はむた@こやぎ村

いろんな事象についてつらつら書いてます。

はむた@こやぎ村

いろんな事象についてつらつら書いてます。

マガジン

最近の記事

生存戦略としてのコミュニケーションスキル

コミュニケーションスキルは、発信の側面が重視されがちだけど、まずは受信から始まるのだと思う。自分が何かを主張する前に、相手の意図を正確に読み取ることがなにより重要である。 これは生存戦略として不可欠だ。なぜなら、自分に近づいてくる相手がすべて善人というわけではないから。 悪意を持って、利用してやろうと思って近づいてくる者がいた時、すばやく察知して逃げるには、コミュニケーションの受信能力が発達していなければならない。 いわゆる”コミュ障”と呼ばれるような人たちは、もともと

    • 言葉だけがある世界

      Twitterとかnoteなんかが普及するようになって、いろいろと弊害も出てきてるけど、私にとってはすごくありがたいサービスで、これらの場ができたことでようやくモノが言えるようになった。 それ以前からブログだのホームページだのはあったけど、初期の頃は詳しい人じゃないと敷居が高かった。けっこう普及してから使うようになっても、ブログを書き始めてはやめ、また別のところで始めるという具合で、ぜんぜん持続しなかった。 今思うと昔のブログって、双方向性が弱いというか、今のSNSの機能

      • 批判を「消費する」人たち

        noteはSNSというよりブログだからそうでもないけど、Twitterなんかはもはや修羅の国と化している。長文と短文の違いは大きくて、長文を読んだり書いたりしていると冷静になるけど、短文をパパっと読み書きしていると、理性より感情が刺激されがちではある。 だからTwitterなんかのSNSで真面目に問題提起をしても、それに対する反応が真面目かというとそうでもなくて、ただ単に文句を言いたいだけの人たちの「いいね」が集まってしまうことがよくある。そういう人にとって、やり玉に挙げる

        • 選別される生と死

          某政党が推奨する「安楽死」の対象となるのは、今の40-50代。これらの世代が高齢者になった時、社会保障費節約のために、安楽死を強いられるおそれがある。だから、安楽死を説く政党をこの世代(氷河期・ロスジェネを含んだ)が支持するのは、文字通り自殺行為に他ならない。 尊厳死という名目であっても、同調圧力が強いこの国で、どこまで個人の意思決定が尊重されるか? はなはだ疑問である。 個人の生死を本人以外の他者(ないしは何らかの権力主体)が決定する……あるいは決定を左右する……それは

        生存戦略としてのコミュニケーションスキル

        マガジン

        • よのなか
          13本
        • 誇り高く生きるには
          6本

        記事

          【読書メモ】中西新太郎『若者保守化のリアル』2019年, 花伝社

          資本主義下の労働力として最適化するために、若年層が脱政治化され、個として切り離されていく過程が書かれている。若者は政治に関心がないのではなく、関心を奪われていったのです。 安倍政権下で新自由主義イデオロギーが強化され、若年層を含めて立場の弱い人々が集団性を奪われていった。その結果、雇用や孤立などの問題に直面した際に、社会問題として社会全体で取り上げるのではなく、個人の問題として抱え込むことに。(かつて不良少年たちに開かれていた、「暴走族を卒業後はOBの紹介で地元で働く」など

          【読書メモ】中西新太郎『若者保守化のリアル』2019年, 花伝社

          「居場所」考

          「居場所」がブームですね。いわゆる「生きづらさ」を「抱えた」人たちが集まって「心を癒す」場所のようです。猫も杓子も居場所に行きたがるし、居場所を自分でやりたがる。私も一瞬やってみようかと思ったけど、すぐ断念しました。そういう人たちの相手ができるほど心優しくはないので。 かつてひきこもりがちだった時分にも、「居場所」なるところにはほとんど行ったことがない。「ひきこもり界隈」とも無縁でした。「ひきこもり」状態を脱してから ”界隈” にほんの少し関わりができたのは、皮肉なことです

          【読書メモ】マーク・クーケルバーク『自己啓発の罠』青土社, 2022年

          テクノロジーは自己啓発を加速する。私たちのデータを集めて測定し、目標を定めて駆り立てる。デバイスを便利に使いこなす人は、実のところ、デバイスに使われてしまっている。 スマートウォッチをつけてる人を見ると、うすら寒い気持ちになる。きわめてプライベートなデータ――睡眠時間や運動の頻度や血圧――を握られていて、事あるごとに通知が発せられ、言われるがままに動かされる。従順さを教え込むために、テクノロジーはあるのかもしれない。 そして私たちは「破滅するまで自己啓発を行う」。そこから

          【読書メモ】マーク・クーケルバーク『自己啓発の罠』青土社, 2022年

          昼寝のすすめ~スキルアップの限界

          10年以上も前のことですが、ブラック気味な会社でパートしてたとき、「週2日勤務を3日に増やしたい」※と言ってみたんです。そしたら驚愕の答えが返ってきた! 「Access使えるとか、プログラミングできるとかなら、考えてもいいかな」 あのー、もしかして時給1000円ちょっとで、その仕事やらせようとしてます? 思わず目が点になっちゃいましたよ。 パソコン登場以降の事務職って、求められることが恐ろしく高度化してますよね。パートとか派遣であってもExcelやWord、パワポは使え

          昼寝のすすめ~スキルアップの限界

          当事性を奪う者たち~ひきこもり界隈の動き

          話のネタに、吉祥寺くんだりまで「ひきこもり」関係のトークセッションを聞きに行きました。 名古屋で支援活動にたずさわる山田孝介さんと、都内で当事者活動をしているぼそっと池井多氏とのトークセッションでした。 山田さんのおかげで、東海と関東では活動のあり方がどうちがうのか、知ることができました。2000年代から今に至るまでの、ひきこもりをめぐる活動の経緯と傾向についてもお話しくださり、たいへん勉強になりましたよ。 ぼそっと氏はあいかわらずでしたね、わかりにくさが。この点に関し

          当事性を奪う者たち~ひきこもり界隈の動き

          誰のための支援か?~「ひきこもり基本法」を考える

          KHJ全国ひきこもり家族会連合会という団体が、ひきこもり基本法(案)への意見を募集してたので、書き送りました。本人や家族だけでなく、「関心のある一般の方」でもOKとのことなので。そんな奇特な人どこにいるの?って話ですけど、ご興味がある方はぜひ。1月20日までです。 この団体はずいぶん熱心に法制化に取り組んでて、裏金やカルトの問題で有名な大物政治家にも働きかけてるみたいですね。 以下に私が書いた意見をのせておきます。 「ひきこもり」の定義があいまいで議論が紛糾している段階

          誰のための支援か?~「ひきこもり基本法」を考える

          「ひきこもり」の定義をめぐる問題~自己責任を超えて社会問題へ

          前回の続きです。 「ひきこもり」とか「不登校」とか言う名詞を無批判に使うから、レッテル貼りになるのよね。 問題と人が一体化し、その結果、自己責任論の侵入を許してしまうのです。 だから、社会的孤立、社会不適応、学校不適応と呼ぶべき。そうすれば、主体と環境と目的が分離される。「誰が」という主体が立ち上がり、「何に」適応できないのか、という方向性が生まれる。適応できないのはなぜか?と社会を問う契機も得られます。 このような問題を論じる際に、かつては「社会的」という枕詞が必ず

          「ひきこもり」の定義をめぐる問題~自己責任を超えて社会問題へ

          いまこそ立ち上がれ140万人の「ひきこもり」たちよ(と煽ってみる)

          昨年4月のNHKの番組出演をきっかけに、ひきこもり界隈の闇を垣間見てしまいました。※以下のマガジンに関連記事あります。 この界隈がはらむ矛盾をテーマに発信してる人は、私の他にいないわけじゃない。だけど、その人たちは当事者または少なくとも当事者を自任しているから、問題との距離感が近いようです。 彼らは自分の体験や立ち位置を起点として語る。当事者目線としてそれはそれで貴重な意見ではあるけれど、社会的な視点に欠けてるように感じます。支援団体やマスコミへの批判も、核心を突いてるこ

          いまこそ立ち上がれ140万人の「ひきこもり」たちよ(と煽ってみる)

          コミュ力の謎

          10年以上も前のことだけど、やたらとコミュニケーション能力が重視されていた時期がありました。コミュ力がないと就職できないとか言われて、「コミュ障」という差別語が生まれましたね。最近は人手不足もあって、そこまで「コミュ力」を求められることはなさそうですが。 ずっと疑問だったんですが、「コミュニケーション能力」っていったい何なんでしょうか? コミュ力の有無って、どう判断するの? 自分と似ている人が相手なら、コミュニケーションは円滑ですよね。背景や価値観などの前提を共有している

          【読書メモ】自己啓発教のゆくえ~『セラピー文化の社会学』を読んで

          自己啓発セミナーやカウンセリング、ネットワークビジネスなどの心理学的手法が、いかに社会に浸透したか、個人の内面に入り込んで支配していったかを追跡した本です。 宗教との類似性を指摘する箇所がありますが、これらのポジティブ心理学的自己啓発主義は、宗教なき後の宗教として、人々の心のすき間に入り込みます。そして、知らず知らずのうちに社会全体を覆っていくのです。 自己啓発系の手法は俗世の競争原理をデフォルメしたもので、自分を強くする方向へむかうし、世俗の論理を強化する。その一方で、

          【読書メモ】自己啓発教のゆくえ~『セラピー文化の社会学』を読んで

          労働と信仰

          よかったこと探し、というのを以前勤めていた会社でやったことがあります。最近起こった出来事の中で、ポジティブなものだけを取り出して、朝礼でひとりずつ発表させられるのです。 幸せ、感謝、やりがい……前向きで積極的な姿勢が大事ですよ!と上司が変な笑顔で迫ってくるんですよ。ただでさえ朝から疲れているのに、馬鹿々々しくて情けなくて、今にも倒れそうでした。それでもみんな、疲労とストレスでどす黒い顔をしながら、いろどりの乏しい生活の中から無理やり明るい話題を探そうとしてましたね。 ……

          暇と労働

          だいぶ前に、ある会社で働いていた頃、別の部署に勤続数十年のベテランパートさんが数人いました。 「若い人は入ってきてもすぐやめちゃうのよ」と彼らは嘆くんです。そりゃそうだ。お局だらけの職場で働くのは神経使うしね。彼らのせいで若い人の時給は減らされ、若い人がその職場で少しでもステップアップする機会は奪われる。いつまでも下っ端で時給は上がらないときたら、早々に辞めるのは無理もない話でしょう。やってられないよね。 ベテランパートさんたちはいいところの奥さんぞろいで、金銭的にはとて