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パリ生活ゴ(4)おたくピストンありまっか?

「パリ生活ゴ」では、語学テキストにはあまり登場しない
パリの日常生活シーンと、パリジャンがフツーに話している『パリ生活ゴ』を紹介。(2002年〜2016年にフランスニュースダイジェスト誌面、サイトに掲載されたGDR執筆コラムに修正、加筆)

が、ご注意を!!!
こなれた俗語が満載。
なので外国人の私たちが使うのはオススメしません。
失礼になったり、誤解されたりするリスク大です。
なので、聞いた時に理解できてOKというスタンスで眺めて下さいね。

また、スキットはGRDが全て作成したので、文自体はフランス人の口から出てきたネイテイブフレンチではない箇所もあります。
が、全てネイテイブチェックをかけています。
これらの文は、外国人フレンチだが、意味はバッチリわかる、という内容ですのでその点、ご理解下さい。

scène 4.   おたくピストンありまっか?

<シーン 4 >
パリは託児所不足だが、ソフィは難なく空きをゲット。母子家庭、低所得家庭、大家族、既に上の子供が同じ託児所に通っている家庭、というオフィシャルな優先基準のどれにもあてはまらないソフィ家。「義姉がパリ市の職員なのよ~」。出た~、彼女はPiston(ピストンと読み、コネの意)を使ったのだ。

フランス社会でピストンの存在は偉大だ。競争率X倍の私学入学、新卒の就職、5年待ちは当然というHLM(低所得者用住居)入居にも、ピストンは絶大なる力を発揮してくれるようだ。

フランスで兵役義務(1997年に廃止)があった頃、兵舎で生活する軍隊役務が一般的だが、在外のフランス官庁やフランス企業で勤務する『協力役務』というのがあった。 後者は国民の義務を果たしながら海外勤務の経 験が得られるため、一般的な兵役よりずっと魅力的なのは明白。が、全体の約2%の狭き門。公式な書類選考はさておき、ピストンの後押しが決定要因であることが多かったという。

ピストンが乏しい我ら外国人。人の同情を買いながら、なんとかうまくやり(se débrouiller)、 時にすっぽん並みの交渉で、駆け引きや裏工作をする(magouiller)しかないのだ~。

<使えるパリ生活ゴ 4 >
A : J'ai trouvé une place à la créche.
   託児所に空き見つけたわ。

B : Comment t'as fait ?
     どうやって?

A : Ma belle soeur travaille à la mairie.
     義姉が市役所で働いてるの。

B : T'as de la chance d'avoir des ①pistons partout.
     いいなあ~。コネが一杯あってさ。

A : Mais je trouve que tu ②te débrouilles bien aussi. Comme ton proprio ne voulait pas déclarer ton appart, t'a négocié le loyer, non? T'as ③magouillé, aussi.
でも、アンタもうまくやってるわ。大家がアパート収入申告してないの知ってて、家賃交渉したんでしょ。ちゃんと駆け引きしてるじゃない。

〜解説〜
① pistonはコネ【des relations personnelles】。
シリンダーなどの内部で往復運動するもの(結果として機関を動かす)の意のピストンの原義から何かを進展させるもの、任命を決定する後ろ盾からコネという意で使われる。動詞形は pistonner(推薦する、後ろ盾になる)。

② se débrouiller は難局を切り抜ける【s'en sortir】。
débrouillerはbrouiller(ごちゃごちゃに する)にdé(反対、除去の意の接頭辞)が付いたもので、問題を解決するの意。代名動詞のse débrouillerは、ごちゃごちゃした状況から身を引く→ 難局を切り抜けるの意。débrouillard(e) は機転が利く人、抜け目ない人。
! système D(le système débrouille)は、うまい方法。

③ magouillerは裏工作する【manoeuvrer】。
ゴール語の泥(marga)に由来し、泥の中を歩くところから現在の意に派生したという説がある。

❤️では scène 5 でお会いしましょ❤️


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