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中小企業No.1 BPaaSカンパニーに向けた全社横断データソリューション組織の挑戦

皆さんこんにちは。Chatworkの池田です。
2021年12月に入社以降、Chatworkのデータ組織の立ち上げに関わっており、社内におけるデータ分析や利活用の促進に取り組んで参りました。
今期(2024年1月)からはChatworkグループの横断データ組織として「データソリューション推進室」が発足されましたので、今回はChatworkグループにおける、横断データ組織の組成の背景や役割についてお伝えできればと思います。


はじめに

Chatworkでは先日(2024年2月9日)、2024〜2026年の3ヵ年での新中期経営計画が発表されました。
そこでは、

  • 2026年までに中小企業No.1 BPaaSカンパニーのポジションを確立する

  • 長期的には中小企業市場における圧倒的なシェアを背景に、あらゆるビジネスの起点となるビジネス版スーパーアプリとしてプラットフォーム化していく

ということを目標として掲げております。(リンク

この中期経営計画の実現に向けて、以下の3つの戦略を展開しております。

  • コミュニケーションプラットフォーム戦略

  • BPaaS戦略

  • インキュベーション戦略

これら3つの事業戦略を速く・効率的に推進していくために、それぞれの戦略に紐づく事業部が組成された組織体制に移行しています。

「BPaaS」という言葉については聞き慣れない方もいらっしゃるかもしれませんが、 Business Process as a Service の略で、アプリケーションの提供ではなく、ビジネスプロセスそのものを提供するクラウドサービスのことを指します。こちらについては、以下の記事で詳しく記載がされておりますので、ぜひご覧ください。

整理すると、これからのChatworkは、『ビジネスチャット「Chatwork」の更なるグロースを推進するとともに、次の事業成長の柱となるBPaaSを展開し、これまで培ったアセットをもとにビジネスチャットでもBPaaSでもない新しい事業を創造していく』ことで、中小企業市場の本質的なDXの実現を目指していきます。

Chatworkのデータソリューション推進室とは?

前置きが少し長くなりましたが、ここからChatworkのデータソリューション推進室について詳しくお伝えさせていただきます。
まず役割についてですが、

  • Chatworkグループ横断でデータ利活用とオペレーショナルエクセレンスを推進することでグループシナジーの創出を支援する役割を担うこと

としています。

まずは、なぜ「データ利活用」と「オペレーショナルエクセレンス」に注力しているのかをお伝えしたいと思います。

[データ] × [オペレーショナルエクセレンス] = [データソリューション]

Chatworkという会社は現在グロース市場に属し、2024〜2026年連結売上CAGR30%以上という非連続な成長を目標に掲げるとともに、営業利益率(2026年EBITDAマージン10〜15%)にも目を向けていますが、こうした財務観点での目標達成とともに、継続的に競合優位性を築いていくことも重要であると考えています。

冒頭でもお伝えしたように、今後のChatworkはビジネスチャットだけでなく、BPaaSの展開や新規事業の立ち上げなど、複数の事業が相互に連携し合う形になります。そのため、マーケティングやセールスだけでなくプロダクトも含めて、個々の業務オペレーションが多岐に渡り複雑化していくことが想定されます。
それ故に、一つ一つの業務の生産性を向上させること(=オペレーショナルエクセレンスを磨き上げること)が、事業成長のレバレッジとして機能していくと考えています。

そして、その過程の中で必須の要素となるのが「データ」です。
誰も挑戦したことがないBPaaSという領域に飛び込んでいくわけですから、オペレーションを磨き上げるにしても、現時点では正解が分からない見通しが不確かな環境に置かれることになります。
そういった環境では、質の高い仮説検証を数多く回して正解に辿り着こうとするプロセスが大切になりますが、仮説検証の成功確率を高めるために「データ」によって客観的かつ定量的な根拠に基づく意思決定の積み重ねが重要になると考えています。

厳密にはChatworkはスタートアップ企業ではありませんが、こうした背景から、「データ」と「オペレーショナルエクセレンス」を磨き上げていくことが、Chatworkの競合優位性をさらに高めていくことに繋がると考え、注力することにしました。

組織戦略について

次に、データソリューション推進室の組織戦略についてお伝えします。

大別すると、データ利活用をテーマとする「データ推進戦略」とオペレーショナルエクセレンスをテーマとする「ビジネスプラットフォーム推進戦略」で構成されます。
そして、データ推進戦略はデータエンジニアリング/データアナリティクス&サイエンス/データマネジメントの3つ、ビジネスプラットフォーム推進戦略はCRM推進とBizOpsの2つ、にそれぞれブレイクダウンする形となっています。

  • データエンジニアリング

    • プロダクト/ビジネスで生成されたデータを連携・収集し、「生データ」の状態での蓄積から「ビジネス/プロダクトの背景や分析の目的が考慮されたデータ」に加工する

  • データアナリティクス&サイエンス

    • 分析的なアプローチや機械学習モデルによってインサイトを見つけたり、得られたインサイトをプロダクトやビジネスの施策に活用する

  • データマネジメント

    • 収集・加工・分析のサイクルを適切に回し、継続的にデータ利活用できる状態を維持する

  • CRM推進

    • ビジネスチャット/BPaaS/新規事業でシナジーを創出(クロスセル)しやすいビジネス基盤(Salesforce,Marketo)を構築する

  • BizOps

    • データドリブンな意思決定により戦略と実行の間での仮説検証サイクルを高効率に回して施策の成功確率を高める役割を担う

データソリューション推進室は、先に登場した3つの事業部とは独立する形で、各事業部を支援する横断組織の役割を担っており、主戦略を「室」、機能戦略を「部」、構成要素を「チーム」という単位で、それぞれに紐づく形で組織が構成されています。

データ組織の戦略の中にCRMとBizOpsの戦略が組み込まれていることに「おっ?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
実はここがChatworkの横断データ組織として大切にしたかったポイントの1つでした。

データソリューションを提供していくために

  • ダッシュボードを作ったけど、活用してもらうためにどうすれば良いか分からない

  • 分析を依頼されたけど、その結果がどのように使われたかまで追うことができていない

  • 機械学習で予測モデルを作ったけど、業務への導入までなかなか辿り着けない

  • 同じ指標を追っているはずなのにデータソースがバラバラで、人によって集計結果が異なってしまっている

データに関わる仕事に携わったことがある方であれば、上記で悩んだことが一度はあるのではないでしょうか。
自分もそうでしたし、今後も悩み続けるのだろうなと思っています。笑
ただ、こういった悩みでプロジェクトが立ち止まる、あるいはたち消えになることを少しでも減らせるようにできないかを考えたことが、現在の組織体制に至った背景でもあります。

これはあくまで主観ですが、データや技術は「使われて」初めて意味があるものだと考えています。
何故なら、データや技術はあくまで「機能」であり、会社からすると「プロフィットセンター」ではなく「コストセンター」に見られることを意識する必要があるからです。
従って、これらの「機能」がマーケティングやセールス、カスタマーサクセスの現場、或いはプロダクトに連携されて価値が発揮されるのであれば、その活用現場にまで踏み込むことが重要だと考えています。

例えば、Chatworkのセールス組織では、日常の業務オペレーションがSalesforceを中心に設計されています。
従って、データを使った何らかの施策を展開するならば、Salesforceに対してアウトプットを出すことになります。
もの凄く当たり前のことを言っておりますが、これが非常に重要なことと捉えています。

セールス組織は日々お客様と向き合いながら活動をしており、お客様と向き合う時間を少しでも増やすことが大切です。
そんな中、データを使った業務改善施策をSalesforce以外のシステムに連携してしまうと、「Salesforce以外のシステムを見る」という作業が増え、ツールの切り替えといった余計な一手間が加わってしまうことになります。
業務改善をしたいと思ってデータ施策をリリースしても、これでは返って逆効果になってしまい、使われないことに繋がります。

少し極端な例を挙げさせて頂きましたが、データを使ってビジネス組織に価値を提供するためには、業務オペレーションとそれらを支える仕組みまで理解することが必要不可欠です。(ここでは深く言及しませんが、その逆も然りです。)
こういった背景から、データ・CRM・BizOpsが近い距離でコミュニケーションを取り合いながら、スピード感を持ってオペレーショナルエクセレンスを実現していけるようにするために、データソリューション推進室が発足されました。

データ・CRM・BizOpsと一見異なる3つの機能ではありますが、お互いの専門性をリスペクトし合いながら一つの目標に向かっていける組織力は、データソリューション推進室の数ある魅力の中でも一番の特徴だと考えています。

さいごに

今後はBPaaS事業をはじめ、会社の成長に合わせて新しい事業が立ち上がるフェーズに差し掛かります。
そしてさらに、Chatwork株式会社は、3月27日に開催される株主総会で承認されることを条件に、2024年7月1日より「株式会社kubell」(読み方:クベル)へと社名変更する予定です!

こういった変化に伴い、データと業務オペレーションが複雑に絡み合うことが想定され、より一層、データソリューションの働きが重要となっていきます。
この会社規模で、このような大きな変化が起こる会社はなかなかないのではないかと思うのですが(笑)、変化とその過程を楽しみながら、データソリューションによって日本の中小企業市場のDXに挑戦していくことに少しでも興味を持ってくださった方は、ぜひお話をさせてください!

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