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北海道帰りに帰宅難民を救ったら沖縄土産と3000円を貰った話

⚠️ 4日間で16時間くらいしか寝てないので文章終わってる可能性あり

23時頃に羽田空港第2ターミナルに到着。ターミナル間移動用バスに乗って、24時間使用可能な第3ターミナルに移動。そこで始発バスの時間まで待機。

これが今回の北海道旅行の最終プランのはずだったが、予定は大幅に狂うことになった。

まず、新千歳発の便が1時間弱の遅延。まぁ、夜の便というのは昼間の遅れのしわ寄せを受けるものなのだろう。

だが、1時間20分ほどのフライトのはずが、30分は伸びたと思う。直線で行けるやろという空路が大きくカーブをしていたあたり、他の便も遅延したため、飛行機が集中していて待機せざるを得なかったのかもしれない。(到着の遅延についての説明が機内で一切なかったのは不満である)

トラブルが重なり、羽田空港へ着いた時は既に日付が回っていた。厄介なことにターミナル間移動用バスの最終便が既に尽きており、車でしか移動ができない第3ターミナルへの移動手段を失ってしまった。

車でのみ移動可能、ということをその時点の我々は知らず、長蛇という言葉では足りないほどの恐ろしい行列を見ると、タクシーに頼るのも憚られ、どうにかして第3ターミナルへ辿り着く方法を模索していた。

先頭が見えないレベル

第2ターミナル内をさまよい歩き、タクシー以外の選択肢がないと気づいた時に、事件は起きた。

私たちと同じくらいの年齢に見える、男の人が話しかけてきた。かいつまんで説明すると…

「スマホの充電が0%になってしまい、迎えに来る友人と連絡ができない。ベンチに備え付けられてる充電器に繋げても何故か回復されない。モバイルバッテリーを貸してほしい」

ほう、盛り上がってきた。ここまでイレギュラーが発生すると、寧ろ面白いというものだ。

その男の人(とても物腰柔らかで、言葉遣いも丁寧な好青年でした)の頼みを快諾し、連れの友人がモバイルバッテリーを貸したが「充電器に繋げても充電されない」という言葉が気になっていた。それってスマホ側に問題があるんじゃ…。

案の定、モバイルバッテリーをいくら繋げても電源はつかなかった。スマホ急速充電の機械(よくお店に置いてある画面が水色で四角いやつ)は近くにあるが、0%だと手続きもできないし、そもそも充電できないのなら意味もないのでは、と。

そうこうしてるうちに、第2ターミナルは閉場の時間になってしまった。ひとまず外に出て、モバイルバッテリーを抜き差しなどの悪足掻きで電源がつくことを祈るしかなかった。

しかし、一向に回復せず。このままではアカンということで、1つ目のアクションを起こすことにした。それは「インスタで青年の友人の垢を見つけ、メールや電話で連絡を取る」というものだった。

青年は友人の電話番号やメアドを覚えておらず、連絡手段がSNS頼りだった。

友人のインスタのユーザー名を覚えていた青年は、私の連れのスマホでその友人の垢を発見し、DMを送り、電話も掛けた。時間はとうに25時過ぎ。青年の友人が車で迎えに来る時間もその辺りの約束だったらしい。

これで解決、というわけにはいかなかった。相手からの応答がなかったのである。

まぁ、打っている人間は本人でも、メールを送っている垢は全くの他人なのである。警戒するのは当たり前だ。一大事なのだから出てくれよ、とは思ったが向こうはまだ真剣な事態とも思っていないかもしれない。

電子機器による解決手段は潰えたと考えた私は「友人の車が既に到着していると信じて、探しに行こう」と提案した。

自分で提案していてアレだが、望みは薄かった。近くに大型駐車場が2つもあり、そこに停めている可能性は大いに有り得るからである。我々の捜索範囲はターミナル出口周辺のみであり、わざわざそこに来ている可能性なんて…。

やはり車は見当たらず。既に諦めムードが漂いつつあり、青年はこれ以上はもう大丈夫だと私と連れを解放しようとした。ここまで助けてくれたお礼と、私が手渡されたものは彼が行っていた沖縄のお土産である紅芋タルト。しかし、何も解決してないのにブツだけ貰うのは何だか申し訳ない。受け取ったけど。

それに、始発まで死ぬほど時間があることは間違いなく、私と連れはここまで来たら解決するまで付き合おうという意気込みだった。旅は道連れ世は情け、そんな古き言い伝えを体現してやろう、と。

そして、天啓が降りた。他人からのメッセージに警戒しているのなら、本人が送ればいいのでは?

私は「連れのスマホのインスタで青年さんがログインすればいいんじゃない?」と提案した。他人のスマホでログインというヤバい状況だが、既に25時半を回ろうとしている状態で選択の余地はなかった。

それからはトントン拍子で事が進んだ。連れのインスタで追加した青年垢で、友人にメッセージを送ったところ、既読がつき電話にも応答し、事情の説明と共に待ち合わせ場所も決定し、今から向かうのだという。

万事解決した瞬間に、青年のスマホがようやく起動した。その、あまりにも芸術的なタイミングには、一同は笑うしかなかった。

第三者である我々も大いに喜んだのだから、当事者である青年は泣きそうな気分だったのだろう。お礼にと握らされた野口3枚。

お土産を貰った上にこれは流石にNOと言ったが、ここで断固として突っぱねても、この美しい結末にモヤがかかるのだろうという予感もあった。彼の意志も尊重した上で、数度の応酬の末、受け取った。

青年は今日会った中で1番の笑顔を見せながら、手を振って去っていった。私と連れも彼の無事を心から祝い、タクシー乗り場に向かった。いつの間にか、行列はなくなっていた。

貰ったお金は、タクシーの運賃に使うことにした。

余ったお金で、コーヒーでも飲もう。

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