文脈を捉える?
今回の投稿は『グラフィックレコーディング2 Advent Calendar 2019』の記事です。
1年のふりかえりでも書こうかと思ったけど、あまり面白いものが書けそうにないので、ここ最近気になっていることを書くことにした。
とは言え、これも面白いという保証はないけれど。
(ついでに言うと「です」「ます」もやめた。)
文脈を捉えたい
2019年は「絵で伝えること」に試行錯誤をしていたように思う。
もう何年もグラフィック・レコーディングを描いてきているので、絵で伝えているでしょ?と思われるかもしれないけど、描いている本人は絵を活かしきれていないなぁ、と感じている。
一言で言うと「文脈を捉えられていない」ということなんだけど、これがなかなか伝わらない。
なので、そのあたりのことを書いていきたいと思う。
単語を捉える
まず、グラフィック・レコーディングを始めたばかりの頃は「単語→絵」に変換するので精一杯だ。
テキスト情報にアイコンが添えられている感じ。
例えば「会議にグラフィック・レコーディングを取り入れたい」という相談を描きながら聞いていた場合、とりあえず「あー、会議の話ですね。」と、自分の頭の中にある「会議」を意味するアイコンを描いてしまう。
会議
その後、聞きこんでいった情報がテキストで追加されていくため、全体として文字の多いグラフィックとなる。
文章を捉える
もう少し心に余裕が持てると「文章→絵」に変換できるようになってくる。
例えば「なかなか意見が出なくて、議論にならず困っている」という情報が出てから描き出せると、「会議で意見が出なくて困っている」"状況"を描くことができる。
また、「1 対 多」の構図では丸テーブルより四角いテーブルで描いた方がイメージに合う場合もある。
会議で意見が出ない
ここで言う「心の余裕」は、「感情・動き・関係性」などを表現する絵の引き出しが増えてくると自然に出てくると思う。
文脈を捉える
では「文脈→絵」に変換するにはどうしたらいいのか?
ぶん みゃく [0] 【文脈】
① 文における個々の語または個々の文の間の論理的な関係・続き具合。文の脈絡。コンテクスト。 「前後の-から意味を判断する」
② 一般に、すじみち・脈絡。また、ある事柄の背景や周辺の状況。
(weblio辞書)
ここでは「表現するチカラ」に加えて背景や状況を聴き取る「聴くチカラ」が必要だ。
誰の目線で話しているのか?話し手の主観なのか?客観なのか?グラフィッカーの判断を保留し、思い込みを排除して聴いて、相手の話を深掘りしていく。
相手から背景や状況の説明が出てくるのを待つか、出てこなければ「どうして意見が出ないんでしょう?」「例えばどんな様子ですか?」「具体的には?」といった問いを投げかける。
そのようにして困りごとの本質に近づいていく。
そこで得た情報の違いによって、様々な「会議で意見が出なくて困っている」状況を描くことができる。
(中には「それ、グラフィック・レコーディング取り入れる前に全体の建付を考え直しましょうよ」という場合も。)
例えば…
声が大きい人の意見しか通らない
リーダーが一方的に話している
質問の意図がわからない
等々。
議論や対話の場ではこのぐらいの粒度で文脈を捉えて描いている。より伝わる絵を描くために、ある程度情報を貯め込んでから描き始める。
貯め込んだ情報からイメージが固まってきたら、手はアウトプットをしつつ耳は次の情報を貯めることに向ける。
来年に向けて
議論や対話の場に対して、カンファレンスやワークショップなど人数の規模が大きくなる場で描くときは、もっと紙全体で文脈を表現したい、ストーリーを伝えたいと思っている。
冒頭の「描けていない」と感じているのはこの部分だ。
話し手が伝えたいことやワークショップ主催者の想い、あるいは場の変化が、遠目から見て全体で雰囲気が伝わり、近づいて見てそれぞれ何が起こったかがわかるようなグラフィック、見た人に体験として持ち帰ってもらえるようなグラフィックを描きたい。
そういうものを描くためには、事前準備が必要だし、メタファーを用いたり、表現の幅を広げていく必要があるのかな。
多分、絵を描くことの必然性や嬉しさを模索しているのだと思う。
来年もまた、試行錯誤をしていくのだろう。
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