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【清水由起のデータから読み解くギフト事情 vol.2】行動制限解除で一部回復も、その在り方を問われるフォーマルギフト


コロナ禍を経て、その在り方や必要性まで問われ始める

フォーマルギフトとは、冠婚葬祭や人生の節目、慣習的な季節行事などの特別な場合に贈る「儀礼ギフト」と定義している。こうしたフォーマルギフトは、人生に寄り添う習慣として古くから社会に根付いており、「人情」「恩」「義理」を美徳とする日本人のコミュニケーションにおいて非常に重要視されてきた。
しかし昨今は、ライフスタイルの多様化、儀礼や人付き合いに対する価値観の変化によって、フォーマルギフトは縮小傾向にある。また、少子高齢化や核家族化もフォーマルギフトを贈る機会の低下を招き、この傾向に拍車をかけている。さらには、中元・歳暮など企業の虚礼廃止傾向も、フォーマルギフトの低迷に大きく影響している。
加えて、コロナ禍では冠婚葬祭イベント自体の開催中止・延期・縮小を余儀なくされ、市場は大打撃を受けた。現在はプラス成長が続いているが、これはコロナ初年度に大きく落ち込んだからであり、依然としてコロナ前の水準には届いていない。
なお、コロナ禍を経て、そもそもの冠婚葬祭の在り方、それに伴うギフトの必要性までもが問われるような状況になっている。結婚式を挙げないナシ婚、家族葬、香典辞退なども一般化してきた。現状ではこれを大きく転換させるほどのプラス要因もないため、市場は今後も間違いなく縮小傾向が続くと見られる。

トピック1:高齢者向けフォーマルギフトは引き続き好調

低迷しているフォーマルギフトのなかにおいて、高齢者向けギフトが伸長している。「長寿祝い」では、贈られる側の人口増加及び高年齢化に伴い、子、孫・ひ孫といった贈る側の人口も増えている。また、贈る側の年齢も高まり経済的な余裕が生まれていること、相手が身近な存在であればあるほど高額の商品が贈られる傾向にあることから、「長寿祝い」の発生件数、単価ともに拡大している。
「病気見舞い・快気祝い・返し」では、頻繁にお見舞いに行くことができない代わりのコミュニケーション手段として、ギフトが利用されている。入院中に役立つ日用品や食品などを集めたお見舞い用のカタログギフトや、オンラインお見舞いチケットといったソーシャルギフトも開発されており、気軽に贈りやすくなったことも市場拡大を後押ししている。


トピック2:成年年齢引き下げで成人祝い市場拡大なるか

2022年4月から民法が改正され、成年年齢が18歳に引き下げられた。これによって、2022年4月1日時点で18・19歳の人は2022年4月1日に成人となり、それ以降に18歳になる人は、18歳の誕生日から成人になることとなった。
成人式については従来通り20歳を対象としている自治体がほとんどであるが、政治参加という意味合いにおいて学校で成人としての心構えを学ぶこともあり、18歳を迎える子息を持つ家庭にとっては節目がひとつ増えたと捉え、会食の開催や、ギフトを贈る家庭は見られている。よって、今後は祝福される年齢が倍増(18歳と20歳に対するお祝いが発生する可能性)することになるため、少子高齢化による縮小幅をカバーするだけでなく、2021年以前よりも大きな市場に成長する要素になっていくことが期待される。


著者:清水由起
ギフトアナリスト。 株式会社矢野経済研究所で、ファッション関連の消費財分野や複合商業施設のマーケティングを担当。業界唯一のマーケティング資料「ギフト白書」を統括し多様化するギフト業界を体系的に調査している。 ギフト研究所特別顧問


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