子供時代【7】理不尽な怒りをぶつけられる
ある時、継母が私たちに、怒りの形相で、こんなことを言いました。
「あんたたちのお父さんは、私の貯金100万円を取り上げて、宗教団体に寄付してしまったんだよ」と。
外面がよく、世間体を気にする見栄っ張りの父は、大切な家族のお金を、平気でそんなことに使っていたのです。
家族5人は、2万円の6畳2間の狭い団地に住み、宗教団体には100万円も寄付するなんて、どう考えても、間違ったお金の使い方だと、大人になった今なら思います。
でも、そんなことを言われても、子供だった私たちにはどうしようもありません。
父親に向けるべき怒りの矛先を、私たちに向けるのは、理不尽です。
しかし継母は、父に言いたいことが言えず、逆らえないから、こうして私たちに怒りをぶつけてくるのです。
そして離婚したいとも言えないから、私たちに言わせようとしたのです。
お金を取り上げられるのが嫌なら、全力で拒否すればいいじゃないか。
離婚したいなら、それを自分で、言うべきじゃないか。
子供の頃は、わからなかったけれど、継母は嫌なことや面倒なことをやりたがらない、「逃げ癖」のある、厄介な人なのでした。
今にして思えば、まだ10歳頃の小さな子供だった私たちは、こんなふうに人の弱さ、汚さ、冷酷さ、残酷さを、リアルに見なければならなかったので、かなり過酷な環境で育ったと思います。
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「弱くてずるい人たち」
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