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-小説- うたたねのこぼれ種

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#小説

-小説- うたたねのこぼれ種 【1.ゆず】

-小説- うたたねのこぼれ種 【1.ゆず】

窓の外から、あいさつ、笑い声、名前を呼ぶ声、様々な声色が混ざり合って聞こえてくる。下校する声の波が、大きくなったり小さくなったりしながら、次第に遠く引いていく。僕は、その波の中にいるよりも、離れたところで聞いている方が好きだ。

ピアノの鍵盤の上で指が遊ぶ。指を跳ね返す鍵盤の感覚が心地いい。このピアノは、いつもにぎやかな声を聞いているからか、音がはっきりとしていて元気なピアノだなと思う。

放課後

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-小説- うたたねのこぼれ種 【2.いちご】

-小説- うたたねのこぼれ種 【2.いちご】

見上げた空はとても優しい色をしていた。遠くに雲が薄く浮かんでいる。シンの店「珈琲と音楽 うたたね」のそばにある川は今日も静かに流れていく。開店前に店の周りを散歩して、庭の様子を眺めるのがシンの毎朝の日課だ。朝の空気をしっかりと吸いながら歩いているうちに、体が起きてくる。

庭のハーブに引っかかった枯れ葉を集めていると、かすかにいい香りがしてくる。指に触れる朝露が心地よく、不思議と指先が温まってくる

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