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#024 農業×防災 第4話:巨大災害に対する「国」の備え


皆さん、こんにちは。
いつもブログをお読みくださり、本当にありがとうございます。

第1回から3回にわたり、南海トラフ巨大地震と富士山噴火の脅威についてお話しましたが、今回から具体的な備えの話に移っていきたいと思います。

第4回目の今回は、「国」目線の備えの話を、次回第5回目で「個人」目線での備えの話をしたいと思います。

それでは引き続きお読み下さると嬉しいです。

巨大地震と火山噴火の脅威

簡単におさらいしますと、巨大地震と火山噴火の直接的な脅威は次の通りです。

まずは「揺れ」そのものです。

この揺れが原因となり、家屋の倒壊、その他インフラの破壊、土砂崩れ、地割れ、隆起、液状化等が発生します。ちなみに、津波の原因は簡単に言うと海底の隆起によって海そのものが壁のように陸に押し寄せる現象の為、厳密にいうというと揺れ→隆起→津波の順と言えます。

加えて「噴火」が原因となる直接的な被害は、主に溶岩流、噴石、火山弾、火砕流、火砕ゲージ、火山灰、泥流、岩なだれです。

被害軽減に向けた備え

巨大災害の直接的な被害を考えてみた場合、「人的被害」と「インフラ被害」の二つに分けられます。

ここから、この被害を限りなく軽減する為に必要な備えについて考えてみたいと思います。

結論から言いますと、この二つに対する具体的な備えは「人口分散」と「国土強靭化」だと私は考えます。

その理由について順に説明していきます。

まず、「人口分散」についてですが、現在の日本の人口は約1億2500万人です。

人口と居住地の関係を見てみると、首都圏に約4300万人が住み人口に占める割合は34.5%と日本人の約1/3が首都圏に暮らしているという状態です。

冷静に考えてみると、いくら山林が多い日本の国土とは言え、約1/3が首都圏に暮らしているというのはちょっと普通ではないように思います。

更に東京都に住む人は、その1/3の約1400万人です。いくら大企業の本社や行政機関の中央部が集中しているとは言え、あまりに偏りすぎていると思わざるを得ません。

このような場所に巨大災害が発生した場合、その被害規模や国内経済への影響は想像に難くありません。(このシリーズで取り上げている事例で申し上げると富士山噴火の影響が具体例ですが、当然いつどこで起きるか分からない首都直下地震も忘れてはなりません)

従って、このような極端な人口の密集状態は避け「人口分散」を図る事は被害を軽減する方法として非常に有効だと考えます。

そしてこれは「南海トラフ巨大地震」の直接的な影響下として想定される大阪や名古屋などの西日本、中日本の大都市も同様の事が言えます。

このような事を言うと、「首都機能を移転しろというのか?」と言う声が聞こえてきそうですが、私の考えはそうではありません。さすがに首都移転は様々な面でさすがに現実的ではないと思います。

なぜ東京一極集中?

しかし、ここで少しだけ考えてみたいのは、かねてから巨大災害が懸念されるこのような土地になぜみんな住むのでしょうか?(もっとも、日本列島は地震の巣窟なので安全な場所はないとは思いますが・・・)

その理由について考えてみたいと思います。

危険と分かっていても大都市に住む理由・・・私が思うにそれはシンプルに便利だからだと思います。

仕事で東京によく行きますが、便利か不便かで言ったら当然、便利です。

電車はすぐ来るし、バスもいつでもどこでもたくさん走っていて、特に時刻表や路線図を見なくても大体何とかなります。高速道路も東西南北、環状に張り巡らされ、羽田空港も成田空港のターミナル空港もある。

当然、生活に必要な物は大体の場合は徒歩圏内に揃っています。首都なので、行政機関のトップや諸外国との窓口機関も集中しており、大学や専門学校等の教育機関も量と質、共に揃っています。

という事はつまりそれだけ東京には仕事があるという事ですし、そうなれば様々なビジネスチャンスが生まれます。

そうなれば当然、人が集まり様々なカルチャーが生まれ融合し、その魅力が更なる人と仕事を集めます。我々の社会を構成しているのは他でもなく、我々人間ですので、人が人を呼び込む循環が生まれます。その流れの土台を作っているのが、圧倒的な利便性です。

なぜ地方は人が少ないのか?

では逆になぜ地方は人が少ないのでしょうか?

東京及び首都圏の例に照らし合わせてみると、その答えは不便だからです。

不便な場所は非常に暮らしづらいものです。

幹線道路が整備されず、道は狭く複雑。高速道路も通らず、当然空港もない。電車やバスが少なく、生活用品や家電は車で数十分かけてどでかいイオンかドンキに買いに行く以外選択肢無し。

徒歩圏内の商店街は半分シャッター通り。高校や大学も少子化のあおりを受けて統廃合が進み、選択肢が限られる。

人が少ないとビジネスチャンスや機会も減り、雇用も失われていきます。

ただ単に人口分散を促すのは無理がある?

巨大災害に対する備えとして人口の分散が有効で必要だと頭では理解していても、そもそも不便な場所には住みたくない、というのが人の性だと思います。

そこで、先行して行うべき施策が「国土強靭化」です。

災害への直接的な予防としてインフラ整備、つまり土地開発、河川補強、トンネルや橋梁の補修や老朽化更新、迅速な支援物資供給の為の道路の拡張、
空港や港の整備等を行う事が災害時の直接的な被害の軽減に繋がる
事は言うまでもありませんが、それらの対策が結果的に利便性が向上する事で、自ずと「人口分散」に繋がっていくと私は考えます。

個人住宅に対する耐震工事は国が全面費用負担する制度とかもアリかもしれませんね。

その結果、人流と経済活動が活発になると思います。

ここまでの話をいったんまとめると、
・巨大災害時の被害軽減の為に必要な対策は「人口分散」と「国土強靭化」が必要不可欠である
・大都市部などの極端な人口密集を軽減する為に人口の分散が望ましいが、大都市に比べると地方は利便性が劣る
・そこでまずは大規模な「国土強靭化」を施し、インフラの減災能力を向上させると共に地方の利便性を向上させる
・地方が便利になる事で自ずと人流が生まれ、経済活動が活発になる

ニッポンから過疎地をなくす?!

理想的な状態としては、日本列島隅々まで幹線道路を整備し、橋をかけ、河川を補修し、最低片側2車線の高速道路を通し、新幹線やリニアを開通させ、空港は各県最低1個作り、北海道、宮城、東京、名古屋、大阪、福岡、沖縄を日本の主要拠点とした場合、それらどこかに、どこに住んでいても誰もが1時間程度で簡単にアクセスできる環境が望ましいと思います。

そうすれば企業も本社機能などを分散しやすくなります。

本社移転などに対しては移転費用は全額国負担、更に都道府県独自にタックスヘイブンみたいな制度を作って法人税減税などのインセンティブを与えれば良いわけです。

そうすれば自然と人も分散し、雇用も生まれ活性化する事でしょう。

勿論、外資系は規制・・・と言うと角が立つので国内企業を優先して優遇するのが良いでしょう。

「人口分散せい!」とおカミが言ったところで、所詮人々の意思は強制できませんが、しかし、一方で政治の力できっかけを作る事は可能です。

特にインフラ整備などがまさにそうですが、政治でなければできない事もあります。

予算については・・・そうですね・・・「巨大災害予防対策特別国債」とか何かそれっぽい名前で国債発行(貨幣供給)すれば良いと思います。

国の一大公共事業として大規模かつ、計画的、継続的に実行する事で雇用も生まれ、地方も活性化する事で、この日本から過疎地が無くなる事を期待したいと思います。

現在騒がれている人手不足は、本当の人材不足ではなく、仕事内容と賃金にアンバランスが生じて、本当に大事な仕事にリソースが回っていないだけの話とも言われます。

その代表例が農畜産業、林業、漁業、育児、教育、介護福祉、建築土木、物流。我々が毎日生きていくのに本当に必要な仕事ですよね。

そこにお金を大規模に環流させる事が出来れば、国土強靭化と経済対策が両立できますし、災害対策にもなります。まさに一石三鳥。

「国土強靭化」について、別に私は、「太平洋沿岸にすべて万里の長城のように分厚いコンクリートの壁をつくれ!」「それこそが国土強靭化だ!」と言っている訳ではありません。

文化、伝統、慣習、風俗に照らし合わせてリスクに対して適切に対処すべきだと言う事をお伝えしたいのです。

我々にはそのような技術、知恵、経験、人材(=国力)がある事を忘れてはならないと思います。

今日は「国」目線での災害への備えはどうあるべきかについて考えてみました。

次回は視点を下げて我々個人がどのように備えるべきかについて考えてみたいと思います。

本日も最後までお読みくださりありがとうございました。

続く・・・

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