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レトロスペクティブで感情を取り扱う方法

スクラムマスターを取得したこともあり、スクラムイベントで感じたことを共有していこうと思います。

スプリントを終えるにあたって、振り返りをレトロスペクティブで行い次のスプリントでの改善点を決めますが、回数を重ねていくうちに次のスプリントの改善点が出にくくなるということはないでしょうか?
改善点が出てこなくなるというのは、チームとして完璧になったではなくて(そもそも完璧ってことはないと思う)、チームが次の段階に入ったことなのではないかと思います。

その際に見直したいのが、レトロスペクティブのステップとしてアジャイルレトロスペクティブズ 強いチームを育てる「ふりかえり」の手引きの「データを収集する」で紹介されている感情データを取り扱えているかを見直しもしくは取り入れてみるのが良いかもしれません。

1:場を設定する
2:データを収集する
3:アイデアを出す
4:何をすべきかを決定する
5:レトロスペクティブを終了する

通常は、社会人として感情をさらけ出すのは良くない

と思い、感情については触れたくない、もしくは触れる必要がないと考えがちです。実際に起こった事だけをデータとして収集するだけではなく、心配、悲しい、嬉しいなどの感情を含めてデータを収集することにより、潜在的な課題も拾いやすくなります。
したがって「データを収集する」では感情のデータも取り扱う必要が出てきます。

感情データを取り扱う準備

では感情データを取り扱う前に取り除かなくてはいけない、障壁は何が思いつきますでしょうか?よくあるのは、以下の3つの内容ではないでしょうか。

・感情を取り扱う必要がないと
・自分の感情について言いたくない
・チームメンバーや関係者の文句になってしまう

このような理由から、感情データは取り扱いたくないと感じます。
これらの障壁を取り除くために、「場を設定する」にて感情についてチームで触れ参加者に準備を促がします。
具体的には、「場を設定する」にてチェックイン(Check-In)のアクティビティを使用して、今回のスプリントではどんな感情が強かったかを質問し「幸せ」「怒り」「心配」「悲しい」「期待」などを中から選択してもらい、一言づつコメントを言う。
※アクティビティ:チームが一緒に考えることを支援するための方法

この感情を共有してもらうことにより、このレトロスペクティブでは感情を取り扱い、そして感情が重要だと感じてもらうことを目的とし、かつ参加者が他のメンバーと自分の感情に向き合ってもらうためにとても有効です。

●チェックイン(Check-In)
目標:余計な事を考えずに、レトロスペクティブに集中してもらう。レトロスペクティブから何を得たいのかを明確にしてもらう。
概要:参加者を歓迎し、目的とアジェンダのレビューを行ったあとで、レトロスペクティブのリーダーが簡単な質問を1つする。メンバーは順番に答える。
引用元:アジャイルレトロスペクティブズ 強いチームを育てる「ふりかえり」の手引き

感情の暴走が不安な時は

感情を取り扱っていくことで、チームの振り返りをより良いものに出来ると書きましたが、感情が暴走することによりレトロスペクティブの進行が出来なくなるという心配も出てくるかもしれません。

そのためには、チェックイン(Check-In)のアクティビティと合わせて以下の二つのアクティビティを使い生産的なコミュニケーションと議論に集中出来るようにレトロスペクティブをリードしましょう。

●フォーカスオン/フォーカスオフ(Focus On/Focus Off)
目的:生産的なコミュニケーションをするためのマインドセットを確立する。非難や批評をしないようにする。非難や批評を好ましくないものと思うようにする。
概要:生産的なコミュニケーションのパターンと非生産的なコミュニケーションのパターンについて説明する。参加者たちは、その説明を聞いたあとで、今回のレトロスペクティブにおいてそれが何を意味するのかを議論する。
引用元:アジャイルレトロスペクティブズ 強いチームを育てる「ふりかえり」の手引き
●チームの約束(Working Agreements)
目的:チームが生産的な議論をするための行動様式を確立する。チームメンバーには、その行動様式に沿っているかをお互いにチェックする責任があることを理解してもらう。チームの約束がまだない場合は、チームの約束の候補をあげる。
概要:効果的に仕事をするための振る舞いについて、チームでアイデアを出し合う。そのなかから5〜7つを選び、チームの相互作用やプロセスを手引きとする。
引用元:アジャイルレトロスペクティブズ 強いチームを育てる「ふりかえり」の手引き

まとめ

・より良いレトロスペクティブを行うには、感情データも取り扱える必要がある。そのためには、事前に感情データを取り扱う準備を行うチェックイン(Check-In)の活用
・完璧になったと思わず、改善点が出てこないことも成長のきっかけの一つと捉え、常に検査と適応を行う

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