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「ファーメンテーションコーヒー」について語る

近年、コーヒーのイベントや販売会でよくみられる「ファーメンテーションコーヒー」という用語があります。コーヒー業界ではたびたび「ゲイシャ」「ワイニー」「バレルエイジド」といった突飛な用語が話題となりますが、「アナエロビック」と同時に「ファーメンテーションコーヒー」が、最近はよく見かけるな、という印象があります。

ファーメンテーションとは

noteに限らず、いろんな方がいろんな場所で説明されているので、今更私が説明するまでもありませんが、ファーメンテーションとは「発酵」のことです。
コーヒー豆の原料であるコーヒーチェリーは、収穫されてから生豆(焙煎前のコーヒー豆)になるまで多くの工程を経ます。特に「精製」という工程の中で果肉の内側にあるぬめりを微生物による発酵でもって取り除くのですが、自然発酵で行う「ナチュラル・ファーメンテーション」、機械で発酵を促す「メカニカル・ファーメンテーション」、閉じた空間にして嫌気性発酵で行う「アナエロビック・ファーメンテーション」に分かれます。
それぞれの具体的な手法や効果はさておきに、いずれも「発酵」という工程に変わりはありません。また、ぬめりを取り除かない「精製」であっても、水分を伴って精製は行われるため、大なり小なり発酵は起こります。

ファーメンテーションコーヒーとは

さて、タイトルにも書きました「ファーメンテーションコーヒー」ですが、これは言うなれば「発酵を経て製造されたコーヒー」または「それを用いて淹れたコーヒー」という意味です。ただ、上述した通り、どんなコーヒーにおいても発酵はどこかの工程で行われているため、発酵を経ずに製造されたコーヒーというのは存在しません。すなわち、ファーメンテーションコーヒー=全てのコーヒーと言えます。
あるいは、「ファーメンテーションコーヒー=発酵工程にこだわったコーヒー」という論者もいらっしゃるかもしれません。しかし、ファーメンテーション=ferment(発酵させる)の名詞形である以上、「ファーメンテーションコーヒーじゃない=発酵の工程を経ていない」といった誤解を与える危険性を孕んでいるため、本当は使わない方が健全な用語と考えられます。

それっぽさを出すためだけの用語は避けよう

無闇に使用すると危険な用語は、コーヒー業界には少なくありません。冒頭でチラッと出しました「ワイニー」も、精製方法の一つですが、手法としては「ナチュラル」と差はありません。あくまでも環境要因で別の味わいが出やすいだけです。しかし、やたらと「ワイニー」を連呼して、「ナチュラルとどう違うんですか?」と質問された際に「ナチュラルよりもワインのような香味が出やすい精製方法です」と説明している方を見たこともあります。このように、消費者だけでなく提供者にも誤解を与えかねないため、世界的な統一基準があると便利なのですが、それよりもまずは、一人一人が「それっぽい用語を安易に用いて知ったかぶる」みたいなことがないようにすることが、肝要なのだと私は思います。

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