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SDGsへの取り組みを評価する

ビジネスの世界でサステナビリティは企業の持続可能性について語られることが多かったですが、いまはもともとの用語であった環境保護活動を含む地球全体の持続可能性の意味で語られることが多くなりました。

ボルドリッジでも、当初、ビジネスの世界の意味でサステナビリティという用語を用い、主要用語集にも掲載されていました。しかし、この用語の意味の広がりにより、混乱を避けるため、現在では、サステナビリティ(持続可能性)という表現は用いず、「現在および将来の成功」という表現に代えています。用語集からも削除されました。

用語集の項目の多くが更新され、用語「持続可能性」が用語集および審査基準の要件から削除されました。文献における持続可能性という用語の多くの用途は、全体的な組織の持続可能性(ボルドリッジの使用法)から環境の持続可能性(一般的な使用法)まであり、継続的な混乱の原因となっていました。ボルドリッジでは、「現在および将来の成功」という、組織の必須事項であるよりシンプルな用語を選択しました。
Baldrige ”Changes from 2013-2014 Criteria”より 。翻訳筆者

週刊東洋経済7月3日号に「特集SDGs 日本を代表する500社」があり、興味深く読みました。企業のSDGsへの取り組みを人材活用、環境、社会性、企業統治の4つのカテゴリーで挙げた独自の評価項目で評価して順位付けしています。

先日、サステナブル・ラボ社(SusLab)というベンチャー企業が、各社の財務情報やCSRレポートなど公開された情報をビッグデータとしてAIによりSDGsへの取り組みを順位付けしているのをデモで見せてもらいました。「テラスト」というデータベースでその結果を見ることができます。

東洋経済の特集記事にも紹介されていますが、世界的にはダボス会議で公表されている「世界で最も持続可能な100社」で世界の大手企業を順位付けしています。こちらは、環境、社会、リスクマネジメント、ガバナンスの状況について20以上の項目で評価しています。

いずれもSDGsの取り組みを評価したものですが、評価項目・指標が異なるために、例えば上位数社を比べてみても、必ずしも一致しません。

登場する企業にとっては、自社の順位よりは、自社に何が足りないかを確認することに活用するほうがよいようです。

特に、東洋経済の特集については、人材活用では例えば、女性管理職比率、女性役員比率、男性の育児休暇取得率、退職した社員の再雇用制度の有無、など、まさにいま重視されている項目が90項目具体的に挙げられ、それぞれにポイントを与えて集計しており、こうした項目から、社会要請を理解して自社の取り組みに活かすことができます。名前の挙がっていない企業にとっても同様です。

項目を眺めていくと、例えば、人材活用については、上に挙げた項目などまだまだ数の上でのダイバーシティへの取り組みが重視されている(=遅れている)ことがわかります。

ダイバーシティについては、ダイバーシティ&インクルージョン、あるいは、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンとセットで語られる場面を多く見かけるようになりましたが、多くの企業にとってはまず、ダイバーシティが課題であることがわかります。

ボルドリッジでも、2021-2022年版からダイバーシティに加えて、エクイティ、インクルージョンが重視されるようになりましたが、それは米国が進んでいるということではなく、それが課題として認識されてきたことを示しています。

どの評価基準を採用するにしろ、こうした基準を鏡として自組織の状況を把握して、より良い方向に改善していくというふうに進んでいくことを期待します。



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