血液型を聞かないで
血液型診断というものがある。
A型は真面目でB型は大ざっぱで……みたいなやつだ。
血液型診断に科学的な根拠が一切ないことは、それこそ既に常識だと思っているのだが、どうもそれは私の常識に過ぎないようで、今日も日本中で「血液型何型?」「わかるー!超ABっぽい!」という会話が繰り広げられている。B型の人はそろそろ差別に怒ってもいいんじゃないか?
「血液型何型?」と聞かれたら、私はこう答えることにしている。
「Bだよー」
そうすると、「わかる!絶対そうだと思った!」と返ってくるパターンが多い。
「Aだと(Oだと)思った!」と言われることもある。
ちなみに、本当の血液型はA型だ。
読者の皆様、俺が死にかけて輸血を必要としたときのために覚えておいてください。
面倒なときは「何型だと思う?」と逆質問して、返ってきた答えをそのまま自分の血液型にしてしまうこともある。その後の種明かしをするかどうかは気分による。
詰まるところ、真面目に答える気がないだけだ。
こいつ本当に性格悪いな。
はい、おっしゃる通りです。
そんな血液型診断。しかしこいつは、科学的根拠がないにもかかわらず……否、科学的根拠がないからこそ、私にとっては非常に大きなメリットのあるもので、実際とても助かっている。
相手が血液型診断を信じているかどうかが診断できるからだ。
もうお分かりだろうが、血液型を友人に当てはめてその性格を類型化するような人とは、私は申し訳ないがとても仲良くなれない。
だから、質問してくれた時点で丸儲けというか、こちらにとってはノーリスクで「合わない人」と知ることができ距離を取れるので、非常に助かっているのだ。
いやはや、血液型診断様々である。
さすがに今回の露悪全開っぷりには嫌な気分になった方もいるかもしれないが、どうか勘弁してほしい。
だって、あんまりじゃないか。
私と親しくしてくれるあなたは、特別で、誰にも似ていない、たった一人のかけがえのない存在だ。
なのに、その人のユニークなキャラクターを、どこの誰が考えたかも分からない、何の根拠もない四択の占いもどきに無理やり当てはめて、やれ几帳面だの荒っぽいだの二面性があるだのと、それはあんまりにも失礼じゃないか。
俺は、そんなことはしたくない。
俺は俺の感覚で、あなたという人間を少しでも理解したい。
そして、あなたにもそうしてもらえたら、すごく嬉しいと思う。
あなたはオリジナルだ。
何型だろうと関係ない。
生まれ持った血液型でなく、今日この日まで生きてきた日々が、経験が、あなたの人格を形作っている。
それも、俺のような悪人とも付き合ってくれるような、とびきり素敵な人格を。
だから、どうか俺には血液型を聞かないでくれ。
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