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ちっさいオッサン

子供の頃、よく文房具をなくして親に怒られた。
特にハサミや糊はすぐに姿を消した。
モノを大切にしていないわけではないのに、モノがなくなったり、机や枕元に本がどっさり積まれたり、引き出しの中もすぐにごちゃごちゃになり、モノが溢れた。

どうやら私は片づけが苦手なのだと自覚したのは、最近のことである。
それまで「なんでもできるのに片づけられないなんて、ポンコツっすねー」と人のことを笑っていたのだから性質が悪い。(バカにする意味で笑っていたのではない、そのギャップが溜まらなく愛おしいのだ!)

食べた後の容器や放っておくと悪くなるものはさすがにない。
時々テレビで見る”汚部屋”のように、足の踏み場もないほどではない。
そして定期的に断捨離のサイトや動画を観ては”これではいかん!”と、身辺整理を始めるのだが、気づけば整頓された空間はいつの間にか混然としている。
ちっさいオッサンでもいるのか、この部屋は…

自分で体を自由に動かせないのだから、ある意味仕方がない面もあるのだ。
ものを取りだす作業は、たいていモノを掴み・引っ張り・落とすという3段階を経るのだが、およそ重力に従えばよい。
ところが、元に戻すという作業は、モノを持ち・腕を伸ばし・上げるという重力に逆らった行動をしなければならない。これが障害特性上難しいのだ。

それを抜きに考えても、必要になったモノを”取りだす”という行為は、使いたい欲望に従って取りだせばよい。
ところが、元に戻して快適に過ごしたいという欲がない。用が済むとどうでもよくなってしまう。
今も、ごちゃごちゃになったキャビネットを横目でチラチラ見て、我ながら呆れている。

きっと、ちっさいオッサンのせいなのだ。
ちっさいオッサンが散らかしているのだ。
きっと、そうなのだ。


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