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沈黙する人びと~選挙からの排除:2023年統一地方選を振り返る

選挙中にずっと違和感があったのは、少なくともうちの自治体では、どの候補者も「子育て世代」と高齢者の方にしか向いていなかったこと。

多くの候補者が「~児のママ/パパ」をアピールし、子育て経験を強調していた。候補者の婚姻ステータスや子どもの有無はきわめて個人的な事柄で、政策とは別の話なのに。ものすごく違和感があった。自分に子どもがいないからかな? 子もちの人は違和感ないのだろうか?

そういうアピールをすればするほど、子どもがいない有権者(若者、単身者、子なしカップル)は、自分たちが排除されていると感じて、シラケてしまう。「誰も取り残さない社会へ」とみんな口では言うけれど、言ったそばから置いてけぼりにするよね。「社会的排除」の実例をまざまざと見せつけられて、凹みました。こうやって排除しておいて社会的に孤立すると、自己責任と言って叩くわけです。やりきれない気持ちでいっぱいだよ…。

少子化対策や子育て支援は今回の選挙でも中心的なテーマだったけど、本当にそれが社会全体で解決すべき課題だとしたら、「子育て世代」当事者だけではなくそれ以外の人たちも巻き込んでいかないと、やっていけなくないですか? 当事者にだけ訴えかけて、非当事者は蚊帳の外でいいんですか?
地域や職場で、出産や子育てをめぐって、非当事者(若者、単身者、子なしカップル)が当事者と関わる場面は当然あるし、利害が一致しないこともある。そういう時に対立しないでうまくやっていくには、個々人の努力や工夫だけでなく政治の力が必要です。制度設計とかそういう面でもそうだし、それ以前の政策・方針の呈示についてもそう。子どもの有無と子育て支援はとてもデリケートな領域なのに、ほとんどの政治家はむしろ分断をあおるようなアピールしちゃってるよね。

さらに言わせてもらえば、投票しない人たちは今や全体の半数を超える「サイレントマジョリティ」なんだけど、これは手つかずのフロンティアですよね?ここを動かすことができれば、ゲームチェンジできるっていう、政党や候補者もいるのでは。この金脈をいち早く掘り当てた勢力が、次の選挙で大躍進するかもしれないね。

でもって、このフロンティアはサイレントマジョリティなので、たぶん誰にも実態がつかめてない。だけど、子育て非当事者(若者、単身者、子なしカップル)がかなりの割合で含まれてるんじゃないか、という気がする。何かが「ある」「持っている」状態は外から見えるけど、何かが「ない」「持っていない」状態は見えないから、透明人間みたいになっちゃう。「ある」人たちにスポットライトが当たれば、「ない」人たちはその陰になって、ますます存在感がなくなるよね。

そういう人たちにも光を当ててくれるリーダーについていきたいな、と思う。

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↑ 市民団体「くらしにデモクラシーを!」の依頼を受けて、同団体のブログにコラムを寄稿しました。選挙後に行われたトークセッションの感想です。当日は「杉並の奇跡」の立役者も登板し、熱いトークが繰り広げられました。今回の選挙で一介の市民として感じたこと、各陣営への批判、民主主義の原点など、率直に書かせてもらいました。ぜひご覧ください。

↑ 選挙を機に、民主主義について改めて考えてみました。時間も手間もかかるけど、みんなで作り上げていく。だからエキサイティングなんですよね。



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