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影響を受けた文筆家、お2人目は… |#自分探しはじまる

こちらの本の著者は、言わずもがな。老若男女に響くお言葉を綴る詩人、
「茨木のり子」さん。

茨木のり子著 「言の葉」 ちくま文庫

会社のため、家族のため……を言い訳に、自分を磨いてこなかった挙句、
空っぽになったことをまた他人のせいにする私を、まるで見抜くかのように叱ってくれる言葉の数々。
まるでムチを打たれたように、シャキっと身が引き締まったのです。

たまに帰る実家のリビングに掛けられていた巻物に、下の詩が書かれていました。


自分の感受性くらい


ぱさぱさに乾いてゆく心を

ひとのせいにはするな

みずから水やりを怠っておいて


気難かしくなってきたのを

友人のせいにはするな

しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを

近親のせいにはするな

なにもかも下手だったのはわたくし


初心消えかかるのを

暮しのせいにはするな

そもそもが ひよわな志にすぎなかった


駄目なことの一切を

時代のせいにはするな

わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい

自分で守れ

ばかものよ


この巻物は、まるで絵のようにずっと昔から飾られていて、それまで文字を読み込むことはなかったのですけれど、
ある時、その言葉は突然に私の目に飛び込んできて、ココロにぐっと刺さったのです。

それは、生きるうえで大切なことに気づいてほしいと願うメッセージのようにも映りました。

「自分の感受性くらい」は、茨木さんが48歳のときに発表された代表作の1つです。
ほぼ私と同世代じゃないですか?!
そこから、まるで取り憑かれたように茨木さんの詩集を読み耽りました。


倚りかからず


もはや

できあいの思想には倚りかかりたくない

もはや

できあいの宗教には倚りかかりたくない

もはや

できあいの学問には倚りかかりたくない

もはや

いかなる権威にも倚りかかりたくはない

ながく生きて

心底学んだのはそれぐらい

じぶんの耳目

じぶんの二本足のみで立っていて

なに不都合のことやある


倚りかかるとすれば

それは

椅子の背もたれだけ


できあいの思想。。
そっか、私は誰かの思想や誰かの理念に寄りかかって来ていたんだ。
楽してきてたんだと気づく。


わたしが一番きれいだったとき


わたしが一番きれいだったとき

街々はがらがら崩れていって

とんでもないところから

青空なんかが見えたりした


わたしが一番きれいだったとき

まわりの人達が沢山死んだ

工場で 海で 名もない島で

わたしはおしゃれのきっかけを落としてしまった

(一部抜粋)


もう、残された時間はないんだよ。出来る時にやらずにどうする!
と言われた気がした。

「自分の感受性くらい」でビンタをされて、「倚りかからず」で間違いを正され、「わたしが一番きれいだったとき」で、どーんと背中を押されました。

アタタタタ……  苦笑

これが、私が人生の軌道修正をしようと決めるに至ったきっかけの1つです。

転職や離婚、子離れやペットロスからの脱却。
今の自分を変えたい、変えなきゃ!と思っている女性のみなさんにおすすめしたい著書です。