晴れているのに雪が降っていた。

私は雪の多い地方に住んでいる。
雪の多い地方の人にとって、雪は厄介なものだ。
雪かきで体力も体温も奪われて、やっと終わったと思ったら一晩で元通り。

周りの人も苦労話としての雪の話しかしない。
でも私は雪が好きだ。
見た目が好きだ。白くてきれいだ。
触ると溶けてしまう儚さもいい。
一面降り積もって街がモノクロになるのも好きだ。
音が雪に吸収されるのか、いつもより静かだ。
雪かきで体が筋肉痛になるのも私だけの冬の季語として楽しんでいる。

雪のそういう話を本当はしたいけど、「雪かき大変でしたね」「すごい積もりましたね」と話を合わせている。

今日も雪が降った。
でもいつもと違って晴れていた。
いつもは暗い曇り空から降ってくるから知らなかった、空から地面に落ちるまでの雪を初めてちゃんと見た。

ふらふらして空間に漂っているようだった。
風が吹くと風の向きに飛ばされた。
雪の儚さをもっと感じられた。

晴れていたから太陽の光を反射してきらきらしていた。向かい風の瞬間がきて、ふらふらしていたきらきらが一斉に私に向かって飛んできた。

結婚式でライスシャワーをかけたことを思い出した。その時はかける側だったけど、かけられる側の視界はこうだったんだろうかと思った。

雪に祝福されているみたいだった。
雪が好きな理由が一つ増えた。

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