夏の夜に
目覚ましをかけないで寝てもいい夜。
私の身体は寝ることを拒む。
夜10時からの珈琲も当たり前だから。
寝るための身体の準備をすれば良いものを。
永遠にこの夜が続いてくれるような。
この時間と場所を私の意のままにできるような、そんな優越感が私を満たす。
なかなか眠れない(眠らない?)夜。
身を起こしてぼうっとしてみると、まるで濃紺の夜の海に私の小さな部屋だけが切り出されてあてもなく漂っているような。
そして気づけば、朝になる。
私の部屋はちゃんと、私の家という波止場に戻っている。
今日からは、目覚ましをかけて寝なきゃいけない。
ちゃんと1日を初めて、ちゃんと1日を終える。
その営みが、時に苦痛だ。
でも、昼間はもっと大きな船に、乗らないといけないから。
みんなと旅路を共にしないと得られないものもある。
今日も1日、また始めよう。
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