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AR業界の転換期になる2024年、Graffityの経営方針と今後の見通し

2024年は、Apple Vision Proの登場によりAR業界の転換期になると予測されます。AR業界にどのような変化が起こり今後拡大していくのか、そしてそのなかでGraffityはどのようなビジョンを持って未来に進んでいくのか。2024年の経営方針と今後の見通し、Graffityが目指すAR業界でのポジションについて、Graffity代表の森本俊亨にインタビューしました。

AR業界のこれまでとこれから、Apple Vision Proがもたらす変化とは

——AR業界のこれまでの流れと、今後の変化について教えてください
AR体験を提供するデバイスは「スマートフォン」と「ARグラス」の2種類があります。
2017年にAppleから「ARKit」、Googleから「ARCore」というスマートフォン向けのARアプリ開発SDK(ソフトウェア開発キット)がリリースされて以降、ARに対応したスマートフォンの数が大きく伸びました。現在では、ほとんどのスマートフォンがARをサポートしており、多くの人がARのアプリケーションを体験できるようになっております。一方で、ARグラスは様々なデバイスが市場に登場し、主にBtoB市場での展開が進んでいますが、スマートフォンほどの普及は見られませんでした。しかし、2024年に入り「Meta Quest 3」と「Apple Vision Pro」が登場したことで、これから市場が徐々に形成されることになります。まさに今が転換期だと考えています。
これまでのスマートフォンによるAR体験は、主にゲームを中心としたエンターテイメント領域での活用が中心でしたが、Apple Vision Proを筆頭としたARグラスによるAR体験は、エンタメだけでなく、仕事で利用できる便利なツールとしての活用までユースケースを拡大できると考えています。このようにApple Vision Proが出たことでARの活用の幅が広がることが予想され、業界にとって大きなパラダイムシフトになると考えています。

——なぜ、Apple Vision Proのリリースに注目が集まっているのですか?
Apple Vision Proは他のデバイスと一線を画す高いクオリティを持っています。特に4Kに匹敵する高解像度とコントローラー不要の操作性が特徴です。Macとの連携が可能である点も、このデバイスの魅力を際立たせています。これにより、Apple Vision Proは非常に魅力的なユースケースを提供するデバイスと言えます。

これまでのARグラスは低価格で性能も限定的であり、映像視聴やゲームでの活用がメインでしたが、Apple Vision Proはこれまでにない高い性能で、「仕事にも使えるARグラス」というイメージが初めて見えてきました。
ゲーム機のリプレイスだと、販売台数のトップラインの規模感はNintendo Switchで約1.4億台です。これがPCのリプレイスになると、当然もっとたくさんの台数になる。そういった意味で、Apple Vision Proの期待値は非常に高いです。

——Apple Vision Proのリリースが業界にもたらす変化は?
Apple Vision Proに特化したtoC向けアプリケーションの開発が進み、BtoBでは既存のデバイスがApple Vision Proに置き換えられる可能性が高いです。Apple Vision Pro独自の新しいユースケースが生まれることで、業界にいるプレイヤーたちが新たなサービスを創出する動きが活発化し、業界に大きな変化が生まれるはずです。

AppleはApple Vision Proについて、「空間コンピューター」と位置づけており、このデバイスは現実空間に3Dのデジタル情報を立体的に表示することにフォーカスされています。従来の2D中心のコンピューティングから、3Dに焦点を当てたこの進化は、多くの新しい可能性を開くと考えています。現在、Y Combinatorという有名なアメリカのシードアクセラレーター(※)が、空間コンピューティングを​​重要な投資分野として考えております。投資トレンドを作っているVC(ベンチャーキャピタル)なので、今後アメリカを中心に空間コンピューティング市場に大規模な投資が予想されます。そうなれば、プレイヤーが増えるし、良いサービスが生まれる確率が増える。そういった意味でも、空間コンピューティング領域でのユースケース作りは、Apple Vision Proが出たからこそ加速していくというのは間違いないと思います。

※起業家やスタートアップ企業に対して、支援を行う組織


未来を見据え、拡大するAR業界をリードするプロダクト開発を

——今後拡大が予測されるAR業界で、Graffityが目指すポジションとは?
今後、AR業界への新規参入企業が増加していく中で、早期から業界に携わってきた私たちの会社は、開発能力に加えて、企画のノウハウやユーザーインサイトを有しています。これらの強みを活かし、業界をリードするサービスやプロダクトを創出していきたいと考えています。

私たちの目指す業界でのポジションを考えるには、主に二つの重要な軸があります。

一つ目は、実利につながるARの新規事業を創造できる企業となることです。現状、多くのARプロダクトは実証段階で終わってしまいがちで、収益性のあるビジネスへと発展していないのが課題です。この課題を克服し、ARを活用した収益性の高い事業を展開するためには、AR、ビジネス、ユーザー理解を兼ね備えたプロダクトマネージャーが必要です。さらに、効率的な開発体制を築くことが求められます。このような組織を形成するには時間が必要ですが、持続可能な成長を遂げるためには欠かせない投資と考えており、組織力の強化を目指していきたいと思います。

二つ目に、私たちは「Apple Vision Pro向けのtoC事業に積極的に投資する企業」としての地位を確立したいと考えています。当社が掲げるビジョン「グローバルにAR体験を提供し、リアルな人々のつながりを豊かにする」に基づき、ミッション「リアルで人々のつながりを豊かにするARエンターテインメントを創出する」を追求しています。この観点から、空間コンピューティングは私たちにとって重要な分野です。次の時代のFacebook・Instagram・Snapchatになるような、大規模なコミュニケーションサービスは何なのかを追求して、AR×コミュニケーションの事業をとにかく仮説検証していきたいです。この取り組みは、次の5年、10年という長期にわたって事業投資を行うことにより、実現を目指していきます。最終的にGraffityが、「Apple Vision Pro向けの革新的な遊びやエンターテイメントを通して、リアルの人々のつながりを豊かにする会社」というポジションを獲得していきたいですね。


——具体的な見通しを教えてください

私たちの取り組みは、主に二つのジャンルに分けられます。
「ARゲーム」と「ARコミュニケーション」です。

まず「ARゲーム」については、Apple Vision Proを使用した独自のゲーム体験を提供することを目指しています。Apple Vision Proの技術を活用し、新しい形のゲーム体験を創出することで、買い切り商品としてのタイトルを市場に投入します。例えば、VRゲームの『Beat Saber』が180億円の売上を達成した事例を参考に、我々も5年後には2桁・3桁億円規模のゲームコンテンツを目指します。2024年はこの目標に向けて、Apple Vision Proで実現可能なゲーム体験の仮説検証とプロダクト開発に注力します。

一方、「ARコミュニケーション」は、10年後の市場を見据えています。SNSのような新しいコミュニケーションプラットフォームを想定し、将来的に普及するであろう技術とサービスに対する先行投資を2024年から開始します。この長期的なビジョンに基づいて、戦略的に企画と開発を進め、新しい形のコミュニケーションツールを市場に提供することを目指します。


一兆円企業を目指す、2024年の経営方針

——Graffityとして実現したい企業イメージ、目指すビジョン
Graffityは一兆円企業を目指しています。
掲げているビジョンは創業当時から変わらず、グローバルにAR体験を提供し、リアルな人々のつながりを豊かにしていきたいと考えています。
具体的なビジョンは、現実空間にデジタルなレイヤーを重ね合わせ、そのデジタル空間を、友人・恋人・家族などのリアルで一緒に過ごす人達と共有する未来です。例えばポケモンを連れて歩き、友だちと一緒に可愛がったりすることもできます。また、共有されているデジタル空間に食べログなどのお店を紹介する情報が表示されたりします。
これって、次のSNSだと思っているんですよ。既存のサービスをディスラプトするのではなく、新しいコミュニケーションの形を作って新しい価値を創造したいと思っています。直近5年は共有される空間は家・オフィス・特定の施設などの屋内を中心とし、5年後以降は、軽量化されたApple Vision Proが発売されることで毎日身につけるようになり、共有される空間は街全体へ拡大し、10億人がアクセスするプロダクトに成長する可能性があると考えています。その市場のシェアを獲得できたら、当然1兆円の企業なんですよ。そのようなサービスをGraffityはユーザーに届けていきたいと思っています。

ただ、これは10年単位の長期戦略であり、ハードウェアの進化も重要な要素です。まだまだ時間がかかる領域だと思っています。そういう未来が来る来ないかでいうと、来ると思っている。しかも、Apple Vision Proの登場によってさらに近くなっているはずです。Apple Vision Proが小型化され、一般に広く普及することで、「街中でみんなが付けている」という未来が現実のものとなり、私たちが想像するサービスが成立すると考えています。

——2024年の経営方針について
C向けの事業ではARゲームとARコミュニケーション軸でプロダクトをリリースしていきます。ARゲームの分野では、Apple Vision Proならではのゲーム体験を追求して、2024年度内に2本のゲームをリリースする予定です。さらに10年後のARコミュニケーション事業を見据えて構想を練っているところなので、2024年後半にはプロダクトをリリースして仮説検証ができるようになれば、と考えています。

BtoB領域では「Graffity AR Studio」という新規事業支援のサービスと、「Graffity Spatial Lab」というApple Vision Proに特化した企画開発をするサービスを拡大していきたいと考えています。これらのサービスを通じて、顧客と共にAR新規事業を推進し、単なる試みではなく、実際に成果を上げる事業として確立させることにコミットしていきます。

このように2024年度は事業拡大に取り組んでいきますが、その中でもARエンターテイメントというのは重要な領域だと考えています。ARで人と人との繋がりを変える、それを実現させるために、ARエンターテイメントに力を入れる方針を軸に事業拡大をしていきたいと考えています。


新しい領域にチャレンジすることに、やりがいと楽しさを見出せる人を求めています

採用候補者にメッセージ

エンジニアのみなさんへ:
エンターテイメントのコンテンツで、新しいことにチャレンジしたいという方は大歓迎です。AR、VR、ブロックチェーンなど新しい技術を使った新しいエンタメ体験というのは、すごくやりがいがあります。さらにその中でARエンターテイメント・ゲームに興味があるエンジニアさんには、ぜひJOINしてもらいたいです。

デザイナーのみなさんへ:
この業界にはまだ確立されたスタンダードが存在しないため、ゼロからスタンダードを作り上げたいと考えているクリエイティブな方々には最適な場だと考えています。新しいチャレンジを楽しむことができる方を求めています。

ビジネスサイドのみなさんへ:
ARを活用して事業を作るというのはめちゃくちゃ難しいです。でも、難しいからこそやりがいがある。ARという新しい領域で、既存のビジネスモデルをどう結び付けられるのか、それを企画するだけではなく実行までするのは大変なことです。でも、それを楽しめる人を求めていますし、マッチしていると思います。
ARを使ってお客さんやユーザーが豊かになる、便利になる世界は必ず作れます。それを一緒に作っていけるような、ゲームデザイナーやゲームプロデューサーのみなさん、新規事業を担当していた方やコンサル経験がある方など、ぜひお話したいです。

会社のカルチャー:
ARという新しい領域のエンタメ軸でやっているので、会社全体のカルチャーとしては遊びが好きな人が多いです。チームの空気感としては、目標に向かって、泥臭くかつ和気藹々と頑張っているような……甲子園を目指す野球チームみたいなイメージかもしれません。ピンと来た人は、きっと相性が良く、馴染みやすいと思います。


Graffityでは、AR技術に特化した新規事業の企画・開発・運用改善まで支援するスタジオ「Graffity AR Studio」を運営しており、これまで累計25万ダウンロードを突破したARシューティングバトル「ペチャバト」や、グローバルに展開しているARシューティングバトル「Leap Trigger」など、ARエンタメを中心としたAR新規事業を推進しております。これらの知見を活かし、スピード感を持ってARを活用した新規事業をワンストップでサポートいたします。

Apple Vision Pro向けにアプリをリリースされたい場合は、ぜひお問合せください。


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まずは話だけ聞きたいなどでも大歓迎です!!

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