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男4人が話す、2010年代の日本の音楽についてPart6

おはようございます、こんにちは、こんばんわ、くさのです。

くさの、ノイむら、ゴリ、まっつの4人で2010年代の日本の音楽についてを、非常に雑記めいた感じで話してみました。今回はPart6です

Part5でヒップホップの話をやっていたのですが、「それはちょっとさすがに違うのでは?」というツッコミが相次いだので、消しております。ので、5は欠番扱いということでご了承くださいまし。

それぞれに見ている部分が異なる4人で、日本の音楽を広く見通してみて、どういったことが同時多発的に起きたかをひとまとめにしておきたかった。それが第一の目的です。

今回の4人話、その時間、2日がかりで10時間オーヴァーで収録しています。飲み会トークよりかはしっかりとしつつ、真面目な大学講義よりもサバけた感じにはなってるかと思ってます

とはいえ、ちょっと雑に話してしまったな・・・というのは感じています。気分を害されるかたがいらっしゃるかもしれません。その点、さきにお詫びしておきます。申し訳ないです。

今回のテーマは、つまりJ-POPであり、再びのアイドルとアニソンについての話と、J-POPとタイアップについて。大丈夫、大丈夫、おっさんが男性アイドルについて話しても・・・大丈夫だろうか?

では、今回で最終章。よろしくお願いします。


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草野 さっきちょこっと話しにあがってきたけども、日本のヤンキー文化やクラブカルチャーに非常に密接だったのは、やはりavexよね。SALUがavexに所属して音源を出すことになるし、言わずもがな小室哲哉関係の楽曲を生み出してきたし、さっきもあがった「R&Bシンガーのフューチャリングでラッパーが出てくる」流れにも汲みしているわけなんだよね。で、00年代終盤から2010年代にかけては、EXILE TRIBEの・・・・はぐれもの達という民族によって大きく爪痕を残すことになったわけよね。

ノイ村 草野さん、その認識に大きな間違いはないと思うんですけど、この4人でLDHやavexについて話すということでいいんですか?

草野 え、でも待って、このテーマを書いたのはノイくんじゃん!?(笑)

まっつ つまり、ノイ村さんは話せると思うから、書いたということですよね・・・?

ノイ村 ・・・ま、まぁ話しますよ・・・!

ゴリ ビビっとるやん(笑)

ジャニーズからLDHへ、SMAPの解散
そして、メンディーーーー!!!!!!!!!

草野 でもノイくんが書いた「ジャニーズからLDHへ、SMAPの解散」って、すごく腑に落ちたのよ

ノイ村 そうなんですか?

草野 ちょうどそのタイミングの前後で、ジャニーズのなかでも新しいグループが出てきたわけじゃない?SMAPの解散は2016年頃だけど、2015年にKing & PrinceとSixTONESが結成、2010年から12年に結成されていたSexy ZoneとSnow Manもいよいよ注目されていたし。それでもなお、LDH関係の3組の勢いは凄かったと思うよ

まっつ テレビをつければ関口メンディーがいましたしね

草野 ほんと、中居くんや相葉くんと同じくらいにバッチバチにバラエティに強い方よね、メンディーは。お笑い芸人みたいなフリをしてもちゃんと返してくれるでしょ?みたいな安心感がすごい、バラエティ映えするアイドルだよね

ノイ村 最近見たメンディーは、小学生と徒競走してましたよ(笑)

まっつ スーパーアイドルですねほんと・・・徒競走と食レポまでいけますからね

(実はこの4人話をしていた五月上旬の直前、LDH JAPANは関口メンディーのホラーゲーム実況動画を配信している。その後、このアカウントを通し、【ジェネハウス】と銘じてGENERATIONS from EXILE TRIBEメンバーが登場する動画が配信されている)
https://www.youtube.com/watch?v=nkxMUEyF4tQ

草野 でも彼ってグループのなかでも飛び道具というのは間違いないんだけども、彼を通してGENERATIONS from EXILE TRIBE関係のライブを見に行ったら、びっくりすると思うんだよね。まずアリーナレベルの会場だから、メンディまでめっちゃくちゃ遠い!みたいなところからスタートじゃん?

ノイ村 それにガッチガチなパフォーマンスですし、ステージ演出で炎はバンバン出るし、ランボルギーニが飛び出してくるかもしれないし。

まっつ 本当にエンターテイメントですよね。札束で殴ってくるくらいのド派手だよね

ゴリ オレちょっと正直に思うんだけども、LDH関係はアイドルっていっていいのかな。。。?

ノイ村 TWICEやBTSをアイドルとみるか?という筋でみるとわかりやすいかもしれないですね、広義のアイドルに入ると僕は思ってます。

草野 こういうときにも「芸能」というデッカイ目で見つめ直して、細かく捉え直すのが重要なんですよ。LDHの方々は、元々ダンサーやパフォーマーという側面が非常に強い面々ですが、そういう方々が俳優だったり、芸人のように振る舞ったりする。もうちょっといくと、ボーカル+ダンサーというグループであって、avexとしては由緒正しい構成なのは言うまでもないと

まっつ TRF、Zooといったところですよね。

草野 まぁZooを作ったひとがEXILEを作ったわけだからね。HIROさんがZooを作って、後にEXILEを作って、LDHを立ち上げて、2011年くらいから急に「EXILE TRIBE」って語りだして・・・なんて思っていたら日本を制覇したんだから。

ノイ村 初期のころって、いい歌を唄っているグループ、というくらいの認識がベターだったはずなんですよ。

草野 「together」とかね、むっちゃくちゃ好きよ

ゴリ ATSUSHIがASAYANに出てたとは思えないよね・・・

草野 いっこあるのは、男性アイドルという存在やイメージについては、2000年代終盤ごろまではジャニーズが堅牢に守っていたと思うんだよ。さっき言ったみたいなマルチタレント化していく流れもありつつも、自分たちのカラーは大事にしていた・・・純粋で、無垢で、非日常さを演出する部分は守っていたでもその対抗馬にLDHがガッツリ近づいていったとき、「アイドルとはなにか?」「ジャニーズとはなにか?」という無言の問いかけが、彼らの動きを通して始まってしまっていたというのはあると思うんだよ。で、SMAPの解散、あのゴタゴタも含めて、芸能界の薄暗いところが露見して、本当にバラバラになってしまった。「え、こんなにも崩れてしまうの?!」っていう部分があって、ジャニーズは今のところ評価がぐぐっと下がってしまっていると思う。

まっつ SMAPだけじゃなく、いろんなスキャンダルや暴露報道にあってますからね。

草野 まぁ報道する側の姿勢は問われるべきだろうけども、起こってしまっているのは事実だからね・・・

ノイ村 ジャニーズって、比較的古き良き価値観のなかにあったと思うんです。

草野 経営者のトップダウン経営って意味?

ノイ村 それもありますが、うーん・・・草食系で、王子様が揃っているイメージ?

草野 あと、本当にちょっとだけ、陰キャっぽい部分?

ノイ村 あともう一回言いますけども、顔が本当に良い

草野 ルッキズム!でもこればかりは仕方ない!

ノイ村 滝沢秀明という一つの答えが出てましたけど、あの御方は別次元だとして、嵐やSMAPのように、身近な存在であり、王子様でもあるという方がジャニーズには揃ってますよね。

まっつ LDHは違いますよね。陽キャなヤンキー、面倒見の良さそうなお兄さんって感じがしますよね。

草野 わかるわぁ・・・ちょっと先輩の優しいヤンキーだよね。これは手厳しいことをいうけども、この点でLDHはブレてないんだけども、ジャニーズは途中でどうしようか・・・っていう状況になってしまったわけじゃない?

ゴリ ああ、なるほどね

まっつ NEWSとKAT-TUNですか

草野 本当なら、彼ら2組がSMAPや嵐のあとを継ぐような部分がかつてはあったわけじゃない?でもそうならなかった・・・細かくは言わないけどもさ。SMAPが解散し、嵐も解散しますと名乗り出でるあの数年のなかで「嵐とSMAPが別格すぎたんじゃないのか?」っていう風に気づいても良かったと思うんだよ。そうすればもっと違う道が開けていたように思うし

ゴリ ジャニーさんの体調も含めて、かなり厳しかったろうなと思うわ

草野 ファンでもなんでもない僕とかでも「これは事務所のなかゴッチャゴチャしてるんだろうな・・・」って想像できるもんな・・・

まっつ そういう部分においては、たしかにLDHのほうがしっかりとしていると思います。メンバーがグループを離れるときもかなり円満な別れ方をしてますしね。

草野 ここまでゴタゴタになっても、ジャニーズの方々のイメージは僕の中ではぜんぜん良いものだし、堂本剛とか長瀬智也とか好きだよ。でも、この2010年代に関しては・・・

ゴリ LDHのほうがより好印象って感じよね

草野 ほんとそのとおりですね。会社運営としてどうなんだ?というのは目をそらせないと思うよ

ノイ村 2010年代の半ばくらいになると、EDMがもちろんむちゃくちゃ流行っていたので、J-POPシーンにもEDMを輸入した曲がいくつもでてきたんですけど、どうしても言葉とメロディとサウンドがうまくバランスとれていないような曲が多かった。そのなかで、avexはULTRA Fesを海外から呼んできたこともあって、J-POPとEDMの架け橋をうまくやろうとしていましたよね。

草野 その結果が「R.Y.U.S.E.I.」になるわけで。とんでもないわな。というかあの曲が入ってるアルバム、総じてアメリカのポップス寄りよね。

ゴリ あとはランニングマンを海外からもってきたのもそうだよね。海外文化への目配せが非常に細やかだからできるし、あれをダンスとしてとりこむっていうのも大きいよね。

ノイ村 ジャニーズだとSnow Manの曲がたしかにそういった曲にはなりますが、avexはAfrojackを招聘していますからね・・・いま一番カッコいいものを取り入れようとする姿勢がでてますよね。ジャニーズは「君と僕の距離感」についての曲が多いですけど、LDHはそれと同じくらいに「俺たちがお前らを引っ張っていくぜ!」っていう曲が多い。これって印象的じゃないですか?

草野 ・・・ああ、たしかに「R.Y.U.S.E.I.」はそうだろうね。

まっつ 確かに、「R.Y.U.S.E.I.」は最初は語りかけるような感じだけど、途中から肩くんでワイワイ騒ぐような感じで、ぜんぜん違うようなかんじですよね!(笑)

ノイ村 サビの歌詞は「人生一度きり DREAM 掴みたいから今 OOH OOH! SAY IT NOW, OOH OOH! 全速で STARS SHINE 駆けるほうき星が OOH OOH! SAY IT 煌めいて」ですよ??(真面目な声で音読)

草野 そんな真面目に読むと笑えてくるじゃねぇかよ!!(笑)

ゴリ いやあ、なにを言いたいのかサッパリだわ・・・(笑)

まっつ 「この道がどこで終わるかは分からない でもどこから来たか それだけは分かってる」っていうのを直前に唄っているので、精一杯生きよう!っていう歌なんですよこれ

草野 それはわかるけど、やっぱり温度感がかなり違うよね。急に弾けるというか

まっつ あがっていってドーーン!っていうEDMっぽさが歌詞にも入ってますよね(笑)「HIGH & LOW」っていう恐ろしい作品を出したのはその後ですよね。

ノイ村 音楽のほうから話せば、「HIGHER GROUND」はDimitri Vegas & Like Mikeとのコラボですからね。

草野 一つの母集団であれくらいの一致団結しているのを見せつけるのもあまり数多くはないんだけども、ジャニーズでいうと年末の年越しライブと同じようなものよね。

ゴリ 全員が集まって・・・っていうところね。それはそうやろね

ノイ村 いうなれば和製マッドマックスの世界観ですよね

草野 ヤンキーみたいな格好したやつが喧嘩して殴りまくってる、不良の姿をいまに復活させたような作品よ。

まっつ 草野さん穿ってみすぎじゃないですか?(笑)

ゴリ 応援上映もしてたから、大声で叫んじゃうよね

ゴリ・ノイ村・まっつ どうしちまったんだよ琥珀さぁぁぁぁん!!!!

草野 うーーわ、何この3人こっわ・・・

話題騒然『HiGH&LOW』の応援上映が衝撃すぎた 僕の不良魂が目覚めた話 - KAI-YOU
https://kai-you.net/article/33613

ノイ村 まぁ楽しいんですよ(笑)で、さっきもいった「HIGHER GROUND」の歌詞もそうですけど、基本的には聞き手を鼓舞するような歌詞が満載で、聴いてると確かにテンションあがってくるんですよね。

草野 何度となく言ってるけど、陽キャだよね。オレの背中についてこいタイプの・・・

ノイ村 懐が深いタイプの、兄貴タイプですよね(笑)

まっつ WANIMAの陽キャっぽさとはちょっと違いますよね。

草野 うーん、WANIMAの陽キャっぽさって、『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』に出てくる石上が入った応援団の団長みたいな感じなんだよな・・・って言ってもわかんねぇか!

ゴリ みてへんのよな・・・

草野 この話は以上で終わりますか・・・ジャニーズとLDHの関係性をドガっと話してみると、ここまでドラスティックな変化があって、地図がかなり変わっていったんだなというのがわかるわけですよ。いまのはアイドル的な立ち位置のひとらの話をしたけども、こと男性のグループやシンガーは、5年刻みで主役が変わっていった印象すらある。

まっつ 確かに。男性ソロシンガーだと星野源、三浦大知、米津玄師が思いつきますけど、みんな2015年以降が目立っている感じがしますね。

草野 それ以前だと平井堅がいたりして、もちろんいまだって平井さんはいるにはいるんだけども、ここで話をしておきたいのが・・・「女性のソロシンガーがここ10年近くに渡って下の世代からの突き上げがない」ということよね

2010年代、女性シンガーは不在だった?
J-POPの産業的構造とアニソン話後編

ノイ村 実は草野さんからこの話があがって、「・・・本当だ、たしかにそうかも」と思えました

草野 まじかよ

ゴリ 強いていえば、あいみょんmiwaかな?というところじゃないすかね?

まっつ 西野カナはどうでしょう?でもピンポイントで歌詞を書く人ですからね、万人受けという意味でのポップスというと・・・

ノイ村 ファンにはめちゃくちゃ受けますけどね。

ゴリ 宇多田ヒカル・椎名林檎・aiko・浜崎あゆみさん以降であげていくと、直後くらいには鬼束ちひろ・中島美嘉・矢井田瞳・一青窈・元ちとせらがいたよね

草野 いまでも十二分に力をもった方々じゃないですか、間違いなく確固たる地位を持ってる人だよね

ゴリ 逆に言うとさ・・・上が詰まってるんじゃないか?ってのも言わない?

草野 ロートルはさっさとどけろよってこと?

まっつ 過激すぎません!?(笑)

ゴリ ちゃうちゃうちゃう・・・!このあとには倖田來未がブレイクを果たすけども、ほぼ同タイミングでAKB48がブレイクを果たしていて、その後数年はCDの売れ行きでヒットソングがわかるという図式が消えていったわけで。そうすると、その頃にデビューした子とかは「ヒットソングが作りづらい」状況にあったわけで、そこでまず厳しかったというのが一番の理由やと思うのよ

草野 なるほどなぁ、たしかにそれはそうなのかもね。ビッグなシンガーがゴロゴロいて、ほぼ同世代くらいにはアイドルがバンバン売れてて、CDチャートはハックされていれば確かに・・・CDの売上も落ち気味になっていったので、その頃にデビューした方々は厳しい状況にもなっていきましたよね、という。倖田來未はスゴイけども、同時期ならAI、青山テルマ、伊藤由奈、YUI、加藤ミリヤ、西野カナ、絢香といった方々が思いつく

まっつ 彼女らも10年代直前ですよね?2010年代のデビューした方はどうなの?っていうこの話からでいうと、難しい立ち位置にいましたよね。

ノイ村 まぁこれまで何度となく話をしているのでサラっと話をしておくと、ドラマなどのタイアップに選ばれて、そのドラマの人気になると同時に、テレビやCMなどの広告宣伝をものすごい数でうっていくことで売上をあげていこうっていうのが90年代から長く行われてきたJ-POPの宣伝手法で、さっき名前が上がった人たちももちろんそういった部分のあおりを受けていたのは大きいと思いますしね。

ゴリ それに重ねて話すなら、僕の中でその一番のパターンも中島美嘉さんだと思うんだよね。ドラマ主題歌つとめていて、そのドラマでヒロイン役をやっていて、デビューをするっていうね。

草野 懐かしいなぁ、オレとゴリさんが中学生とか高校生のころですわ(笑)

ゴリ いまなら藤原さくらちゃんとかじゃないかな?

草野 ドラマやテレビ番組の主題歌とかに選ばれるっていうのは大きいよね。宇多田さんや椎名さんはそうでもないかもしれないけども、浜崎あゆみ・aiko・倖田來未は凄かったじゃん。選ばれたらバンバン流れるし、そのペースを3ヶ月か4ヶ月に一回必ずやるんだから、みんな知ってて当然だろうと。

ノイ村 あとはこの話もすべきだろうと思うんですけど、広告を与える側であるコンテンツホルダーの目線で・・・かなりセンシティブな部分なので慎重に話したいんですが、そういった女性シンガーが「広告塔として、どう使えるのか?」という部分も重要なんだろうと思うんです。広告として映えるか?ドラマ/映画作品や番組に合うか?という部分にも気を使っていくので、当人らのビジュアルや表現したいことなどもかなり重要なポジションになるわけですし。

草野 その話をうけて話をすると、何人かのジャーナリストや評論家がいうように、J-POPは産業的に構築されたひとつの産業体であったということよね。映像作品のタイアップに使われていってシンガーが売れて、音楽が売れるというものがあった、00年代の終わり頃まではそういったものでうまく回っていったんだと思う。安直にいうと、女性シンガーが選ばれて歌を歌えば、視聴者に女性が多いドラマだと女性のかたにうまく刺さって売れることになる。そういったなかで、徐々に日本の映画やドラマのなかでも、マンガや小説などの原作作品を元ネタにした映像作品が増えていって、オリジナル作品と言われるものが少なくなっていくのが2010年代に入ってからの傾向だったと思うのよ。比率的にはオリジナル原作のものが断然多いよ?そりゃそうだけども

まっつ 比率として、原作ありきのメディア展開をされているものが多くなったと

草野 そうそう。で、実写映画がアニメに対して興行収入でまったく太刀打ちできなくなってしまった、というのも2010年代に起こるわけよ。ジブリアニメが2010年代中頃で止まったあとは、新海誠と細田守などが出てきてヒットを飛ばしたり、ドラえもん・ワンピース・コナンなどが健在ぶりを見せつけてくるわけよね、これは2010年代の初期ごろから・・・というか流れとしてはもっと前からはあったと思うけども。で、テレビにいたってはそもそも視聴率がガックリと落ちてしまっている状態だったのが、2010年代。

ノイ村 そうですね。

草野 さっきまでの話はテレビを主軸にしていた広告戦略だったわけだけども、同じような戦略は実写の映像作品にも関わってくると思う。でも、実写のドラマや映画作品をそもそも見なくなってしまった・・・だからこそ主題歌は聴かないだろうし、CMだってみない、頑張ってうった広告がそもそも見られない状況になってしまった、だからこそJ-POPとドラマが厳しい状況になった!という筋の話、肌感覚でもそうなのかもなぁなんて同意してくる人は多そうかなとは思う。とくに90年代00年代を知っている僕と同い年以上、アラサー前後以上の年齢の人は・・・

ゴリ 納得はできるかな、と

草野 ありがとう(笑)こういった部分が影響して、「女性のソロシンガーがここ10年近くに渡って不在なのでは?」ということに繋がったのかなと思うんだよね。テレビからのフックアップで売れる、とりわけドラマのタイアップで売れた2010年代のヒットソングって、星野源の「恋」以外でパっと思いつかないですよ

ゴリ ・・・いまそういった話をしているから、月9ドラマの一覧を見ていたんだけどさ・・・光永亮太が2003年で売れたのを思い出してるわ

草野 光永亮太!超懐かしいっすね!!「Always」ですよね!正直オレ、2010年代のテレビタイアップソングで売れたっていうのをぜんぜん思い出せないわ・・・

まっつ 月9ドラマが売れたのと同じように売れる・・・というの感じですよね?

ノイ村 草野さんはアニソンを書いているから分かると思うんですけど、楽曲が良いとか、そもそも人気な人の曲だから売れるというのではなく、作品コンテンツの強さや人気に伴って売れるというのは間違いないんですよね。米津玄師の「Lemon」は間違いなく作品の人気に伴って売れましたよね

まっつ 野木亜紀子さんの作品ですよね。星野さんも米津さんも、それぞれ「逃げ恥」と「アンナチュラル」で主題歌を唄って、ヒットしたわけですよね。

ここからはディスがあまりにも強烈になっていくので、作品名と人名をふせさせていただきます。ご理解くださいますよう、お願い申し上げます。

草野 日本のドラマ見ない側のオレとしては死角にはなるけども、野木亜紀子さんは知ってる!(笑)この際ハッキリ言うけど、例えば月9のこの・・・○○○○さんの××××っていう曲、そもそも作品になってる△△△△△△△△△含めてまったく知らねぇわ!

ゴリ ハッキリ言うたな!

ノイ村 でも実際、そういうふうになってしまってますよね。実は2010年代になって頻発するのが、「曲は知ってるけど、なんのタイアップかを忘れてしまう」という逆のパターン

草野 00年代でもわりとあったような気がするよね。聞き馴染みはあるけど、作品名すっかり忘れてしまった!みたいな

ノイ村 草野さん、す○○○○○○○○さんの「○○○○○し」っていう曲、なんのドラマのタイアップか知ってますか?

草野 ファンの人には申し訳ないけども、その曲ごと聞いたことないです。。。。。。

まっつ オレは曲は知ってるけども、タイアップになった作品は思い出せないですね・・・紅白歌合戦に出たときはその曲でしたよね。

ゴリ オレもドラマの作品はしらんわ・・・パッと出てこないわ

ノイ村 「△△△△△△△△△ド」っていうドラマなんですけど、聞いたことあります?

草野 それ松××××さんが出てたドラマか、むしろドラマのほうは聞いたことあるわ!(笑)そうそう、いまパッと調べてみて気づいたけども、Official髭男dismも『コンフィデンスマンJP』でドラマ主題歌に選ばれてるんだよね、そうだったなっていう気づき。これは確かに売れたなと

まっつ そのあとの映画にも主題歌を務めていて、それが「Pretender」なんですよね

(4人で2010年代のドラマ一覧を片っ端からみていく10数分)

草野 こうして見ていくと、話にあがっていた「女性ソロシンガーのフックアップ」みたいなのが、そもそも数が少なくね?

ゴリ それもあるし、新人がフックアップされてないよね。光永亮太とか中島美嘉みたいなのがもっと数多いかと思ってた。

ノイ村 広告を出すという見方でいくと、いまって90年代ほどレコード会社や事務所の力が弱くなっていて、作品スタッフもよりよく作品に合った人や視聴者を呼び込める人を選びたいとなったとき、いきなり新人さんを選ぶという運びにはならないんじゃないかと思うんです。

草野 選ぶにしても、どんな人がそのアーティストさんのファンになっているのか?どういう文化圏のひとに合うか?年齢層は?男女比は?みたいなところまで突き詰めて選ぼうとしているわけよね。

ノイ村 しかも選ぶ主導権は映像作品側のスタッフのほうが強く持っているので、音楽ファンである僕らからすると「ええっ!?」っていう起用が増えたりすると(笑)なので急にビ××××××××にタイアップがついて、「今更それ?」と洋楽ファンから変な目で見られると。

まっつ 逆に言うと、それまでのアーティストさんにはいなかったようなファン層を呼び込めるチャンスも出てくる・・・というのはあるんですかね?

草野 作品の世界観をよりよく伝えられているという部分が非常に強いとありえるんじゃない?「かぐや様は告らせたい」の鈴木雅之さんみたいに

まっつ なるほど(笑)

草野 テレビドラマなどの映像作品でフックアップされなくなってしまったから、J-POPの顔役とも言えよう女性ソロシンガーをこの10年で立てることができなかった、仮説としては案外いい線なのかもしれないな

ノイ村 世代を担うような女性シンガーの不在が良いとか悪いとか、それが必ずしもJ-POP全体にまで波及する話ではないにしろ、ちょっと物足りなさはあるかもですね

草野 アニメやアニソン関係で書いている立場から話すと、この10年で水樹奈々とLiSAという女性シンガーが2人出てきて、日本中に知られるようになったというのがアニソンファンほぼ全員の認識ではあるんだよ。と同時に、映像作品という軸から言うと、アニメに大きな期待と注目が集まっていて、ドラマや映画に注目が集まらなくなった、そうすると、90年代や00年代のJ-POPで盛り上がった広告方式と同じような部分が出てくるんですよ

まっつ ・・・おおお!!

ノイ村 あーなるほどです。

草野 新人シンガーにアニソンを歌わせようとする流れは昔からあったけども、本人のパーソナリティも含めて「アニメとマッチしていそう」な方をアニメ界隈に流し込もうというのは、正直あると思ってるし、ここ数年で強くなってきたなという印象がある。声優さんやシンガーさんとして売り込んでみる・・・というね。

ゴリ それ、うまくいくん?

草野 もちろん、むちゃくちゃ狭き門だよ。オーディションなどを通して実力や伸びしろが現場スタッフレベルで見込めないと、まず起用もされないし、そこから様々いるファンのなかでも注目されないと、ただ起用されただけになる。むちゃくちゃ厳しい世界だと思うよ。しかも「アニメがヒットしないと主題歌は売れない」という部分があるのは間違いないし、ドラマタイアップなどと一緒で、一側面からするとただの運ゲー、ガチャみたいにも見えるよね(笑)

まっつ 今後は大手の芸能事務所が参戦してくることも・・・?

草野 いまの状況では、ないとは言えないかなとでもレコード会社の視点からいえば、アニソンはドラマタイアップよりも効果がある、あるいは同等のそれとして見られているかもしれないよ

ノイ村 曲名は言わないですけど、たまーーーにアニソンってキナ臭いというか、違和感あるタイアップや楽曲参加をみるときがあるんですけど、それはどうなんですか?

草野 それこそ・・・いや言うのはやめておきます(笑)アニソンの歴史を詳らかにしてみると分かるんだけども、アニソンや特撮ソングを歌うというのは、芸能界のなかでも下っ端仕事とみなられていた部分はあって、そこから這い上がってきたひともいる。最たる例は影山ヒロノブさんじゃないかと思うんだよ。

ゴリ へぇーそうなんや。

草野 もともと影山さんは70年代末にLAZYというヘヴィメタ系のバンドにいて、そこからメジャーデビューを勝ち取るんだけども、デビューシングルの時点でアイドル系な売り出し方をされてしまうのよ。それに違和感を感じていたバンドメンバーがいて、後に解散する。メンバーだった高崎さんと樋口さんはLOUDNESSを結成して、影山さんはアルバイト生活をしながらシンガーとして活動していたんだよ。「CHA-LA HEAD-CHA-LA」はドラゴンボールZの主題歌で影山さんの代名詞だけども、22歳から37歳まで15年も建設現場のアルバイトをしていたと。ちなみに影山さんが37歳のときっていうのは、1998年のときで、ドラゴンボールGTが放映終了直後くらいのタイミングじゃなかったかな。

まっつ うーわ・・・マジか・・・

草野 とにかくライブ活動だけは続けていて、チャンスが巡ってきて、特撮やアニソンを唄っていったわけですよ。アニソンで救われた、という影山さんの言葉は嘘でもなんでもない。僕ら世代で言うなら、FLOWや倉木麻衣も同じような側面はあるはずだよ。音楽シーンのなかでも、燻ってしまったり、完全にアウトしてしまった人を救済するためのアニソンタイアップという側面が、実は一番に根強かったりするんだよ。

ゴリ なるほどなぁ。そうなると、オーイシマサヨシさんがああいう風なブレイクの仕方をしたり、作曲作詞だったりスタジオミージシャンだったりでアニソンシーンにでてくるひとらも、そういった部分にも繋がるんだろうね。

草野 そうそうとはいえ、そこまで地道に継続してやってきた影山さんは、実はかなり奇跡的なんじゃねぇのかなって思ったりはするんだよね。だってアニメ作品がヒットしなくなったら、今度こそおしまいになってしまう可能性すらあるわけでさ。そういう部分からみてみると、はやくなんとかしないとJ-POP、ないしはJ-POPを生み出したシステムが死ぬんじゃねぇのか?って思えたりはする。もっと違う側面から音楽を打ち出していかないと・・・

ノイ村 星野源やあいみょんにしても、そういったタイアップで売れていったという部分がありますからね。

ゴリ もっと違う売り方、必要だよね。

草野 こういうときに、星野源さんが「オレの曲!!!めっちゃいいんだよ!!!」って言ってもスルーされるし、ファンのかたが「星野さんの曲めっちゃ良い!!!」って言っても「そりゃファンのあなたが言うんだから、そうでしょうよ」ってスルーされると。だからこそ、音楽が単純に好きで、色々と話せるような・・・「音楽ライター」のちからが必要なんですよ!

ゴリ 一気にそこに飛ぶんか!

草野 いやだって、最後のトピックだし???これ

まっつ しかも筋として間違ってないというね・・・

草野 ということで、こっからは4人で音楽ライターはどうするよ?っていう話をしますが・・・

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ここからは、とてもじゃないけど人目に公開できない話が続いたので、ここで終わりです・・・!!

ってことで、最初に4人で話してから5か月ほど経ちましたが、ほぼ全部出そろいました。ある事情で欠番になった話がありますが、それはそれで。

ありがとうございました。

こんにちは!!最後まで読んでもらってありがとうございます! 面白いな!!と思っていただけたらうれしいです。 気が向いたら、少額でもチャリンとサポートや投げ銭していただければうれしいです!