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子供と「できません、できません、こんなことできません」を撮影してみた

ステイホーム期間中、慣れないテレワークに従事している際、子供に遊ぼう遊ぼうとせがまれた経験はないだろうか。

子供にとって「父親が家にいる日=休日」な感覚になるのは当然で、仕事部屋(というほどの部屋でもないし、そもそも子供部屋だったりする)に乱入してきては、zoom中でもお構いなし、ちょっとした上司のように会議の中盤からひょっこり顔を出したりするから油断できない。

こっちは仕事が中断されて、イライラするし、向こうはいつまでたっても遊んでくれない父親への攻勢を強める一方だ。そう、完全にすれ違っているのだ。

かといって、「じゃあ絵本でも読んであげるから、これ一冊読んだら終わりね」と約束しても、思惑通りにいくとは限らない。4歳の娘は次々に続きを要求してくる。Netflixの韓流ドラマをBinge(いっき見)する日も近いだろうと思わせる無限地獄だ。

そこでふと気がついた。

成果物がないから終わりがないのだ、と。


前職の広告代理店マーケ時代に、得意先に対するワークショップのファシリテーションをやっていたことがある。得意先のビジョンを未来予想シナリオを作りながらディスカッションするというもので、ワークショップ自体は大変盛り上がった。

入社2年目の僕は、当時一緒に仕事をしていた先輩に「いやーうまくいってよかったですね」と、ほっとして話しかけた。その時、てっきり同意の相槌が返ってくると思っていた僕が、言われたのはこんなことだ。

「いや、ワークショップの終わりは俺たちの仕事の始まりに過ぎないんだよ。今日の「なんか良かった」という雰囲気は明日になればみんな忘れてしまう。必要なのは成果物なんだ。結局クライアントが俺たちを評価してくれるかどうかは成果物にかかってるんだ。そのクオリティが俺たちの仕事の価値なんだよ

新卒そこそこの当時、先輩から言われた言葉が脳裏に蘇った。そうか、確かに娘に読み聞かせしてあげても、そこに成果物はない。あるのは一瞬の満足感だけだったのだ。そんなものはドーナッツひとつ食べた後にはキレイさっぱり忘れられちまうのだ。身も蓋もない言い方をすれば、大切なのは、そう…

やった感。


どうすればやった感を子供与えられるのか…ああでもない、こうでもないと思案していると、ふと以前からトライしてみたかったことを思い出した。

ピタゴラスイッチというEテレの人気番組内の「こんなことできません」というコーナーをご存知だろうか。

コーナー名でピンと来なくても、
「できません、できません、人間にはこんなことできません」という歌とともに、関根勤が宙に浮いたり、壁をすり抜けたりと不思議な映像が流れるやつ、と聞けば、ああ、あれか、とわかる人も多いのではないか。

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NHKウェブサイトより 「こんなことできません」

要はコマ撮り写真をつなぎ合わせて、ショートムービーを作るということだ。

子供たちと一緒にこの番組を見ながら、いつかオリジナルを作ってみたら楽しそうだと思っていたのだった。そこで、

「よし、これからみんなで『できません、できません、こんなことできません』を作る!」と、唐突に宣言した。


「え?お父さんどういうこと?」という反応の息子(小3)。よく分からんがお父さんが遊んでくれるみたいという雰囲気を察知して「いいねー」と即同意をする娘。

「ほらあれのことだよ、ピタゴラの」と説明した時の子供たちの興奮は忘れられない。「え、できるの!?」「本当に!」「やろうやろう!」

さっそく3人で、どんな映像を撮りたいか話し合う。

ここでポイントとなるのは、「できないこと」じゃなければ意味がないということ。コマ撮りの特性をいかして、不可能なことをあたかも魔法のように実現する様が面白いのだ、ということを理解してもらった。

そしてアイデア決まったら、デジカメ用の三脚に、引っ張り出してきたSONY RX100をセットする。これはスマホよりもちゃんとしたカメラの方がいい。

子供たちも僕が慎重に画面の水平などを確かめているのを見ると、これはなんだかいつもの適当なスナップショットじゃないんだな…ということを察してくれる。

そして、「写真を撮ります パシャ」「写真を撮ります パシャ」
と関根勤の口調を真似ながら、シャッターを切っていく。

ここでは演技指導をすることになる。
コマ撮りなので、ちょこっとずつ動いた演技をする。10コマ程度で十分なのだが、一コマでどの程度動くのかを計算するのは案外難しい。

撮影が一通り終わったら、写真をPCに取り込む。
コマ撮りした写真をGIFアニメーションに変換するのだ。

これはGoogle検索をすれば色々なやり方が出てくると思う。僕はPhotoshopで作成した。順番に並べて一コマあたりの時間数を設定するだけなので、そんなに難しくはない。

そして出来上がったのがこちら

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↑息子の手刀で切り裂いたリンゴが、飛び出して娘の口に入るだけの動画

「できました、できました、人間にもこんなことできました」と言いながら見せると子供たちは大喜び。

所要時間は設定会議20分、撮影20分、編集20分。
のべ1時間でできるので、みなさんもぜひ試してみてほしい。


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