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【解説】第7話 全力で学振をとるにゃ!

まとめ本に収録した各トピックの解説を掲載

ここでは学振の特別研究員の紹介のために「学振を取る」というメインテーマを挙げながら、アンフェアな研究の世界を裏テーマとして扱っています。
  
博士課程の学生を対象とした日本学術振興会(学振)特別研究員(DC)は日本の代表的な奨学金制度(給付)です。日本の博士課程の学生は海外のような金銭的サポートがないとよく耳にしますが、学振がそれに相当するのではないかと思います。海外と一括りにするのはあまりにも大雑把ではあるのですが、例えばアメリカでPh.Dのプログラムに合格して奨学金を獲得する確率は学振DCの採択よりも難しいと聞きます。そして、アメリカのPh.Dの学生が潤沢な生活費をもらっているかというと、そういうわけではなく、極々普通に生活できる程度の収入です。学振の月20万円(相当)と比較して格段に多いわけではありません。(アメリカポスドク時に海外学会参加のための建て替え払いで金銭的に困ったオフィスメイトの学生にお金を貸したことがあります)
 
博士課程の3年間を月20万円の生活費と年間100万円の研究費があれば非常に助かります。この月20万円は全国一律なため地域差など感じることがあるかもしれません。私は博士課程の学生だったころ友人とルームシェアをしていました。
 
M2の段階で博士に進学したいと思った時にはDC1の申請は終わっています。周りにDCの先輩達がいれば自ずと情報が入ってくるので学部生の頃から学振を気にして早い段階から対策を練ることができたりします。そういう環境にない場合は情報を自分自身で集めなければなりません。対策とは申請までに研究を進め論文などを準備するということです。
 
学振申請において意識の高い指導教員のラボかそうでないかというのは第6話の解説で出てきた研究室ガチャに相当するかもしれません。博士課程進学を見据えて3年生の時からしっかり教育してくれる先生もいると思います。学振を取らせるために小手先の技を使う先生もいるかもしれません。一方で、自分には誰も協力してくれなかった。とアンフェアだと感じることもあるかもしれません。
 
ダメだったら次。そして次はしっかり準備しよう。そういう心積もりで挑戦していくものだと思います。ダメだった時に、「どうすれば良いか?」と悩んで考えた経験はその後の大きな財産になります。

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