縛って欲しいASD
G並みに苦手
時にはきつく、またある時は優しく縛って欲しい。そんな事を意識して生活しているASD持ちもいれば、無意識に縛られたいと願っているASD持ちもいる。そんなASD持ちの人には朗報だ。ASDの俺が愛を持って『縛る』とはなにか、そして最高の『縛り方』を伝授しよう。
俺は『曖昧』というものがゴキブリ並みに苦手である。特に組織の中で働く時に困るのが上司から飛んでくる曖昧な指示だ。書類を渡され「これやっといて」とだけ言われた日には働く気すら起こらなくなる。何を、どのように、いつまでに、など細かい指示が必要になる。
「そのくらい察してくれ」と思って曖昧な支持を出しているのか「そのくらい自分で考えろ」と強気な姿勢で来るのかは分からないが、曖昧な指示とは要するに無限の可能性を秘めている。データをまとめるのか、書類をシュレッダーにかけるのか、破いてヤギに食わせるのか…と俺の頭の中は一杯なのだ。
他の例で言えば「少し」とか「多めに」とかは人によって量が違うだろう。「小匙一杯分」とかはっきり言わないと無駄に時間がかかるし、ずっとその後心配することになる。
このように普段の生活からASD持ちの人たちは苦労している。そんなASD持ちの人が快適に生きるには『縛る』必要がある。縛ることでASD持ちの人は個性を引き出せるし、パフォーマンスも上がるのだ。
ASDと音楽
ASDには数学や音楽が得意な人が多いという。これにはパターン認識が大きく関わっている。例えばピアノは白鍵盤7つに黒鍵盤5つの12のキーで構成されている。これは楽譜の五線譜をそのまま表している。五線譜を90度右回転させて縦に見ると鍵盤を正面から見ている形となる。これに加えて音符の種類(全音符、2分、4分、8分、16分)と拍子(リズム)が基本的な音楽の構成である。
もちろん他にも音階、(反復)記号など細かい部分もあるが、基本的には五線譜、音符、拍子が理解できていれば楽譜を読むことができる。ということはそれだけ理解していれば、あとは音符と拍子の並び順でありパターン化出来てしまう。楽譜通りに鍵盤を押せるようになるのだ。
音楽がパターン化が出来るのも音が非常に狭い範囲に縛られているからである。音とは振動であり、その振動パターン(周波数)は自然界に無限に存在する。その中からドの音が長さ1であるとした場合1オクターブ下のドは半分になり、(厳密には少し違うが)3分の2の位置にあるのはソ、4分の3はファ、と特定の周波数をある特定の音だと決めた。無限の中から12の音を絞りだしたのだ。
これをここでは『縛り』と呼んでいる。この投稿の書き始めを読んで、違う事を連想された方は俺と同類の人間かもしれない。
この縛りがなかったらASDが音楽を奏でるのは難しいだろう。無限にある音の中から、違う音を組み合わせて良い響きを作ることはパターンが多すぎる。(長い時間を欠けていれば結局は私たちの知るドレミに近づいて来るとは思うが…。)無限にある可能性(曖昧さ)それが12個までに縛るとパターン化しやすくなり、またパターン化が出来ると逆に得意になってしまうASD持ちもいるほどだ。
偏った制約
話は若干ずれるが、俺がASDを個性と呼ぶ大きな理由がこれだ。ある特定の条件を満たすとASDは大きな結果が出せる時がある。その条件を満たすのが難しいのだが、満たしたときの振れ幅がASDを持っていない人より大きい。
だからこそ特定の事に対して興味が偏っていたり、興味のある事柄に対して深い知識を持っていたりする。その条件を満たさないでいると社会からは『無能』扱いされ、社会の中では生きにくくなる。
最近再開した漫画HUNTER X HUNTERの中に登場する『制約』と『誓約』があるように、ASDには生まれつきの制約があるのだ。
愛を持って縛る
生きる意味で生きる意味は自身で見つけなければいけないし、選択できる自由もあると書いた。一般的なルートとして義務教育、高等学校などを経て、就職し、退職して、老後を生きる、が推奨されているように思える。これには国のあり方が関わっている。この国というシステムは私たちが生まれる前から存在していて、気が付かないうちからそのシステムに縛られ生きてきたのだ。ASDなどの発達障害を持つ人は、この国という縛られたシステムが肌に合っていないのだろう。だから生きづらさを感じてしまう。
ただこの縛られたシステムの中でも、快適に暮らせる生き方はある。生き方は無限にあるのだ。だからこそ特にASDを持つ人は、自分の生き方にもっと拘るべきなのだ。好きなことややりたいことが見つけ、それで自身を縛り生きやすい環境を作るのだ。自身にとって生きやすい環境を作れば、それはあなたを自然とパフォーマンスの高い状態へ連れて行ってくれる。
自分を認め、自分を愛し、好きなことをやる。それでいいのだ。
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