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【旅日記】クロアチア、スプリットにて、謎の言語で会話する。


2022年4月29日から5月1日まで、クロアチアのスプリットを旅行した。
きっかけは、イギリス留学中の友人が「一緒にクロアチアに行かない?」と誘ってくれたことだった。

まず誘われて、第一声が「クロアチアってどこ」だった。
グーグルマップを開くと、イタリアのお隣の国ではないか。
知らなかった…(無知すぎ)

場所すら知らなかった国に、今後私が日本からわざわざ行くとは思えない。
この機会を逃したら、きっと、一生行かないだろう。
そう思い、「ぜひ一緒に行きたい」と返事をした。


空港にて出国と入国手続きをあっさりと終え、頼んでいたタクシーに乗って街並みを眺める。
左手には壮大な山がそびえ立ち、右手には海が見えた。

ほんの一瞬、遠くに高層ビルが立ち並んでいるのも見える。
東京みたいな場所がここにもあるのかぁとぼんやり思った。


着いたスプリットの観光地は、町がとにかく清潔で、海がすぐそこで、ディオクレティアヌス帝時代の遺跡が今なお残る、本当に素敵な町だった。

2日目の朝、少し空いた時間に町をふらふら歩くと、住宅街に香ばしいパンのにおいを漂わせるパン屋さんを見つけた。

クロアチア語は全く持って分からない。読めない。
指を指して、カタコトの英語で注文する。
「いい匂いですね」と伝えると、お姉さんが嬉しそうに微笑んでくれた。

なんだかこの町は、人もあたたかい気がする。
雰囲気も穏やかで、落ち着いていて、スプリットに流れる時間はゆっくりに感じた。

地元のおじいちゃんたちが集まる公園のベンチに腰掛けて、買ったばかりのパンをほおばる。
チョコとナッツが香ばしいパンだった。

その後は海へ行ったり、離島をめざしてフェリーに乗ったり、魚介の料理を堪能したり、観光客らしくスプリットを満喫していた。

そして、最後の日。
宿から近くのバスターミナルで空港行のバスを待っていた。

ターミナルに行けば正確な時刻表があるかと思いきや、どこにも見当たらず、困ってきょろきょろしていると、おばあちゃんが話しかけてきた。

「+〇$#%=<#~✕」

え?

全く何言っているのか分からなかった。

困った顔をしていると、ジェスチャーを交えて何かを必死で伝えようとしてくれていた。
こちらも必死で意味をくみ取ろうとする。

たぶん……30分おきでバス来るのかな……
次のバスは15分後で………
おばあちゃんのバスは……よく分からんけど私とは違うんだろうな…

なんとなく分かった、分かったぞ。

オッケーオッケーと身振り手振りで伝えると、おばあちゃんは嬉しそうにうなずいて、またもや謎の言葉で私に話しかけてくれた。
きっと、クロアチア語なんだと思う。

かろうじて聞き取った「ジャポネーゼ?」に、「そう!!私、日本人よ!!」と食い気味に返す。

初めてちゃんと会話が成り立った。
私もおばあちゃんも嬉しくなり、一緒に喜んだ。

おばあちゃんはクロアチア語と思しき謎の言語で、私は英語とイタリア語ごちゃまぜで、とりあえず必死で伝える。

そんなことをしていたら、おばあちゃんのバスが到着した。
話した内容はあまりにも他愛なく、そして半分も理解できていない。
それでも、何かが通じ合った、初めての感覚がした。

旅行中、唯一覚えたクロアチア語で感謝を伝える。
おばあちゃんはにっこり笑って、バスへ乗り込んだ。

クロアチアの旅で一番印象に残っている出来事だった。
素敵なひとときをありがとう、おばあちゃん。

フヴァーラ!(ありがとう!)

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