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パパ必見!乳幼児育児は常に1ヶ月先の未来を想像すべし。デザイナーの育休。

こんにちは。アートディレクター狩集です。前回の記事は「育児中の家事はー(マイナス)から0(ゼロ)に戻すこと」という仮説を立て、それをパートナーに理解してもらうと幸福度が上がる(かも?)というお話でした。今回は実践するとパートナーが喜ぶ(かも?)「耐える育児は実は近道!」というお話です。タイトルでは「パパ必見」としていますが、ご夫婦でお子さんと接する時間が少ないほうの方に向けて綴っています。
以降お子さんと接する時間が多い方=ママ、少ない方=パパと記述しますが、各ご家庭の状況によって置き換えてお読みください。

子どもは24時間対応せねばならない小さなクライアント

この言葉は、私が産休に入る際、得意先やお世話になっている仕事仲間へ送ったご挨拶のメールにご返信くださったコピーライターの女性(一児の母)の言葉です。当時私は初めての出産で、産前産後の体験を綴ったブログや記事を読みあさって頭でっかちになっているだけの状態でした。同じ広告業界で活躍する彼女の言葉のユニークな響きに、ちょっとクスッとした私でしたが、後日この言葉が持つ本当の意味を痛感することになるのです。

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私たちアートディレクターやデザイナーは、クライアントから依頼をいただいてプロモーションやデザインという形にして返します。そのためにはまず依頼を整理するところから始めます。
・なぜデザインする必要があるのか。(問題点)
・デザインで何を伝えたいのか。(訴求点)
・誰に向けてデザインするか。(ターゲット)
・最終的にどうなりたいか。(スケジュール・結果)
ただカッコよくデザインすればいいわけじゃありません。クライアントの注文通りに作ればいいわけでもありません。生み出したプロモーションが社会にどう影響していくかを踏まえて考えるのです。我々だけでなく、同じ考え方で回っている業界は多いのではないでしょうか。
これって、育児と共通しませんか?
ただし仕事と育児では大きく違うところが2つ。

・言語がない
・就業規則(時間や病気に対する保障)がない

いや、当たり前です。当たり前なんですけど、これが彼女の言っていた本当の意味…。もう全てを悟っているはずの第二子出産の時も同じことを思いました。苦笑。

小さなクライアントが泣いている。
・なぜ泣いているのか(問題点)
・何を伝えたいのか(訴求点)
・誰に向けてなのか、または誰が対応すべきことか(ターゲット)
・限られた条件でどうすれば良いか(スケジュール・結果)
これを言語なしで察し、時にはお店や道路の真ん中、深夜早朝の頭が働かない時、出かける直前、いつでもどこでも早急に対応しなければなりません。
私も駅の階段で泣き喚く息子(当時2歳)をハトヤのCMの如く担いで駆け下りたことがあります。息子は暴れ、それはもう活きの良いマグロのようでした。周囲の視線が痛かったです。
ちなみにCMの魚はハマチ(養殖)らしいですね。お若い方はわからないかも。すみません。

楽なほうへ流されるのは簡単だけど、戻ってくるのは難しい

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前述の活きの良いマグロだった我が息子ですが、原因は散歩の途中、駅の売店で偶然見かけた電車の模型でした。1歳を迎えた頃から電車をこよなく愛する息子、途端に釘付けになり「欲しい!買ってくれるまで動かない!」となったわけです。
赤ちゃんの頃は泣けばとりあえずおもちゃやお菓子などを握らせて気を逸らせる作戦でも良かったかもしれませんが、もう2歳。そろそろ「世間には思い通りにいかないこともある」ということを学んでいかなければなりません。周りの視線は気になりますが、ここは折れない!と心に決めて、何も買わずに家に連れ帰ることにしました。
家に帰るまで、恥ずかしいわ暴れるわ、途中からまさかの雨でずぶ濡れになり散々でしたが、家に着く頃には息子も泣き止み、部屋で着替えていつものように遊び始めました。
その後似たようなことが1〜2回ありましたが、頑として受け付けない私にさすがの息子も理解したようで、おねだりしなくなりました(私には 笑)。
誤解のないよう申し上げておきますが、我が家の場合は「記念日やご褒美に該当しない買い物のみNG」という取り決めをしています。抱っこ、絵本を読んでほしい、雨だけど散歩したい、などのお金のかからない要求は可能な限り受け入れています。
さて、ここからが本題です。想像してみてください。あの時、私がうっかり折れて電車の模型(¥1,200)を買ったとしたら。私が泣き喚く息子を前に脳内でシミュレートした未来です。

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その売店は息子の通う保育園までの登園ルートの途中にあり、ほぼ毎日通ります。店内はキヨスクのような品揃えですが、なぜか鉄道グッズも充実しています。明日からまた毎日この売店の前を通るのです。お迎えの時間が同じお友達と一緒の時もあります。通る度にせがまれ、仕方なく買うと「泣いたら買ってもらえるんだ」と思い込み、さらに別の物も欲しくなる。そのまたさらに別のお店でも…。もしお友達がその様子を横で見ていたらどうなるでしょう。連鎖反応は幼児あるある…お友達ママもとんだとばっちりです。
一度こうなってしまうと軌道修正が大変です。大人もそうですが楽な方に流されると戻ってくるのは非常に難しくなります。
周囲の視線に耐えながら、ごねる我が子に対し折れずにいるのは辛いことですが、何回か繰り返せば子どもは学びます。

目の前の壁に今立ち向かうか、横にそれて一見平坦に見えるけど実は険しい道を行くか。

子どもと接する時間が多いママはこれを日常的に経験するので、1ヶ月先の未来を想像する癖が染み付いていきます。一方、週に1〜2日しか子どもと一緒に過ごせないパパは日々の積み重ねがないのに突然この壁が立ちはだかり、瞬時にその選択を迫られます。これはもうお気の毒ですがどうしようもありません。そりゃあ横の一見平坦に見える道が見えればそちらを選びますよね。しかしその先に待っている険しい道を実際に歩くのはママだったりするのです。
ドラマやCMなどでよくある「ママには内緒だぞ〜♪」というセリフ、微笑ましいですが、言う前にちょっと立ち止まって考えてみてください。1ヶ月先の未来を。

見方を変えると見えてくる、隠された理由

我々のようなクリエイター業界というのは、横文字職業で一見華やか、優雅なイメージを持たれることもありますが、実は終電帰りや徹夜・休日出勤の多いヘビーな世界です。
時にボロボロになりながら仕事をする姿を見て「なぜそんなになってまで頑張るの?」と聞かれたりもします。さて、なぜでしょうか。皆がそうとは限りませんが「納得のいくものを世に出したいから」じゃないでしょうか。
心身の疲れに負けて適当に作ったものがお店に並んだり、駅に貼り出されたりするのを実際自分が目にするのは非常に辛いですし、クライアントにも申し訳ないことです。
だから今頑張る。疲れたし休みたいけど、もうちょっとだから…

この気持ち、子育てでも同じです。
よくある家庭の風景ですが、子どもがチョコレートを欲しがり、ママがそれを「ダメ!」と取り合わないシーン。パパは「泣いてるぞ。ちょっと厳しすぎやしないか?少しくらいいいじゃないか」と心の中で思ったり、ちょっと諫めてみたり。
これが1歳児の場合、一度チョコレートの味を知ってしまったら、もう虜になってしまいます。でも歯磨きもまともにできないこの頃。万が一虫歯になって歯医者に連れて行くなんて想像しただけで大変です。子どもは美味しいものには貪欲です。美味しい!と思ったらパッケージを一瞬で覚えてしまいます。ママとしては「これは食べ物ではない」と教えたいくらいです。笑

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3歳児くらいになると歯磨き問題は徐々に解消されますが、自制心がまだまだ未熟です。際限なく食べたがり、今度は食事に影響が出てきます。お菓子はおやつの時間にだけ食べるもの、というのが我が家の常識と思ってもらいたいところです。
ご飯ではなくお菓子ばかり食べる習慣がつくと、毎日ご飯を作るママも多大なストレスを抱えますし、後々子ども本人の健康上の問題にも発展します。
ママが料理中にキッチンに入りたくて泣く子ども。あんまり泣くので「ちょっとだけ相手してあげてよ」とベビーゲートを開けてしまうパパ。気持ちはわかりますが、ママが一人の時はどうすればいいのでしょう?今はかわいそうに見えるのを我慢して「料理中のキッチンは入れないもの」と子どもに理解してもらうように持っていく方がハッピーです。
お散歩コースでも、危険な場所ほど子どもは行きたがり、途中で買い食いしたお店は忘れません。笑。
一見、厳しいママだな!と思える行動にはママの未来予測によって導き出された答えが隠されているものです。「絶対ダメ!」の線引きは人それぞれですが、パパが選んだ選択肢が1ヶ月後、我が子に、ママに、どう影響するのかを予測した上で判断してみてください。ちょっと頭を仕事モードに切り替えて、あなたが仕事で培った予測能力を応用すれば、ママとの経験値の差を埋めることができるかも。きっと今までと違う答えが見えてきますよ!

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