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切り取る・削ぎ落とす・取り除く ~『ガブリエル・シャネル展 Manifeste de mode』~

三菱一号館美術館で開催されている『ガブリエル・シャネル展 Manifeste de mode』に行ってきた。

私はファッションの美術的価値はよくわからないが、戦前・戦後を通して女性のライフスタイルを牽引してきたクリエーター、ガブリエル・シャネルの哲学を体現することができた。そしてドレスやスーツはどれも美しかった。

この展覧会を見て私は2つ思ったことがある。

1つは、今ではハイブランドとなったシャネルは本当にガブリエル・シャネルが望んだものになっているだろうかということ。
ガブリエルに野心家の一面はあったと推測するが、エレガントで気品のある、そして強い女性像のためにクリエイトしていたのであって、がっぽり儲けるために服を作っていたわけではないのだろうと思った。
私はシャネルのプロダクトを使っているし、確かに良いものは多いが、中には「このクオリティにしてこの価格は果たして見合っているのか」と思うものもある。かといってそのようなクオリティに見合った価格を出せばブランドの地位は下がる。百貨店の一番良い位置に店を構え、価格を下げないことでブランドの地位を維持しなければならないというハイブランドの悲しい性と私は見てしまうのだ。それはガブリエルが望んでいたことだったのだろうか。


2つ目は、彼女の印象的な言葉が、私が今後の在り方への道しるべとなる言葉と繋がったことだった。壁に掲げられたこの言葉が目に入った時、私はハッとしてしばらく動けなかった。

On commence toujours par faire des robes de rêves. Et puis, il faut abattre, il faut rogner, il faut enlever jamais remettre.

いつだって理想のドレスをつくるところから始めているのです
その次に、切り取ること、削ぎ落とすこと、取り除くことが必要で、
決して付け足さないこと。
Gabrielle Chanel, Elle, 9 Septembre 1957

つい数週間前、ある人から「何を捨てるか」ということがクリエイションにとっていかに重要かを学んだ。
ひょんなことからこの2人の言葉が繋がって私の目の前に現れたということにはきっと意味がある。
その意味は今はわからないが、クリエイションのみならず、これからの私のキーワードとなるような気がしている。


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