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25736歩

ロー水槽に植え付けたガジュマルが再び、倒れた。もう一度、植え付けようか検討したけど、断念して、水草を植えることにした。

休日、水草を買いに出掛けた。
用事を済ませ、直ぐに戻る予定でいたのに
とても良いお天気だから川沿いを歩いてみたくなった。本当は、いつか歩いてみたいとずっと思っていたのだ。電車で2駅。川沿いを歩けば、自宅の最寄り駅に着くのだろうと思い込んでいて…。

桜がまだキレイに咲いていた。ちょうど、すずめたちが遊んでいて、桜をくちばしで突いて落としていた。手のひらで、その桜を3つ受け取った。わたしは、妙に嬉しくなった。
時々、強い風が吹いた。見事な桜吹雪は、儚く凛として…。

温かな陽気に包まれて、朗らかな気分。

ツバメたちが飛びまわり、なんだかワクワクしてきた。川の方に目をやると、鴨や鷺がいて。
白い鷺をすごいスピードでカラスが追い掛ける。カラスの様子に釘付けになる。もしかしたら、カラスは、一緒に遊びたいのかもしれないなぁ。

道の脇には、菜の花やチューリップも咲いている。名前の知らない、星のような花もアスファルトを紫色で埋めつくしていた。かわいい小鳥の声も合わって、私は、ニッコリ微笑み、川沿いをがむしゃらに歩き続けた。

私が歩く、向こう側に見惚れてしまう私がいる。古びた感じもなんだか好きかも。水槽のレイアウトもちょっと意識したりして。しばし、その景色を眺めていた。ツバメが飛ぶ 蝶が飛ぶ 私の気分は舞い上がる。

途中、学校や公園があった。サッカー少年がかわいく、そして、かっこいい。お父さんもお母さんもみんな笑顔だ。はしゃぐオナガ鳥。鳩たちも遊んでる。なんだかホッとするなぁ〜。公園の樹々の麓に座って、水筒に入れた小豆茶を飲んだ。こんな日は木陰がとても気持ち良い。

立ち上がり、再び、歩き始めた。
コバルトブルーの小鳥に連れられて、向こう側の道を歩いてみた。川が二股に分かれているようなとても小さな川。そこには、野生のめだかたちがたくさん泳いでいた。今、めだかが減少してきているというからとても貴重だ。

急に、景色が変わった。川沿いが整備され美しい街並み。大きな鯉もたくさん泳いでいる。鴨や鷺かな。川に潜って泳いでいる姿は、とてもダイナミックだから興奮する。
「あれっ」
どうやら、私は違う方向に向かっているらしいことに気がついた。

少し焦った。
そこで落ち着いて、リュックからスマホを取り出して地図を見る。
川沿いを歩き続けると随分と遠くなるらしい。
川沿いから離れて大きな車道に出た。小鳥たちが私の前を飛び、まるでこっちだよと案内してくれているみたいだ。ちょうど、大型スーパーが見えてきたので、ひとまずトイレ休憩。

再び歩きはじめ、遠くを見つめる。歩道があるか心配になった。まっすぐ、歩かない方がよさそうだ。
住宅地に入り込んだところで、マフィンを見つけた。数日前にマフィンのことが気になっていた。私は少し戸惑ったが、せっかく出会ったのだから、ひとつ買って、歩きながら食べた。久しぶりに食べたマフィンは、美味しいくて、穏やかなきもちになる。大きな公園に辿り着き、立ち止まった。リュックから水筒を出して小豆茶を飲んだ。

不安を抱え、もう一度、地図を見直した。遠くに見えている塔みたいなのに向かえば大丈夫かも。公園を抜けると団地があった。見えていた塔は、給水塔だった。
その前の道を下り、バス通りに出ると大丈夫。目的地(駅)に行けるみたい。
目印のお店が見えてきた。良かった〜。駅の近くに流れる川沿いに辿り着いた。
結局、同じ川ではなかったのだ。あいだの駅で川は切れていて、思わず笑ってしまった。

ひとまず、休憩しよう。駅近くのモスバーガーであまおうシェイクを飲み、お腹も空いていたのでフレンチフライを食べた。小学生ころのシーンを想い出す。
そろばんの試験の帰りだった。ひとつ下の友だちと、マックのシェイクとポテトのSを頼んで、おしゃべりしたこと。どんなことを話していたかは思い出せないまま。友だちは、いつもストロベリーシェイクで私はバニラシェイクだったな。

モスのあまおうシェイク、冷たくて美味しいなぁ。家まであと少しだ。

まだ明るいうちに、家に戻ることができた。
真っ先にめだかたちの給餌。
そして、マフィンの意味を調べた。
フランス語で「特別な存在」と言う意味が込められているようだ。

どんな生命もみんなそれぞれ違う。個性もバラバラで。みんな特別な存在。今、この場所で生きているのだって、ちゃんと意味がある。
生きる道のりのプロセスは、決して平坦ではないけれど、「いつだって大丈夫」だと、私は信じて生きてゆこう。