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BE FOREVER コサキン

同志Aからのお題:不変


「ラジオの友は しんの友」

とは、TBSラジオ「問わず語りの神田伯山」オープニングの決めぜりふ。音だけを介してつながるラジオは、パーソナリティーとリスナーの関係を深くする。「真の友」とは言い得て妙だと思う。

元ネタは「五木寛之の夜」冒頭のせりふ「深夜の友は真の友」らしいが、ラジオの中でもとりわけ深夜番組は濃いめの“友”が集まる場。かつて愛聴していた「コサキン」もその一つだ。

小堺一機さん(ムックン)&関根勤さん(ラビー)のコンビによるラジオ番組は「コサキン無理矢理100%」「コサキンDEワァオ!」などのタイトルで2009年まで続いた。

リスナーから届くのは「中学2年生男子の放課後の雑談」のような「意味ねぇー」「くっだらねぇー」投稿の数々。はがきを読み上げるムックンが涙を流して悶絶し、ラビーの「ケレル!」などエコーを効かせた謎の擬音が響き渡る。2人の「似てねぇー」モノマネや、テレビでは見せない毒舌も炸裂し、時にはオケべなネタにオギオギ。

リスナーが発掘し、番組でネタとして多用された「コサキンソング」の中には、埋もれかけていた「ぼくらのブロム・1」や、まだ知る人ぞ知る存在だった「マツケンサンバ」シリーズがあった。

♪ブロロローッ、ブロロローッ、ブロロローッ!と炸裂する前者は、水木一郎アニキの魂の雄叫びをあらためて世に知らしめ、再浮上するきっかけになった。

暴れん坊な将軍さまが歌う後者は、時代劇スター&ラテンという摩訶不思議な組み合わせ。リスナー衆は長い長いイントロの先に極楽浄土を見たのである。深夜のコアな盛り上がりが、Ⅱの大ヒットへとつながっていく。

ほんとに「バカでぇー」な時間が楽しく、1週間が待ち遠しかった。

高校1年生の時、クラスで1泊キャンプに出かけた時も、聴き逃さなかった。わいわい騒いでいる主流派メンバーから少し離れた場所で、私を含む非主流派のコサキン好き男子数人は星の降る夜、芝生に座り、ラジオを囲んで笑い転げていた。ゲベロッチョな夏。

初の番組本「ら゛」が発売された際はは、高校近くの書店で多めに予約して、同級生に配る“布教”活動を展開したことも。

地元の放送局が番組のネットから一時外れた時は、ラジオ雑誌で見つけた強力なアンテナを通販で取り寄せた。これがなかなかの優れ物で、夜中に強くなる半島からの怪電波をかいくぐり、遠く離れたネット局の電波をしっかりキャッチしてくれたのだ。

「コサキン」のラジオ番組は令和に特番で復活した。ブランクは杞憂、あのころと同じ「意味ねぇー」「似てねぇー」「くっだらねぇー」世界の再来に歓喜した。

放送8500回を達成した「森本毅郎・スタンバイ!」だって音楽は新しくなるし、シーズン17を数える「NISSAN あ、安部礼司 〜 BEYOND THE AVERAGE 〜」だって人気キャラのイケリーマン刈谷勇は突然降板する。コサキンの不変が際立つ。

過日のラジオ40周年記念イベント@有楽町よみうりホールに、私も参戦してきた。舞台にはムックン&ラビーと構成作家の鶴間政行さんコサキン愛に満ちた影アナは土井敏之さん、客席を埋め尽くしたのは古参リスナーたち。2022年の暮れ
に、まさかの「真の友」集結だった。

同じ「真の」でも「まことの」と読むと「お父様・お母様」方面に行ってしまいそうなので、ラジオの友よ、注意されたし。

パッホーン!


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