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有機栽培への挑戦

連日報道される猛暑日には、山梨県の最高気温も話題になることも少なくありません。山梨は盆地と山地とで地形を成していますが、ブドウ畑は下がっている盆地の方ではなく、標高の高い丘陵地に位置すること、また山風のおかげで、心地よく作業ができています。

茅ヶ岳 山腹


先月14日付で三澤農場の区画の一部に有機JASの認証が届きました。まだまだ猫の額ほどの面積ですが、私たちにとっては大きな1歩です。

ワイナリーでは創業100周年を迎え、今年は例年と違ったリズムで月日が流れていきます。例年はブドウ畑で過ごすこの時期も、お客様にお声がけいただいてはあちこちへ飛び回る中で、101年という新たな道のりを踏み出すにあたり、グレイスワインの真髄である畑の取り組みとして、何か残しておきたかったという気持ちもありました。

畑への取り組みこそが大切であり、認証を取得することは目的ではないという声もちらほら聞こえる一方で、やってみなければ分からないことがたくさんありました。
認証を得たからと言って、それを売り文句にするつもりはありません。醸造家である私自身の生き方がワインに反映されていることを願いながらも、お客様にはこれまで通り味で選んでいただきたいと思っています。

茅ヶ岳 山中

有機栽培の挑戦を始めた2016年。少しずつ有機栽培へ転換を進めていくうち、私の意識も変わっていきました。
当初は、梅雨や秋雨のある日本で有機栽培を行うことのリスクや、あくまでもクオリティとのバランスを考えると、一つ一つ慎重に決断せざるを得ませんでした。しかし、今は、「(農薬や殺虫剤の使用を控えることで)自身の畑がダメージを受けることよりも、産地の環境が破壊されてしまうことの方がもっと恐ろしい」という、ブルゴーニュの醸造家、マダム・ビーズ・ルロワの言葉を理解できるようになった気がします。
有機栽培に挑戦を始めてから、実際に申請し認証を受けるまでの7年間は、私の醸造家人生にとっても大切な過程となりました。
現在は有機栽培区を拡大するべくさらなる課題と向き合っています。

茅ヶ岳から見る三澤農場

他にも、当ワイナリーでは環境に配慮する取り組みの一つとして、12年程前、スクリューキャップ導入とともに、軽量ボトルを採用しています。
輸出量が生産量の4割に迫る中、輸送時の二酸化炭素排出量を抑えるため、ボトルメーカーと協議をしながら、より軽量化したエコボトルの使用を目指しています。

2010年ヴィンテージから軽量ボトルを採用

SDGsが大きく推進されるようになった反面、自然「風」、オーガニック「的」なものが溢れ、自然やオーガニックという言葉があまりにも安易に使われてしまう時代にもなりました。
うわべだけの環境訴求「グリーンウオッシュ」にならないよう、まっとうとは何かをこれからも追及していきたいと思っています。

◆ワインショップ 今月の休業日◆
7月23日(日) 、30日(日)

※7月16日(日)は営業いたします。
本日『セレナ エクストラ ブリュット2019』リリースとなりました。是非遊びにいらしてください。

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