見出し画像

2020年の収穫と土着酵母

8月末にスパークリングワイン用シャルドネから収穫が始まった収穫も、11月の秋晴れの下、無事終えることができました。
収穫のお手伝いをいただいた皆さまにはありがとうございました。

現在は、発酵を終えたワインたちをタンクや樽へ移し、静かに静まり返った醸造所で貯蔵されています。

今年、私たちは日本のワイナリーで初めて、畑での醪(もろみ)製造免許を取得し、ブドウ畑の土着酵母を使ったワイン造りがスタートしました。

ブドウは、他の酒類の原料とは異なり、酵母を添加せずとも発酵を始めます。発酵を確実に行うため、市販の酵母を使用することも一般的ではありますが、酵母を添加しない場合は、発酵している酵母が蔵に住みついている酵母なのか、もともとブドウに付いていた酵母なのかが分からず、海外で経験したように、ブドウに付着している純粋な酵母で発酵をさせてみたいと考えていました。

ついに、その酒母づくりが現実のものとなったのです。

土着酵母


ふと、2005年に果汁の酸化を防ぐ炭酸ガスの使用が認可されたときのことを思い出しました。世界を見ても、使用が認められていないワイン産地は無く、白ワインの醸造に欠かせないドライアイス。
国や税務署の指導をいただきながら、父や社員が日本のワイン産業の発展を願い、その許可に向けて奮闘したときのことを思い出しました。

柳宗悦氏のご著書『手仕事の日本』には、半島とは異なる、島国ならではの自然の豊かさや、農村で手堅く親切に造られる日本人の手仕事が謳われています。そして、作者の名前を誇るのではない、品物自身の力で勝負する職人の技が「正しい美しさ」という言葉で表現されています。

手仕事の日本 (2)


今年は、新しい生活様式の中で、地方の重要性も強調されるようになったことからも、この風土・手仕事・正しい美しさを追求し、固有のワインを造りたいと挑んだ醸造期となりました。ブドウ畑の土着酵母も、風土の味わいを表すための挑戦のひとつでした。
話題性はなくても、老舗も挑戦を続けています。

メルロ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?