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植物の世話は"面倒"ではなく"交流を生むコンテンツ"!? トークセッションをレポート

都市生活者のウェルビーイングへの意識の高まりから、植物や自然環境の重要性が注目される中、これからのまちづくりはどうなっていくのか?
2024年3月28日、様々な分野のプロフェッショナルによる「国内外事例から学ぶ都市と自然をつなぐウェルビーイングなまちづくり」をテーマとしたトークセッションを開催しました。

当日はオンライン・オフライン共に多くのお客様にご来場いただき、盛況のうちに終了いたしました。
ご参加いただきました皆様、誠にありがとうございました!

今回は、このトークセッションについてレポートしてまいります!

会場の様子




登壇者


中 裕樹氏
(森ビル株式会社 タウンマネジメント事業部 運営部 麻布台ヒルズ運営グループ チームリーダー/全国エリアマネジメントネットワーク 幹事、認定NPO法人グリーンバード 監事)
岸本 悠生氏
(株式会社TNC 取締役/ディレクター)
石田 祐也氏
(合同会社ishau /一般社団法人ソトノバ共同代表理事)


トークセッションの一部をご紹介いたします!

都市と自然のつながりについて、幅広く展開されていったトークセッションですが、その中でも筆者が「なるほど」と感じたトピックスをご紹介していきます。

発想を転換!植物の世話は"面倒"ではなく"交流を生むコンテンツ"

司会:ソトノバでの実証実験を通じて、こうすれば人が集まる、といったことは分かってきているのでしょうか。

石田:行政の方によくありがちで、滞留空間作れば人来るんでしょって言われるんですけど、滞留空間って人を呼ぶための装置じゃないんですよね。単純に街中での居心地を良くするためのものではあるんですけれども、ベンチを置いたからといってそこに人が来るわけではない。その質を高めていくって上で必要なものだとは思うんですけれども。
集客っていうのはやっぱりコンテンツが必要で、その時に緑と絡めるとすごくいいな、いいことがよく起こるなっていうのは感じてます。
やっぱ緑って世話いるじゃないですか。それがすごくいいなと思って。
(中略)
世話がかかるっていうのは 全然ネガティブなことじゃないなって思っています。特に都内とかだと、自分の家には庭がないからお世話したいみたいな人が結構いるんですよね。で、そういう緑のお世話したいっていうニーズはあるんで、そういった市民団体なり、個人でもいいんですけど、巻き込めると、街中で緑をお世話するっていうコミュニティが生まれるんだなって思います。

:僕もエリアマネージメントをやってて、どっちかっていうと公共空間でイベントやマルシェをやって人をどれだけ呼び込めるかみたいなことをずっとやってきて、そのノウハウを緑と組み合わせるともっといろんなことができるような気がしてます。その力が緑にはあると。
(中略)
そういうのを組み合わせるともっと価値が開けてくんじゃないかなと思ってまして。で、麻布台ヒルズもこれから、今すごいたくさんの人に来ていただいてるんで、今はちょっとそれどころじゃない対応が多いんですけれど、やっていきたいなっていう風に思ってます。


植物が空間にもたらす機能がデータ化されれば、植物の導入は増加する!?

参加者質問:都市空間において、自然はどのような価値を持っていると感じられているのでしょうか。

:働く場での緑みたいなことに関して、僕らも働く場を作ったりしてますけど、何に貢献してるのかっていうのが、「なんとなくリラックスする」ということ。
「なんとなく良さそう」「かっこいい」以上に価値があるのか無いのかみたいなのは、もっと可視化できるとより導入すると思うんですよね。やっぱり普通に考えるとコストにしかならないと思うんで、何の機能あるのって言われちゃう可能性があって。
そこらへんがもう少し、不動産会社的観点で言うと分かりやすく出てきてくれると、どんどん導入するんじゃないかなと思う。
軽井沢で働いた方が生産性って高いんでしたっけ、っていうことだと思うんですよ。でも、敢えて都心を選んでオフィスの中で働くんだとした時に、そこがどうなってんだっけみたいなことが、一緒に検証できることがあればやっていきたいなと僕は思ってます。


生物多様性だけでなく「人の多様性」を植物によってつくり出す!

参加者質問:商業エリアやオフィスエリアなど場所の違いによって、自然を取り入れた空間の使われ方に違いは出てくるのでしょうか。

岸田:住宅エリアとオフィス街の緑の違いは、たぶん無くなってくるのかなっていう感じはしてて。イギリスのストーリーガーデンっていう事例と googleの本社は同じエリアなんですね。で、キングスクロスって恐らく今、ロンドンで1番注目すべき、巨大な開発エリアなんです。
(キングズクロスは)ハリーポッターでよく有名で、 でもその前はドラッグディーラーとかが蔓延るかなり治安の悪いエリアだったのが、 googleが入ってきてますし、ストーリーガーデンみたいな取り組みが入ってきてるんですよ。
googleの超忙しい皆さんが働きながら、ああいうところに積極的に参加してくるっていうのは、やっぱり求められてるんですね。オフィスワーカーにも求められてるし、ファミリーで来る人もいる。
キングズクロスの開発が面白いのはですね、セントマーチンズってファッションで超有名な大学もここに移してるんですね。なぜかって言うと、生物多様性だけじゃなくて、エリアとしての"人の多様性"、異質な人を敢えて入れていくエリアになっているから。オフィスエリアとかファミリーエリアとかがぐちゃぐちゃになってるから、特にファッション大学とかはめちゃくちゃ面白い人いるんで、 そういう人たちが個性的な格好で"超オフィス街"を歩いててもいいエリアになってます。
そういう意味での街づくりにおいて、そこに緑を入れていく価値っていうのは非常にある。結局、人と人が街を作っていくわけなんで、そのきっかけとかハブとしてこういう緑、特にあんま整備された緑っていうよりも、本当の体験として、育てるとか、 そういうところに関わってくれるようなコミュニティっていうのが結構必要になってくるかなと。
(中略)
こんだけ忙しくて複雑な社会にとって、自然っていうのが持つ価値っていうのはたぶんこれからどんどん高まってくる、 逆に都市だからこそ高まってくる時代になってくるかなという風に思います。


江戸時代の暮らしが世界のトレンドをつくっていた!?

参加者質問:世界の事例を元に取り入れるべきポイントについてお話が進んでいましたが、逆に日本が世界に発信すべきポイントはあるのでしょうか。

岸田:海外で評価される、日本と自然っていう大きな話で言うと、 やっぱりそもそも神道、八百万の神を自然に見出だすような国なんて世界にないんで、やっぱその辺の考え方が、特に世界の先進国に非常に評価されてます。例えば、苔むしてる美しさとか、箱庭とか。シンガポールみたいに南国的な植物っていうよりも、日本らしい植物の考え方、伝え方みたいなのは、これから色々やり方があるんだろうなっていう風に思う。
あと、自然と人々の暮らしの関わりとして、サーキュラーエコノミーの原点は、伊勢神宮みたいな話じゃないですか。20年に1回のお祭りで神宮の建物を全部壊して、使われた建材は日本中の神社に送られてまた使われると。で、隣にまた新しい神殿を建てて、日本の色んなとこから、自然を中心に集めると。
(中略)
江戸時代の暮らしとかも今世界で注目されて、エドノミーなんて言われてて。無駄のない、自然と暮らす、 全てが循環してた社会だったわけなんで。
僕は仕事的に海外の話をよくするんですけども、結局日本の方が、日本の昔の方が進んでたよねっていう話はいっぱいあるんですよ。ビーガンは精進料理が原点ですし。プラントベースっていう、昔から日本人が豆腐とか食べてきたっていうのを、今改めて世界の肥満大国が健康のために、あと環境のためにやってるんですけども。
日本人ってその辺の価値観とか暮らしがもともと自然にあったわけなんで、やっぱり我々はこういう仕事してるからこそ、改めて日本の昔っていうか、暮らしの価値みたいのを見直した上で、世界に伝えていくような仕事もしたいなっていう風に思いました。


最後に

いかがでしたでしょうか。
様々な分野のプロフェッショナルが集まることで、それぞれの視点からみる都市と自然のあり方が可視化されていったトークセッションとなりました。

また、トークセッションのオンライン配信は、結婚式場としても著名な株式会社八芳園のDX推進部の方々にご協力いただきました。
八芳園 DX推進部の皆様、ありがとうございました!

トークセッションでお話した海外事例の一部をこちらでご紹介しています!
コラムではもちろん、イベントでもご紹介しきれなかった事例はたくさんあります。
個別でより詳細な海外事例のご紹介も承っておりますのでお気軽にお問い合わせください。


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