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45 家族との暮らし

10何年以上ぶりに、実家に住むために帰ってきた。

年に2度は帰って来ていた、

家を出てからは夏と冬の季節しか知らなかった。

暑くも寒くもなく、良い気温の天気の良い日だった。

のどかな田舎。


東京はどこにいっても混んでいて

並んでいて、

一人一人に与えられたスペースと空気に限りがある。

でも、田舎は一人一人に贅沢に

十分に与えられる自然がどこまでも広がっている。

そして人に丁寧で親切だ。

噂は好きだけど…



失敗した

失敗してしまった

こんな状態で帰ってきた娘に、母は、

”一人で今まで頑張ってきたね。おかえり。”と言ってくれた。

まさかそんな言葉をかけてくれるなんて思いもしなかった。

こんなに失敗して、結局何も成し得る事が出来なかった出来損ないの私。


価値の無い私に、

大切な存在として、優しい言葉を掛けてくれて、

受け入れてくれた。

母の愛を感じた。


今まで一人で気ままに生活していたから、

久しぶりの家族との生活は、安心感もあり、

少し他人行儀な所もあり、どう接して良いのか少し分からなかった。

朝晩を家族と共に食事をする。

当たり前みたいに。

それだけで何とも言えない安心感があった。


毎朝6時には起きて母と一緒に台所に立った。

母も含め家族全員が仕事に出る為、朝食とお弁当作りを手伝った。

家族全員が仕事に出た後は、掃除、洗濯…

家事ってやることが沢山あった。

一人暮らしであれば、何とでも手の抜けた事が

家族と一緒だと、手は抜けない。

家事は大変だった。


そして、これまでずっと継続してきた母を尊敬した。

ものすごく頑張って晩ご飯を作っても、

今日はお腹いっぱいだから、明日弁当に入れて。とか、

味が合わないと言われる事もあって、

結構大変なのに、感謝はされずに当たり前だと思われる。

家事は大変だけどお金にならず評価もされない。

そんな事を家族の為に一日も休まずに何十年も続けている。

尊敬しかない。

やってこなかった私には苦痛だった。


でも仕事をせずに家にいる私がするのは自然な流れなんだけど、

家事はエンドレスで、仕事みたいに土日の休みが無い。

仕事している方が楽だと思えた。


そもそも、母も働いているのに、家事は分担せずに

家事は母だけがやっていた。

改めて母を尊敬した。

家を出る前の自分もそれを当たり前だと思っていた。

バカだったわ…


家事は全員で分担すべき事だわ。

それを当たり前にすべきた。


父は、家事はしない。

男尊女卑で育てられたのか、

母も働き、母が働いたお金を全て家に入れ、

私も家にお金を入れても、お構いなく、

家事は女の仕事として、偉そうにしている。


年に2回しか顔の合わせない家族も一緒に暮らすと

色々な側面が見えて問題が浮き彫りになる。

たまに家に帰ってきた時に聞く、酔っ払った父の歴史の話も、

たまになら楽しい話だけど、毎日になると正直うざくなる。

そして

ありがとうを言わない。

どんなに自分が悪くても、ごめんなさいを言わない父。

それだけで理不尽に怒られる事も少し許せる事もあるのに、

全く言わない。

そんな事が重なっていって父が苦手になった。


自分が悪い時はごめんなさいと言えて、

ありがとう。は沢山言える人がいいし、
自分はそうありたい。と強く思った。



つづき


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