僕に方程式を教えてください (レビュー)
https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-721208-2
本書は少年院で数学の授業にかかわった3人の関係者の共著である。
心の扉には取っ手は内側にしか付いていません。外側には取っ手がないのです。
先生、俺たち能力はあるが学力がないだけなんだよ!だから、先生、俺たちに勉強教えてくれよ!
「自分もやればできるのだ」という効力感と自信、「生きる力」としての学力の習得を支援する。
プライドを傷つけない。「***(だ)(よ)ね!」とは絶対に言わない。
とことん話を聴き、とことん考えさせ、とことん付き合う。
自信を持って間違える。
間違った答案は消さずに、必ずノートに残しておく。
分からないことは、恥ずかしがらず質問する。
分数(小4)と文字式・方程式(中1)に2つの躓きの山場がある。
算数ではない、数学である。
数学を通じて抽象化への階段の上り下りを経験する。言語化。
様々な環境と経験、理由により数学教育の場にほとんど縁のなかった少年たち。
彼らと真摯に向かい合う著者たちの態度に強い感銘を受けた。
生きること、学ぶこと、失敗からの立ち直り。多くの示唆に富んでいる。
矯正教育という位置付けではあるが、数学の本質そしてすべての教育の本質に深く迫る一冊である。
大丈夫、未来は厳しいが明るい。
久しぶりに読みごたえがあった。
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