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法律上で問題なければいいのか?

人間が社会で生活する以上、絶対に守らなければならないのは法律です。
ビジネスにおいても然りで、例えば賞味期限切れの食品を販売したら捕まります。ブラジルとコロンビアの豆しか使っていないのに「ブルーマウンテンブレンド」という商品名で販売するのも違法です。当たり前のことから細かいことまで、調べれば調べるほど法律というものはしっかりできているものだと思わされます。

しかし。
逆にいえば、法律上問題がなければ、逮捕されることはまずありません。むしろ、いかに法律の穴を見つけてビジネスを展開するかが、勝敗の鍵になることだってあります。

では、法律上で問題がなければ、何をやってもいいのでしょうか?

多くのコーヒー屋において、コーヒー豆の賞味期限は半年〜1年で表示されています。すなわち、例えば「賞味期限:2021年2月」と表示されているコーヒー豆は、2020年の2月に製造(焙煎)された可能性があります。これを現在(2020年12月)購入するとしたら、焙煎後10ヶ月が経過しているコーヒー豆ということになります。それも、焙煎したてと同じ価格です。また、豆の状態で売る場合と粉の状態で売る場合も、「粉」と明記するだけで事足り、賞味期限を短縮する必要はありません。

このパターンは、法律上は何の問題もありません。賞味期限以内ですから。

あるいは、現在法律上で「〇〇ブレンドという商品名にする場合は、〇〇に該当するコーヒー豆が3割以上含まれている必要がある」と定められています。そこでロブスタ種という高収量・低香味の豆を7割、ブルーマウンテン産の豆を3割ブレンドしたものを「ブルーマウンテンブレンド」という商品名で販売することは可能なのです。「ブルーマウンテン」というネームバリューは消費者目線でみれば高付加価値ですので、アラビカ種10割の豆よりも高額で販売できる可能性があります。

このパターンも、法律上は何の問題もありません。

さて。
多少なりともコーヒーに明るい方でしたら、上記の2パターンの豆がいかに美味しくないか、想像に難くないかと思います。ましてこの合わせ技(製造から10ヶ月が経過した、ロブスタ種7割の、粉の状態のブルーマウンテンブレンド)だった場合、そこそこの金額で購入した後の残念加減は、筆舌に尽くしがたいものがあります。

昨今、コーヒー業界では「2050年問題」ということで、2050年には日本で美味しいコーヒーが飲めなくなるといわれています。その原因は色々ありますが、私は上述してきたような「法律上問題ないコーヒー」が蔓延していることもあるのではないかと思うのです。
「法律上問題ないコーヒー」をビジネス視点で提供するコーヒー屋と、「コーヒーなんてなんでもいい」という消費者の需給均衡は、美味しいコーヒーが日本人の生活の質にもたらす付加価値を妨げます。消費者の意識を変えることは難しく時間もかかりますが、せめてビジネスでコーヒーを扱う方は、「法律上問題のないコーヒー」を提供することの恐ろしさを自覚していただきたいです。

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