見出し画像

総統閣下はかく語りき〜Blue Face Blue

同志Aからのお題:名(迷)シーン


「念のため聞いておきたいが、あなたのお葬式は、何宗で出したらよいのかな、ベムラーゼ君」

1981年放送のテレビシリーズ「宇宙戦艦ヤマトⅢ」最終回におけるデスラー総統の言葉は、かめばかむほど味わい深い。23世紀初頭の宇宙を舞台にした物語で、まさか宗派が問われるとは。お釈迦様も涅槃でさぞかし驚かれたことであろう。21世紀の日本には天台宗、真言宗、曹洞宗など13宗あるという。200年後の星の海で、布教に勤しむのは果たして何宗なのか。曼荼羅的規模の妄想は事象の地平面まで続く。

「ヤマトⅢ」は銀河系を二分するガルマン・ガミラス帝国とボラー連邦の星間戦争に地球が巻き込まれていく、という展開。ボラ―連邦・ベムラーゼ首相との最終決戦を前に、デスラー総統は煽るように「何宗」かをお尋ねになったのである。絶妙な言葉選びに苦笑する向きも少なくないが、インド生まれのカリーが日本のカレーライスになったように、これぞ“和風”を以て貴しとなす技と見た。

声優はというと…総統の魅惑の低音美声は伊武雅刀さん。片やムキーッと激高する首相は「ヤッターマン」のドクロベエ役などで知られる滝口順平さん。ビブラートの効いた「おしおきだべぇ〜」の方である。ああ、2人の声だけでカレーライスがバクバク進む。

さてさて、現在の日本。例の国葬のことを「お葬式」と誤解されている国際学者先生もいたが、要は国費投入のお別れの会。お葬式は浄土宗の増上寺でお済みである。

壺という名のパンドラの箱が開いて、ヤバい話が出るわ出るわ。「知らなかった」「関係ない」などと平静を装いつつも、青ざめている御仁が多数。同じ青でも総統閣下のクールなご尊顔とはわけが違うのだよ、ベムラーゼ君。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?