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フランカーに関して思うこと

香水に「フランカー」と呼ばれるものがある。
ある香水を元に、ボトルとネーミングを同じくしたバリエーション商品のことを言う。ここではフランカーの元となる香水を「オリジナル」と呼ぶことにする。
このフランカーについて思うことがある。

私はオリジナルもフランカーも購入する。
No.5はオリジナルよりもNo.5 l'eau(ロー)の方が好みだ。j'adoreもいくつかのフランカーを持っている。
だからフランカーを否定するものではない。

フランカーが販売されることには当然意味がある。

1.コストを下げアイテム数を増やすこと
2.マーケットの間口を広げること
3.顧客の来店動機を作ること
4.コレクター心を刺激すること

まず、「コストを下げアイテム数を増やすこと」について。
百貨店に入っているようなブランドは毎月のように何かしらの新作がローンチされる。その合間を縫って香水も販売されるわけだが、新作の香水を作るには私が知っている限り年単位の膨大な時間と費用がかかる。
そこで元々の香りをベースに、その時のトレンドや季節に合わせたフランカーを出す。コストを下げて商品ラインナップを増やすことができる。

次に「マーケットの間口を広げること」
オリジナルのレシピを少し変更したフランカーは、オリジナルがいまひとつ苦手な人への新たな提案になる。気に入ってもらえればもしかしたらオリジナルを手にしてくれるかもしれない。

3番目に「顧客の来店動機を作ること」と「コレクター心を刺激すること」に関しては、ご想像の通りだ。

以上のように、ブランドにとってフランカーを出す意味はある。
また、フランカーが出せるということは、オリジナルがそれなりの完成度を持っているのだとも思う。

だが私はフランカーにモヤモヤを感じてしまう。
どうしても「金のにおい」を感じてしまうのだ。
買わなければ良いというのはもっともだが、フランカーには限定商品も少なくない。
フランカーの方がオリジナルよりも人気が出ることもある。
ここにフランカーの狡さを感じるのだ。
数打てば当たるとか、「ほら、欲しいんでしょ」と言わんばかりに足元を見られている気がする。
フランカーがローンチされる度に「またか」という思いがする。

そして何よりもそのブランドが自社の香水を大切にしていない気がするのだ。
香水は規制に対応したり、環境配慮のために香料を一部変えなければならないことはある。時代を少し先行く香りを作るための改良を施す場合もある。途中で調香師が変わってオリジナルの香調が変わることもある。
だが、香調を少し変化させただけのフランカーを数多く出すくらいなら、新しいオリジナルを作ってほしい。

私は自分が本当に愛するブランドにはフランカーを出してほしくないと思っている。
消費者のわがままだろうか。


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