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男4人が話す、2010年代の日本の音楽についてPart4

おはようございます、こんにちは、こんばんわ、くさのです。

くさの、ノイむら、ゴリ、まっつの4人で2010年代の日本の音楽についてを、非常に雑記めいた感じで話してみました。今回はPart4です

それぞれに見ている部分が異なる4人で、日本の音楽を広く見通してみて、どういったことが同時多発的に起きたかをひとまとめにしておきたかった。それが第一の目的です。とはいえ、あいつもあいつもあいつもあいつも、この話のなかに出てこなかったりします・・・!!!ごめんなさい!!!

今回の4人話、その時間、2日がかりで10時間オーヴァーで収録しています。飲み会トークよりかはしっかりとしつつ、真面目な大学講義よりもサバけた感じにはなってるかと思ってます。

とはいえ、ちょっと雑に話してしまったな・・・というのは感じています。気分を害されるかたがいらっしゃるかもしれません。その点、さきにお詫びしておきます。申し訳ないです。

今回のテーマは、とてもローカルな話、とてもリアルな話で、それでいてヴァーチャルな話かもしれません


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居場所、現在地、いまここ
どこから来て、どこへ向かっていったのか?

ゴリ Part1の話で補足したい話があるから、そこからしたいんだけども。関西のバンドは過剰であるっていう話をしたじゃないですか?観客とのコミュニケーションとか、飛び道具をしているっていう部分があがったんだけど、一つ思い出したんよ。ミナミホイールっていうイベントは3人は御存知ですか?

3人 知ってまーす!

ゴリ ミナミホイールはライブハウス中心で組まれたイベントで、大きさは会場によって別々で、時間は30分ほどと決まってるのよ。まぁ要はフェスと同じで、自分たちが出てる会場を入場規制にもっていければ、次のタイミングではより大きいライブハウスでできるようになるし、自分たちの活動にもやっぱり影響が出てくるわけです。東京だと、こういうサーキットイベントってあるの?

草野 パッと思いつくのは、Shimokitazawa SOUND CRUISING、shimokitazawa indie Fanclub、TOKYO CALLING、下北沢にて とかかな

ゴリ ミナミホイールは今年で20周年とかで、かなり長い間やっているイベントなんだよね。もしかしたら東京だとここまで長くて、規模の大きいサーキットイベントはないのかもしれないよね。かなり長い間やっていて、いろんなバンドが出てきたし、秋には必ずやってきたわけだから、かなり影響力は大きいんじゃないのかなと思う。

まっつ そうですね・・・

ゴリ 例えばHomecomingsって、過剰なバンドではないわけですよ。

草野 うん、大分アッサリしてるバンドだと思うよ、その近辺のバンドやアクトに比べたらホントね

ゴリ 彼らと近いバンドとして、POST MODERN TEAMの方にインタビューする機会があって、思い切ってきいてみたんですよ。「同じ関西だとしても、KANA-BOONといったバンドたちとは絡みがないですよね?」と。

ノイ村 へぇーー!どう答えがきたんですか?

ゴリ 確かに絡みはほとんどないです。なぜなら、僕らはライブハウスでブッキングされることよりも、DJのクラブイベントからブッキングされることが多かったからなんです」例えばMapとかLONDON CALLINGといったイベントに多く出ていて、割と自由にやらせてもらっていたんだって話しをしていたんですよ。そういうライブハウス内と外で、ちゃんとした棲み分けがあったっていう話ね。

草野 そういうような話を前に僕もインタビューで聞いたことがあるよ。Half Mile Beach Clubというバンドにインタビューをしたときに、彼らは逗子をフッドにしているバンドなんだけども、「僕たちは当初、シューゲイザーとかドリームポップを主にした音楽をやっていたのだけども、どうしても自分たちができる場所が神奈川県や東京都内で見つけられずにいて、クラブイベントのなかで出演することが多かったんです」と。

まっつ すごく好きなバンドです。でも意外な感じがします。

草野 詳しく話を聞いてみて、自分の印象と照らし合わせてもたしかにそうだと思ったんだよね。神奈川で横浜のほうだと、山嵐や9mmのようなポップパンクやメタル系の激しいバンドが数多く、都内でも下北沢や渋谷になると、00年代直系のギターロックや、最近だとシティポップ系のバンドが多い。ライブハウスのハコによって特徴がしっかりとあって、その特徴にあった界隈が生まれて、土地ごとによって賑わうというのが傾向としてあるんだけども、いまの2組のように、どうしてもそこからハミ出してしまうバンドも出てきてしまう。90年代ごろにそういった部分があったかはちょっと知らないんだけども、00年代はおおよそあったと思うんだよね。

まっつ ですよね。ヴィジュアル系と下北沢系ギターロックとポップパンクって別々のハコでやってるイメージありますもん。

草野 そうそう。まぁでもザックリとした感じの話だし、例えば新宿LOFTのような名門だと、そういったまったく区別や界隈は関係なく出れるしね。ちなみにHalf Mile Beach Clubは逗子にある映画館をホームにして、主催イベントを行なっているんだよね。

ゴリ 「居場所がないから、ホームとなる場所を自分たちで作った」という点では、空間現代を思い出したわ。彼らは「外」っていうライブハウスを京都につくって、そこでライブをやったりしてるんだよ。場所を作るっていうのが重要なんだと思うんだよ。

ノイ村 それはライブハウスという意味だけではなく?

ゴリ そうそうそう。その場所というのが、レーベルを設立したりするということにも繋がると思うんだよ。生き埋めレコードとかね。

草野 Royal Recordもそうじゃない?

ゴリ そうだね。DIYで活動したいひとたちは、やっぱり強い気持ちや信念があるから、共鳴しあったら結束力もあるわけだし。それは2010年代に流行ったネットレーベルもそうだと思うんだけども、ノイくんどう思う?

ノイ村 いま手元に「Maltine Book」があるんですよね。2010年代にはネットレーベルの動きがあって、myspaceというサイトがコミュニティ機能があって、一時期までものすごい人気でしたよね。ぼくよく使ってました。

草野 オレもちらっと使ってたなぁ・・・たしかデータが吹っ飛んだんだっけ?

まっつ データが吹っ飛んだ?どういうことですか?

草野 文字通り、過去からつい最近までの音源データを誤って消してしまったんだよ

まっつ わーお・・・・・・・・

ノイ村 とんでもない終わり方ですよね、過去のカタログをすべてふっとばしてしまうという・・・・

ゴリ ・・・・ははは・・・・(引き笑い

草野 まぁしょうがないか・・・とか思いきや、海外ユーザーからはかなり非難が飛んでいたし、「冷静に考えてみたらとんでもないことだぞ!?」と振り返る人も多かったよね、ほんととんでもないニュース(笑)

ノイ村 話を戻すと、myspaceの流れはsoundcloudとbandcampに継承されるわけです。革命的だったのは、どちらのサイトでも、1つの名義のなかで音源をいくつでもアップできるので、1つのアカウントで複数人それぞれが作った音源をアップしてもオッケーという点。1つのアカウントで、数人集まって、それぞれに音源をアップしていける、しかも流通網のことは一切考えなくてもいいわけで、もはやそれはレーベルと言ってもいいわけですよ。

ゴリ なるほどなぁ。

ノイ村 日本だとMaltine Recordを筆頭にして、2010年代初頭にドっとネットレーベルが増えた。でも最初のころのMaltineは結構ハードコアだったんですよね・・・

草野 ・・・久しぶりにカタログを見てみよう・・・Silvanian Familiesさんとか?

ノイ村 うーん、AFXのようなサウンドだったんですよね初期の音源は。その流れが変わったのはimoutoidさんやDJ NewTownが出てきた「MARU-014」とか「MARU-024」とかじゃないですかね?あとはokadadaさんとかが出始めていたり。CDで『MP3 killed The CD star ?』を出したのが2009年とかですしね。

草野 あれオレ買ったんだよ、ワイパさんのやつだよね?(DJ Wildpartyのこと)

ノイ村 そうですそうです

草野 実はオレ内容のこと全くわからなくてさ、まず開けたらCD-Rだし、内容もダイジェスト版・・・収録曲を使ったショートリミックスになってるんだよ。「なんじゃこれ!?」ってなったよね(笑)

まっつ もちろんネット上に音源があるわけですよね?

ノイ村 そうですそうです。マルチネのほうにすべて音源アップされてますよね

草野 それやる意味ないよね、作る意味なくね!?とか思ったもん

ゴリ はっきり言うたな(笑)

草野 まぁ当時はぜんぜん意味を分かってなかったし、その後に「そーいうこと!?」って気づくっていうね。

ノイ村 そのあとには三毛猫ホームレスとかSilvanian Familiesとかのリリースがあって・・・

草野 banvoxってやっぱりこの並びでみるととんでもないんだわな

ノイ村 まさにその話ですよね。2011年の11月に「Intense Electro Disco」が1日に4000ダウンロードとかされて、界隈に衝撃が走ったんですよね。

まっつ すっごいですね

ノイ村 当時はいまほどTwitterが流行っていなかったし、バズが起こったらとんでもなく情報が早く流れる時代だったので、可能性みたいなのを見出した人も多かったように思いますね。翌年にはtofubeatsが台頭してきて、「水星」がヒット曲になるわけですよね。インターネットから出てきた人によるヒットソングですし

草野 初音ミクとかのヴォーカロイドとか違う流れで、ネット上のヒットソングを生んだといってもいいよね。曲調としては、直前にマルチネから出していたAvec Avecの「おしえて」に近いものを感じてたりしたな

ノイ村 確かにリリースが近いですもんね。「もしかしてネットにこそいい曲があるんじゃないか?」と思わせたという点で、この曲のインパクトは計り知れなかったですよ。最初のころに話しましたけど、J-POPにいい曲が見当たらなかった時代だった、だからこそこのムーブメントに夢中になる人も多かったんだろうなと思います。

草野 ceroもこのときにデビューアルバムを出してて、静かに大きい存在へとなっていったわけだけども、「良い曲、良いポップスってなんだ?」というムードはあったように思うわ

ノイ村 たぶんこの頃から、昔のJ-POPを見直す動きが始まっていて、宇多田ヒカル再評価の流れにもtofubeatsとPUNPEEは加わってて、絶大な影響力を発揮していたわけですよ。

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メジャー、サブカル、インディ、オタク
何があって、何を愛し、どこにいたのか

ノイ村 その話からつなげて・・草野さんがアレルギー反応を出すかも知れないですけど、とある話題に触れてもいいですか?

草野 そこまで毛嫌いしてないよ!(笑)どこの話よ?

ノイ村 2010年代におけるサブカルとJ-POPの関係について、ですね

草野 ・・・・えーっとサブカルって具体的にどこの??(笑)

ノイ村 象徴的なのは映画「モテキ」とかですね

まっつ ああーーーわかりますわかります

ノイ村 かなりストレートに「J-POPはいいよね」というのをやってますよね

まっつ かなりストレートですよね、加藤ミリヤと清水翔太の曲が流れたりして

ノイ村 例えば「デトロイト・メタル・シティ」だともっとネタっぽいんですけど、「モテキ」はもっとストレートに出してる。

草野 掟ポルシェさんとか水中、それは苦しいが出てたよね?

ノイ村 そういったサブカルな部分をちゃんとフックアップしつつ、なんですよね。ももいろクローバーの「走れ」をかけていてね

ゴリ かかってたねーー(笑)

ノイ村 カジュアルなアダルト文化の消費もありましたよね。ムードはちょっとアッパーすぎるけども、時代資料としてはかなりしっかりまとまって見れる作品でもあるわけですよ(笑)

草野 たしかにそうね

ノイ村 それでいて、主題歌はフジファブリックだったわけじゃないですか。00年代後半から2010年代前半の下北沢を含めたサブカルは、それまではビレヴァンがサブカルの中心で、ロキノン系のバンドがBGMになっていたわけで、そこから視点をズラそうとしていた時期だったと思うんです。そういったズラしかたにハマった方々が、ceroなどのインディミュージックにいったり、ももクロなどのアイドルムーブメントに行ったりしたように思うんですよね。そういった方々にもtofubeatsらのようなネットミュージックの話は目に入ったと思うんです。いったん、メジャーからみんな目を離した瞬間だったと思えるんですよね。

ゴリ 実際サブカルへの注目された時期だったと思うんですよ。宮沢章夫さんが司会を努めて「ニッポン戦後サブカルチャー史」っていう番組をNHKでやってましたよね。

草野 やってたね、見てたよ

ノイ村 見てました見てました

ゴリ ああいう特集がNHKで取り上げられていたのは、やはり大きな注目を集めていたからこそなんだと思うんだよね。話の最初から続いてるけども、とかく「メインなもの、メジャーなものが分からなくなった」状況下になっていたんだろうね。

ノイ村 AKB48も、最初はサブカル側の動きだったんですよね。それがどんどんデカくなったわけで。

草野 なるほどね。むっちゃくちゃザックリとした分け方で話を返しても良い?

ノイ村 いいですよ

ゴリ ええけど、ちゃんと載せられるような言葉で話しや(笑)

草野 わかってますよ(笑)2000年代後半から2010年代前半まで、文字通り秋葉原と下北沢ばかりに行っていた自分だけども、相対性理論を筆頭にしたサブカルのファンダムと、ももクロやAKB48を筆頭にしたアイドルのファンダムだと、当時00年代後半だとまるで被ってないよね?

ゴリ うん、まるで被ってないわな。

草野 その地殻変動があったのって2010年代前半なんだと思うんだよ。あえてここでぶったぎるなら・・・・陽キャと陰キャって言う言葉で話をしちゃうと、2つのサブカル分野のなかでも、活動的な陰キャと、むちゃくちゃ非活動的な陰キャがいるわけですよ。ceroとかのインディミュージックやアイドルカルチャーに接近したひとは、体育会系のグループでも生きれる活動的な陰キャだろうし、ネットカルチャーや相対性理論が好きなひとはインドアな陰キャだったろうよ、むちゃくちゃザックリした説明だけども(笑)

ゴリ ほんとザックリだね(笑)

まっつ 分け方がざっくりしすぎてやーーばい・・・(笑)

草野 しょうがないじゃん!ボヤけた話になってるわけだし!(笑)これのなにが問題かというと、これはサブカルの中での内輪話であり、いうなれば流派の違いででしか無いのに、サブカルの外にはもっと違うカルチャーが存在していて、本当の「陽キャ」はそこにいるということ。おれが最初に「サブカルの具体的にどこ??」って聞き返しちゃったのは、そういう意味なんだよ。

ノイ村 陰キャを自認している自分にとっては、むちゃくちゃわかる話です、そのとおりだなと・・・なるほどサブカルっていう場所が広すぎるから、どこを差しているのか?と返したんですね、あのときに

草野 そうそうそうそう(笑)すごくザックリとした返し方になって申し訳ないけども。さっきの「ロキノンからは目を逸した」って話にうつるけど、ロキノンって言ってしまえば陰キャの精神を歌っていたわけですよ。「オレの人生、生活、ぜんぜんうまくいかない、どうすればいいんだ・・・僕は報われたいんだよ・・・」っていうネガティブな感情がもとになっている。90年代のロキノンジャパンでバンバン表紙を飾っていたミスチルは、言わずもがなJ-POPの覇者であったわけで、御存知のようにミスチルとロキノン系バンドはとても似通っている

まっつ ああ、たしかにそうかもしれないですね。

草野 なぜかというと、自分を鼓舞したりする自己内省的な歌詞が両者の特徴で、あとは言葉選びや2人称3人称を使って、自分と他者との距離感をどううまく捉えるのかがキーになるわけよ。J-POPを応援ソングとか元気ソングと捉える向きもあるけど、その方向が、自分にいって自己卑下するか、相手に向かって救われるのか・・・というような部分で異なってくる。歌詞における距離感覚を、一気に縮めたり、方向をガッツリと自分に向けたのが、他でもないBUMP OF CHICKENだった

草野 BUMP OF CHICKENはもちろん00年代の下北沢を中心にしたサブカルでは絶大な人気だったし、ネットカルチャーならなおのこと人気だったよね、全国の方々に知られる存在ではなかったけどもさ。BUMPとともにアジカンにも同じ傾向があるとは思うんけども、あのころのロキノン系バンドはみんなスモールワールドな感じがあったのは共通してるよね。で、その距離感を一気に伸ばしたり、幅を広げていったのが、ONE OK ROCKであり、RADWIMPSだったと思う

まっつ うん、たしかに

草野 その証拠に、ミスチルはRADやONE OK ROCKとも一緒にライブをやっていたりするわけよ。

ノイ村 なるほどです。

草野 話がめっちゃくちゃそれてしまったから戻るけども、そもそも『モテキ』にあまり入り込めてなかったんだよ。映画を見たときにさ。

ノイ村 自分は『モテキ』にめちゃくちゃハマったんですよね。

ゴリ 面白かった?

ノイ村 面白かったですし、むしろ元気でる!くらいですね(笑)

草野 ノイくんが最初に気にしていたような違和感とか拒否感みたいなのはまるで無いんだよね。むしろ当然そうでしょ?っていう感覚のほうがむちゃくちゃ強かったの

ノイ村 そうなんですか?

草野 高校の頃から音楽を聞いてて、東京に上京してからは秋葉原と下北沢と町田にばっかり遊びに行ってたけど自分だけど、「B'zがいい曲作ってるなんて当然の話」だと思ってたんだよ。今更そういうこと言うの?みたいな

ノイ村 ああ・・・なるほど。僕が思っていたのは、00年代の途中からJ-POPがちょっと下に見られている部分はあったと思うんですよ。それを「モテキ」が解消した!というの風に思うんですよね。

草野 あったと思う。でも個人的には、「そんなん知らねぇよ、B'zはいい曲作ってるだろ」って思ってたから気にしてなかったかな(笑)J-POPがダメだからアニソンを聴くっていうノリはたしかにあったろうけどもさ。B'zが仮想敵みたいになってしまってるというのは、ネット文化的には理解はしてるけど、「いや、ALONEはいい曲だろ」っていう内心のツッコミが入るから、「モテキ」を見ても、現状の追認みたいな風にしかならなかったんだよな・・・

ノイ村 当時の空気を詰め込んでるし、当時のあるあるネタがすごく詰まってるとは思いますね

草野 それはわかる、そうだろうなと

まっつ でも、さっき草野さんが陰キャにも活動的な人と非活動的な人がいるって話をしてて、感覚的には納得しましたけど、これって・・・

ノイ村 きっと広告代理店的には、そこに大きな差を見出してないんでしょうね。一緒の人たちに見られてるという。

草野・ゴリ でしょうね!(ほぼ同時)

ノイ村 サブカルがどんなムードだったかをうまく描写しているというところに集約するために、うまく捨象されてると言って良いのかもしれないですね。

草野 でもさ、ちょくちょく言葉として出てくる「オタク」と「サブカル」って、よく比較されて炎上するけども、違うものだよ。いつの間にか同じ部類の方々と言われるようになったけども、やっぱり本質は違うよ。サブカル愛好家の向こう側には、エリートだったり、インテリだったり、もしくは教養っていう言葉がとても強く出てくる人らだと思うんだけども、オタクはそういった部分とはちょっと違った部分なんだよ・・・

ノイ村 エヴァンゲリオンって、元々はオタクが好きだったものだけども、途中からサブカルの方に偏っていきましたよね。

草野 これも難しい話なんだけども、心理学とか、神話とか、特撮ネタとか、ロボアニメネタとかが色々混じっていた作品で、そういった部分部分を考察しようと、特有の知識や言語を知らないといけなくなって・・・そこまでいくとサブカル側の人らの領域になるんだよね。

ノイ村 仮の話だけども、綾波レイにガチ恋するのがオタクで、設定などの謎解きをするのがサブカルな人、という感じですよね。

草野 でも実際はそこまでハッキリとした対立構造はなく、むしろ緩やかにつながっていたと言ってもいいのかもしれないね。今の時代を見てみると・・・

まっつ どんどんオタクエリートみたいな感じになったんですよね、2010年代へと進んでいくにつれて。

草野 そうそう!オタクとサブカルが融和していく部分がどんどん広がっていくんだよね。

まっつ ぼくが言うのもなんですけども、サブカルもオタクも内向的な・・・陰キャなかたがただと思うんですよ。でもそこで嗜好しているものや、興味が湧く領域が異なっていて、同じものを好きになっても、好きになる部分が違う!みたいな。

草野 そうだね。ヴィレヴァンが話に出てきたけども、とある時代では、ヴィレヴァンに行くのがサブカルの人で、アニメイトとかとらのあなに行くのがオタクだったわけよ

まっつ でも今だとどっちのお店もど同じような部分を扱ってますよね(笑)

草野 趣向が違うだけになってるというね(笑)

ノイ村 エヴァにしたって、オタクが考察することだってあるし、サブカルのひとがめっちゃ考察しているのもキャラへの愛があったりとかする、と。

草野 だから、言葉としての意味合いが弱くなったんだよね。同根同種で同じ領域の人だよね?っていう括られ方になってしまった・・・と。本当は別々の方々なんだけどもな。だからさ、マルチネってサブカルじゃなくて、オタク文化のところだと思うんだけどさ

ノイ村 マルチネのメンバーはみんなネギま!の「ハッピーマテリアル」を買いに行ったって言ってましたよ

草野 最高じゃん・・・!ランキング独占とかむちゃくちゃ楽しかったな

ノイ村 楽しかったんですか?

草野 個人的にはまぁ、高校の頃に2ちゃんねるやってたからね。2006年くらいに大学入って、最初は軽音部にいて、途中からサッカーサークルにいたの。そのときのメンバーが、そこそこサブカルとかオタクっぽいやつが多かったんだよ。他のメンバーと共謀して、アニメとかギャルゲーを薦めて流行らせたりしてたんだよ。

ゴリ うーわ(笑)

草野 いま思えば、あのとき俺がいた環境やノリって、今の2010年代でも十分に通用するんだよね。サッカーどころかスポーツ全般が好きなやつらで、体育会系ノリも少しあったし、麻雀とかすげぇやってたし、もちろんゲームも漫画もみんな好きで、とにかくTHE 大学生!って感じで。そこにアニメも加わってただけなんだけどさ。

ノイ村 当時だとそこまで色々やってる人らもいないでしょうしね。

草野 楽しいものに興味津々だっただけだと思うけどもね。当時の普通の大学生だと、そこまでアニメにハマる人もいなかったわけで、最近の大学生ならNetflixでアニメを見出したりとかはしてそうだけども・・・

まっつ はいはいはい、確かにいますね。

ノイ村 ぼくもだいたい2010年の前半から大学生でしたけど、モロにそれに近い生活してたのでよくわかりますよ。アニメが注目されたのとだいだい同時期でしたし。僕は工業系高校だったので、ハルヒを知らないのはむしろおかしい!っていう環境にいたので、全然すんなりいけましたね。

ゴリ へぇーそうなんや

ノイ村 そんな感じなので、文化祭になると大量のハルヒが登場するような感じなんですよ

草野 ははは(笑)大量生産型コスプレハルヒか!

ノイ村 そうですね(笑)そいつらみんなでハレハレダンスをするから、なおさら恥ずかしくなるという。当然みんなギャルゲやってるし・・・

草野 最高じゃん!

ノイ村 10年代だと、もはや歯止めが効いてないでしょうね。

草野 話の脈路でアニメの話になったけども、面白いものがあったらウケる!っていうのが実際のところなんだろうね。tofubeatsやマルチネにせよ、ceroを始めにしたインディシーンにせよ、メジャーなものにみんな飽きてたからこそ、カウンターとしてそういった層がむちゃくちゃ刺さったということよね。

ノイ村 そうですね・・・ここまで話してきてハッキリとわかるのは、メジャーなものというか、エンタメの中心と言われるものから発信されるものに、いろんな人が飽きていた、おそらくここにいる4人はみんなそうだったというね

まっつ そうでしょうね・・・

ノイ村 今まで聴いていたものと同じくらい、魅力的な音楽はないかな?と探すムードがあって、それが爆発したのが00年代後半と2010年代前半なんだと思うんです。

草野 わかるわー、もっというと、2010年代後半はその爆発によって生まれたものでずっと続いている感じもあるよね。

まっつ マルチネだったり、アイドルだったり、アニソンだったり、インディだったり。

ゴリ せやね。それらってなんかみんなつながってるイメージあるわ

草野 それでいて、居場所になっているところもあるよね。

<続きは下です>


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