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夏休みの宿題はやらない派

先送りをやめてすぐやる人に変わる方法
先送りから卒業
なぜ先送りをしてしまうのか
先送りする悪癖
先送り症候群
日本が亡国の道を突き進む元凶「やったふり」「先送り」

『先送り』とグーグル検索したらこんなにもネガティブな記事が溢れている。クスっとしたのは『日本が亡国の道を突き進む元凶』という強烈なフレーズ。記事は読まなかったがタイトルを見る限り、先送りは日本を滅亡させる原因となるらしい。先送りの何が問題視されていて、何故ネガティブに捉えられているのだろうか。

俺のようなASD(自閉スペクトラム症)持ちは予定が急遽変更することを嫌ったり、苦手な仕事を先送りする傾向がある。一番酷い時は人から届いたメールやメッセージを開いて読むまでに数時間要することもある。しかし社会人をしていると苦手なことから逃げられない時があり、真正面から受け止めなくてはいけない。しかし正しく先送りする技術を身に着ければ、このような問題に対処出来るようになる上に脳に備わる創造性を高める事が出来る。そんな『先送り術』を実体験と共に紹介したいと思う。

夏休みの宿題はやらない派

そんなASDの俺は小学校高学年と中学の夏休みの宿題をやった覚えがない。夏休みの初めのほうからやろうとは思っていたのだが、先延ばしに先延ばしをする。そして夏休み最終日、宿題の量を見て愕然とし諦める。これが俺の先送り術であった。夏休みが終わり教室内では夏休みの宿題を提出するクラスメイト。それを見ながら後ろめたい気持ちと、みんなはちゃんと宿題やっているのか…と感心していました。数年そんな事をすれば、あなたも『やらない派』を名乗ることができます。おめでとうございます。

しかし時は経ち36歳のおっさんにもなると子供がいたり、仕事だったり先送りするわけにはいかない作業があったりする。カナダにいても会社という奴隷制度にお世話になっているし、子供には最低食べるものに困らない生活をして欲しいと思っているので、俺が勝手に仕事を辞めたり人生を諦める事はしない。それまでやらなくても生きてこれた宿題のようなものは『責任』という言葉に変わり、やらなくてはいけない事に変わってしまった。こうなると俺のようなASDには生きにくい世界になってしまうのだが、この責任という言葉から逃げる方法はまだ見いだせていない。

先送りというマウント

非常に多くのサイトが先送りはダメな事、ネガティブな事と訴えているので原因をまとめてみた:

  • 自信を失う

    • 時間が足りず良いものが出来ず、自身の能力を疑う

  • 信頼を失う

    • 締め切りに間に合わない場合

  • チャンスを逃す

    • 時間が無くなってチャンスを拾えない

  • 常に時間に追われて余裕が無くなる

  • 楽観的すぎる

    • 将来を見据えてなく、そのような影響があるかを考えていない

  • めんどくさがり

  • 完璧主義

    • 一つ一つのステップに時間がかかる

こんな事が複数のサイトで見られた。これらをまとめると要するに『時間の管理』が出来ていないことが問題であり『先送り』との関係性は無いというのが俺の見解だ。

先送りしても締め切りに間に合っていれば問題は無いし、十分な時間があれば質の良いものが出来るはずで自信も信頼も失うことはない。

時間が無くなってチャンスを逃すというのも変な話だ。チャンスはいつやってくるか分からない。先送りにしなかったお陰でチャンスを逃す可能性もあるということだ。この時間に追われて余裕が無くならないようにという事と同じだ。時間に追われないように先に送れる仕事は先に送り、時間を作るのだ。

完璧主義で時間がかかるとわかっているなら対処法はいくらでもあるし、完璧主義であるならば締め切りも完璧に守るはずだ。仕事を期間内、時間内に終えることが出来なければ完璧ではないだろう。完璧主義であるならば、限られた時間内で精一杯の事をすればいい。

と、『先送り』はなにかとマイナスのイメージがあって不思議でしょうがないのだが、要は大量の仕事がある人が少しでも締め切りに遅れると『先送りしている』と上司がマウントを取っているだけである。俺の仕事を先送りにするなよ?とマウントを取っているか、その人に仕事を与えすぎているマネージメントの問題。無能な上司の問題だと感じたのは俺だけだろうか。

明日やれることは、今日やらない。

どこで聞いたのかは覚えていないが、俺はこの言葉が結構気に入っていて特に仕事ではこれを実践している。今日やるべきことをやったら会社にバレないようにサボる、そんな日々を過ごしています。俺はこの働き方を気に入っているし、会社にも不易は無いと思っている。給料の分は間違いなく働いているからだ。

さらにこの記事によると先送りし一時的に距離を置くことで、創造性が上がると書いてある。脳は寝ている時や無意識状態でも起きている時と同じように動いていて、『先送り』にした物事を常に考えているという。そして先送りにすることで今現在の脳のキャパシティーが増えると同時に脳に考える時間を与えているというわけだ。脳は私たちが思っているよりも有能で、先送りしておくと勝手に創造的な解決策方法やアイデアを見つけてくれるということだ。

時間が管理できていれば、先送りには良いことしかないのだ。

最強先送り術

家で同じルーティーンをこなす毎日を送りたいと毎日祈っているのだが、急遽日本にHSPの嫁と4匹のお猿さんを連れて一時帰国することになった。これがかなりのストレスとなって俺の心に降りかかった。パスポートに飛行機のチケット、宿泊場所に…と考えることはいくらでも出てくるし、パラシュートはどこですか?でも書いた通りトラウマになりそうな過去もあり、はっきり言ってモチベーションは限りなくゼロに近い。ゼロじゃないのは日本で美味しいご飯を食べたいからだ。

この状況を乗り越えられたのも小さな『先送り』を実践したおかげだ。まずは重度のストレスが圧し掛かった理由を考えてみた。自身がASDだと診断された後初めてこれほどの異常なストレスに晒されたからか、逆に落ち着いて考えることができた。ASDだと診断されると、少し距離を置いて自分を見つめることが出来るということなんだろう。

考えた結果:

  • 家族を連れた海外旅行という大きなイベントなのに準備期間が短いこと

  • 家族(合計で6人)をで行くこと

  • 旅行をするのに必要な準備

  • 大きな出費

  • トラウマ

  • 上記の理由と時間があまり無いことを、非常にめんどくさいと感じてしまう

このように紙に手書きで書き出してみた。旅行をキャンセルする選択肢は残念なことに無い。それを除くとトラウマと準備が大きな割合を占めている事が分かる。トラウマ(的なもの)に大して出来ることと言えば、今回の旅行を成功させることで過去の記憶を上塗りするという方法。ということはこの旅行を成功させなくてはいけない。そのためには残った『準備』をなんとかしなくてはならないだろう。

この準備に俺がやったのはTo Do Listを作ること。そしてその各タスクにどれだけの時間がかかるかを目算し、締め切りから逆算し予備の時間も含めて始める日を書く。その始まる日や時間が来るまでは絶対に手を付けない。ASDの俺にはこれが最強の先送り術で、パニックになることもストレスになることも無い。たまに緊急で予定が入っても元々時間に余裕を作っているので問題無くこなすことができる。

その予定を作った後はその予定に従うだけ。時間があるからと立てていた予定を早めて行う事はしない。その時が来るまでは一切考えないし、手を付けない。時間が来たら手を付ける、という先送り。

おわりに

言ってしまえばこのリストを作る方法は一般的に普通の事かもしれないが、ASDは多忙でパニックになったり、やる気が無くなる。そうなる前にリストにして(時間が来たらやるという先送り)パターン化をして、多忙にさせないことが大切だ。

不得意な事とやりたくない事が同時に圧し掛かっている今回の旅行もこの先送りでなんとか乗り越えれそうだが、旅行が得意になった訳でもないし、またやりたいとも思わない。ただこのイベントを乗り越えるために必要な行動だっただけだ。

創造性が上がったかは分からないが、先送りすることで心に余裕が出来たことは間違いない。ASDを持っていない人はこういうことが簡単に出来るのかな?とか考えました。簡単でなくてもここまでのストレスを感じたり、リスト作りをする必要はないんでしょうな。うらやま

世間のいう『先送り』はアホの戯言だが、正しい『先送り』をすることは時間を管理し、心に余裕を持てる最強の戦術だと思っている。


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