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『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』を観ました。ありがとう任天堂

 もう公開から三ヶ月も経っていたのですね。遅ればせながら『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』を観に行ってきました。

 想像以上に面白かったです。「神じゃんこの映画…」って思い続けてたら1時間半が経過していました。最後に観た映画は『すずめの戸締り』ですが、あれの100倍は面白かった笑

 記憶が新しいうちに、映画について色々書いていくことにします。後半はなぜ”想像以上”だったのかも説明していきます。相も変わらずネタバレ全開でHere we go!


任天堂検定

 どんなマリオファンでも、一回見たぐらいでは元ネタを網羅しきれないほどの情報量。誰が評したか「任天堂検定」
 1~2作プレイした人にも分かる簡単なものから、ドマイナーなものまで、どんな人でも一度は「あ、これって!」と思えるような作りでした。
 しょっぱなマリオ64のペンギンが出てきて「こいつ…やりおる」ってなりました。

 そして、幅広い年齢層に応えるのも我らが任天堂。元ネタの出典も最新に近いものからFC時代にまでと、まさに大人も子供もといった具合です。

 例えばマリカーの場面。スロットで車を選ぶ形式や反重力システムは最新のマリカ8から来ています。ただ、虹の上を走る場面ではSFCレインボーロードのBGMのアレンジが流れていました。大人へのファンサービスにも事欠かない姿勢大好き♡

 個人的にオオーってなったのは、青ノコノコの最後っ屁のトゲゾー化、ルイージの「マ~リオ~」がRPG3!!!のそれだったのと、カメックの魔法SEがWiiだったこと。あとカメックのピーチの変装とかもWiiを思い出して、ワクワクが止まりませんでしたねぇ。

ピーチ像の乖離

 クッパに攫われる、マリオが助ける。これがマリオシリーズにおけるピーチのお家芸ですが、この映画はそれを真っ向から否定しています。ピーチは武器を取り、自らの足で冒険し、クッパとガチンコでぶつかり合います。

 RPGシリーズのような強いお姫様の側面がこれでもかというほど強調されていて、ピーチ姫にそういう一面があることを知ってても、少し驚きましたね。

 てか、強すぎる笑 胆力も運動能力もマリオの遥か上を行き、キノピオを人質に取られてクッパとの挙式を上げざるを得なくなってもなお抵抗の意志を持ち続ける。アイスフラワーでクッパを氷漬けにするお姫様など誰が予想できたのでしょうか笑 沢田ユキオ先生の漫画じゃないんだから…

 このピーチの描かれ方の違いってなんだか面白いですよね。ハリポタやターミネーターでも強い女性像というのが印象的だった記憶があります(海外ってこういうのが多いのかな?)。「攫われるだけのか弱い姫」から脱した今作のピーチは、割と王道展開の映画で良きアクセントとなっていました。

王道が挑戦的

 今作のシナリオを超ざっくり説明すると「冴えない配管工兄弟が冒険を通じて強くなる」です。

 父親からは仕事を反対され、スパイク(元ネタはレッキングクルーに出てきた男)からは馬鹿にされる日々でしたが、紆余曲折を経てブラザーズを見直すようになる。捻くれた展開も特になく、ド直球なシナリオであることは間違いないです。

 しかし、マリオシリーズの場合はそれが異色で挑戦的な試みとなるのです。そもそもマリオが普通に喋るだけでも十分珍しいし、本編は正直シナリオ重視の作品の方が少ないから、例え王道でも物語性が付与されるだけでそれは全く目新しいものとなる。

 そもそも、家族や挫折、心の成長というゲームで当たり前の要素すべてがマリオだと「意外」になるのがスゴイ。

 今までのマリオ作品は、ルイージ以外の家族の描写はろくになかったし、負けることはあっても絶対に心は挫けなかったし、マリオの内面に触れてくる話など私は知りません。でもこの映画は違う。当たり前のように両親が出てくるし、強大な力にマリオの心折れる瞬間もあったし、それを兄弟の絆で乗り越える胸アツ展開もあります。

 王道だけど新しい。そんな今までにない感覚をマリオ映画では味わうことができました。

あの星はなんだ?

 おそらくマリオ映画で最も話題になったキャラクターである、青い星の「ルマリー」

 ネガティブを通り越してニヒリズムに全身突っ込んだような異様すぎる性格が、周囲からドン引かれて作中でも浮きまくっている。認めたくはないが元となったのは「ギャラクシー」のチコだろう。

 まぁ当たり前だけど不愉快なキャラですよね笑 このキャラに意味を求めるならば「絶対に諦めないマリオを際立たせる」ために用意されたのでしょうか。死を救済などとほざいてる星屑を見せることで、”諦めが悪い”マリオがより輝いて見えるという、それこそ一等星の如くね。

 エンディングでは、腑抜けた顔でポップコーンを貪り食う我々に語り掛けてくるメタ的キャラであることが判明。我々同じく物語を見てきたかのように「出来過ぎのハッピーエンド」と映画を評したりもします。水を差しやがってこのクソ星が笑

「マリオブラザーズ」をありがとう

 「弟のためならなんだってやる」「今度弟を馬鹿にしてみろ」

 今までにないほど弟想いの側面が出ていて、予告の段階でとてもほっこりしたのをよく覚えています。

 ただ、それまでなんだろう?と冷めた自分もまた、いました。

 いつだってルイージは不憫な扱いを受け続けてきました。兄弟の絆が主題と見せかけて、最終的にはマリオの独壇場かピーチと結ばれて終わりなんだろう、と。言うなればマリオWiiのような結末を辿る予感でいっぱいでした。

 でもね、違った。この映画は「スーパーマリオブラザーズ・ムービー」だったし、私が触れてきたどんなマリオ作品よりも兄弟を丁寧に美しく描いてくれた。それがもう嬉しくて嬉しくて…。

 この映画ではマリオはまだヒーローではありません。周りから認められず、怖気づく場面も多々あります。しかし、ルイージにとっては子供のころからマリオはずっとヒーローで在り続けていた。そんなマリオも、弟の救出のために自らを奮い立たせて冒険を続けます。

 そして終盤の展開ですよ。クッパに手も足も出ないマリオ。表ではドンキーとピーチ(笑)が戦っているのに、すっかり挫折してしまう。

 復活となったきっかけは、マリオブラザーズが出演するCM。こんなとこで挫けたら馬鹿にされたままで何も変わらない。ここに来て序盤のシナリオが伏線となるんですよね…。

 すんでのところでクッパブレスからマリオを守ったのはルイージ。冒頭で「M:立ち向かわなきゃいけないときもある」「L:相手によるよ」と逃げ腰だったルイージが、人間ですらない怪物に立ち向かい炎から兄を守るんですよ(´;ω;`) やるときはやルイージ!!!!

 そして、ルイージの献身のおかげでマリオはスターをその手に…じゃないんですよ。マリオはルイージの手を取り、二人一緒にスターを獲得するのですよ。

 こ~~~れなぁ、間違いなく映画で一番感動したし(´;ω;`)ブワッてなったシーンよ。ルイージはマリオの前座じゃなかったし、兄弟揃ってスーパースターになるのが最高かよって…。アイテムは一人一つ、という常識を逆手に取ったギミックで完璧に意表を突かれたよ。

 スター化したルイージが、いびられてたスパイクを助ける場面や、クッパ撃破後にピーチから「とても勇敢なのね」という言葉があったのも、ほんとルイージ好きにはたまらない。

 スパぺパや亜空の使者のゴミのような扱いに辟易しつつ、世間では「それでこそルイージ」みたいな風潮もあってうんざりしてたから、こういうルイージ救済というか、普通の登場人物として扱ってくれたことには感謝しかない。

続編はどうなる?

 絶対あるでしょ、と思わせるような描写はなかった。とぅーびーこんてぃにゅーの文もなかったし。しかし、もしあるとするなら二つのシナリオが考えられます。

 一つはルマリーを中心とした話。あれほど強烈なキャラが今回でお役御免とは思えないし、ロゼッタも出てくればもっと話は膨らませることができると思います。

 そしてもう一つ、こっちの方が可能性は高いと思う。ヨッシーアイランドのような物語ね。
 ラストにヨッシーが孵る場面があったし、クッパは捕まったのでクッパ軍の実質トップはカメックorクッパjr。アイランドのキャラが多く出揃っていますよね。クッパ救出に出向く展開とかあるんじゃないかな。

おわりに

 「ゲームの要素を見つけては楽しむ映画。シナリオはそこそこに」という気持ちで赴きましたが、シナリオも想像以上に素晴らしく、ここまで私好みでいいんですか?という忖度すら感じかねないほどのお話でした。

 任天堂好きに絶対観てほしい、マリオシリーズ好きには親が危篤でも観てほしい、ルイージ好きには自分が危篤でも観にいってほしい映画です。これは乗るべきビッグウェーブですよ!


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