武蔵野市の土木技術者

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石神井川上流地下調節池は本当に計画規模が必要か?(その3) ―護岸整備に長期間を要するエリアは限定的-

 本稿では、引き続き東京都が計画している貯水容量30万㎥の石神井川地下調節池の計画規模について考えます。計画中のトンネル式地下調節池は、1000億円を投じる巨大工事です。この巨大なトンネル式の地下調節池がないと、本当に石神井川の溢水は防げないのでしょうか。 【石神井川の洪水浸水想定区域】  石神井川は、東京都により下流から着実に護岸整備が進められています。 また都は、年超過確率1/100の1時間最大雨量100mmの降雨があったときの洪水浸水想定区域図を公開しています。  

    • 石神井川上流地下調節池は本当に計画規模が必要か?(その2)―上流には既に4つの調節池があり安全に治水が行われている-

       東京都は、貯水容量30万㎥の石神井川地下調節池を建設しようと計画しています。1000億円を投じる巨大工事であるとともに、立坑が設置される武蔵野中央公園の他、管理棟が設置される南町調節池(平常時は柳沢児童広場)、東伏見公園においても長期間の工事が行われる予定です。  東京都は、河川の治水のためには護岸整備とあわせてこの地下調節池の建設が必要と説明しています。しかし、すでに環七の道路下には巨大な調節池も出来ています。そこで、石神井川上流の調節池の整備と近年の上流域における河川溢

      • 石神井川上流地下調節池は本当に計画規模が必要か?(その1)ー南町調節池は溢水したことがない ー

         東京都は、石神井川の上流に1000億円を投じ約30万立方メートルの地下調節池を建設しようとしています。  しかし、この地下調節池の取水口が設置される予定の南町調節池は、1980年に建設されてから1度も溢水したことがありません。  東京都が公開した調節池の過去の貯水履歴を確認したところ、南町調節池に河川の水が流入するのは、年間に1.3回程度であることが分かりました。南町調節池は上の写真のとおり、河川の水位が堤防の半分くらいに達すると調節池に水が流入する構造となっています。つま

      石神井川上流地下調節池は本当に計画規模が必要か?(その3) ―護岸整備に長期間を要するエリアは限定的-