ある地域での蓄電池によって運行する電車とバスの実証を視察しました。電車ではダイヤの運行を妨げないように限られた時間で搭載する蓄電池の充電をきしなければならず、充電は急速に繰り返し行われるため、バッテリーの早期劣化が課題となっていました。
一方で、バスの運行は蓄電池の劣化を避けるためためにゆっくりと時間をかけた充電を行うため、電車ほど高頻度な運行を行わないスケジュールとせざるを得ないようです。
このように同じ蓄電池でも電車とバス両方でのケースでの課題を解決できるように、急速な充電にも耐えられるような蓄電池の開発が急がれています。 
または、夜間での充電で翌日ずっと持つような大容量かつ軽量な蓄電池でもいいかもしれません。

今世界で一斉にヨーイドン!と脱炭素化に向けた技術開発がスタートしました。

画像2

日本では、なんとなく削減しないといけないと、C O2削減に対しての負い目を感じている感覚になっている可能性が多少あるような気がします。
しかし後ろ向きな取り組みではなく、ここで技術を世界でいち早く確立すれば、世界でトップシェア取ることだってできます。だからこそ、脱炭素の先駆者になればものすごいビジネスチャンスになると思います。日本であれば、そういった技術の確立ができる力を持っていると思います。 なので今回発表しました、6分野での促進に関して、企業がどう受けとって進めていくかが肝だと思います。 」

ー取り組みに対する意識を変えていくということも重要ですねー

大井:「そうですね。例えば、住宅販売では太陽光パネルを設置ありきの住宅販売も増えています。住宅展示場でも そのような住居が展示されていて、作る側でも買う側でもそのような考えが既に浸透していることを体感しました。 
企業の皆様によって新しい環境配慮の価値を作っていくことで、カスタマーにも浸透していくことでしょう。 

そして、ここから目に見える形で様々な場所で、段々と変化がみて取れるようになると思います。 国交省の管轄は身の回りで触れるものが多いですが、乗り物が変わったり、水素ステーションが街中で増えたり 肌で感じられるようになっていくと思います。

画像3

2030年に向けて様々な変化が暮らしの中で見かけられるようになると思うと楽しみですし、人の思いも変わっていくと思います。 そうした、産業界が起こす身近に感じられる変化から、2030年マイナス46%を達成していきたいと思います。」

有難うございました!

取材:株式会社グリッド
https://gridpredict.jp/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?