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エモいと言えば済むのだけれど。
エモいと言えば済むのだけれど。
〜風景と言葉のアートワーク集〜
エモい、という言葉は便利だ。
好きな音楽を聴いた時、
季節の変わり目の香りを感じる時、
ふとした瞬間に心を揺さぶられる。
あ、エモいな、と感じる瞬間がある。
ただ、使い勝手がいい反面、
自分でも自分の感覚がわからなくなることがある。
何に心が動いたのか、
何がこの浮遊感をもたらしたのか。
エモいという言葉で済ませてしまうと、
自分の中の刹那的な何かが、
単純な3文字の後ろに隠れてしまうようで。
そしてシャボン玉が割れるように消えてしまうようで。
そんなわけでコロナ禍になって以降、
心が動いた瞬間をフィルム風カメラに収め、
その時の感覚を
短いステートメントで書き残してきた。
その中からいくつかピックアップしてみたい。
![](https://assets.st-note.com/img/1674536935194-0gyLpU8rdG.jpg?width=1200)
過ぎゆく季節とのディスタンスを感じる.
これは、コロナ禍が始まったばかりの春、
強制的にリモート勤務になったので
近所を散歩していた時に撮影したもの。
気づかないうちに桜は散ってしまっていた。
ソーシャルディスタンスだけでなく、
季節や自然ともディスタンスを感じてしまった。
![](https://assets.st-note.com/img/1674537241449-7qUfxx6CpE.jpg?width=1200)
誰かの日常を吹き抜けているからなのか.
海に面した、旅先の民家の間から見た風景。
海から吹く風は、家と家の隙間を通って
フェンスに干された洗濯物を揺らしていた。
自分が観光で訪れたこの場所は、
誰かの日常なんだということを知った。
ちなみに右端の黄色い部分は感光だ。
![](https://assets.st-note.com/img/1674537539920-YP3Bqqrxjb.jpg?width=1200)
空のレイリー散乱をテクスチャ化する午後.
5月の晴れた日の空。
カメラのアナログフィルタを通せば、
澄み渡った空にも質感が出る。
レイリー散乱で青々とした空は、
まるで手触りのあるテクスチャのようで、
穏やかな午後の時間が流れていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1674537674375-WR9pb3Ffxs.jpg?width=1200)
ペトリコールのないパラレル空間を見る.
雨の降る夜の道に、街灯が反射する。
ペトリコールとは、雨の日にアスファルトから
漂う匂いのことだ。
反射する街灯は、地面の裏のパラレルワールドに
逆さに立っているように見えて、
裏側のもう1つの世界線を想像した。
![](https://assets.st-note.com/img/1674538040273-2iXSdEfidA.jpg?width=1200)
波と共に流れゆく時間を愛でることだ.
なぜ人は川辺に座るのだろうか。
なぜ流れる川を見つめるのだろうか。
きっと、僕らは川の流れに身を任せるように
波と共に流れゆく時間を愛でているんだと思う。
ひとりで考えごとをする時間、
誰かと楽しくおしゃべりする時間。
それはゆっくりと、波とともに流れゆく。
![](https://assets.st-note.com/img/1674538277594-RSOjuoalKj.jpg?width=1200)
東京は今日も暮れて、今年も暮れていく.
2021年末の東京の風景。
マンションから漏れる光の1つ1つに、
誰かの暮らしがある。
人が息づく気配がある。
それぞれの日常を過ごしながら、
今日も東京は暮れていくし、
2021年も暮れていく、そんな風景。
6枚の風景と言葉を紹介させていただいた。
写真を見て、皆さんは何を感じるだろうか?
エモいと思った瞬間を切り取って、
言葉で表現すること。
それは、感覚と言葉を研ぎ澄ますこと。
自分と世界の関わり方をとらえること。
そんな体験って、
すごくエモくないですか?
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