見出し画像

安心してイノベーションを起こせる場を作る

  ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークあるいはその要約版、ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダーの質問から、経営幹部のリーダーシップについて見ています。

 「1.1経営幹部」(p7)の4番目の質問「(4)経営幹部は、現在および将来の成功のための環境をどのように創っていますか?」が、イノベーションのための環境づくりについても確認しているとして、その一例を見てみました。

 「イノベーションのDNA」(クリステンセン、ダイアー、グレガーゼン、2011(邦訳は2012))を見ていたら、第10章「イノベータDNAを実践する-哲学」というタイトルで、イノベーションのための環境の条件について書かれていました。覚書とします。

イノベータDNAを実践する-哲学
1.イノベーションは全員の仕事。研究開発部門だけの仕事ではない
2.破壊的イノベーションにも果敢に取り組む
3.少人数の適切な構造のイノベーション・プロジェクトチームを配備する
4.イノベーションの追及においては「スマート」リスクをとる

 イノベーションを全員の仕事とするには、まず、安心してイノベーションを起こせる場をつくることが重要である。チームの全員が進んで意見を述べ、リスクを取り、実験をし、過ちを認めても罰せられないような状態(心理的安全)をつくる。
 このためには、質問を歓迎し、社員が発見力を活用したらその場で褒める。さらに社員にイノベーションに専念する時間を与える。これには、3Mの15%ルール、グーグルの20%ルールがよく知られています。

 破壊的イノベーションにも果敢に取り組むにことは、抜本的に新しい事業や画期的なイノベーションの開発にも資源配分・時間配分を行うこと。ここでも25%以上という目標数値が示されています。

 イノベーションの追及において「スマート」リスクをとることは、ボルドリッジでいう「インテリジェントリスク」とほぼ同義です。ただボルドリッジではリスクを評価しインテリジェントであることを判断してそのリスクを取りますが、「スマート」リスクは、発見志向型の人材を採用、育成し、社員の質問、観察、ネットワーキング、実験、関連付け(5つのDNA)を後押しするようなプロセスを制度化すること、すなわち、質問を投げかけ、必要な観察を行い、多様な人と話をし、適切な実験を行うことでイノベーションに固有のリスクを軽減します。

 失敗する際も「良い失敗」を奨励します。それは(1)失敗した原因が解明でき、次のプロジェクトに役立つ知識が得られること、(2)早い段階で起き、それほど深刻な過ちではないため、ブランドを損なわないこと。
 失敗を失敗と認めること(それが許されること)で、そこから学ぶことができます。

★★

 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダーは日本語で読むことができます。
 「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトから無償でダウンロードできます。
 ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。英語版とページ、形式を合わせてあり、対訳版としてもご欄いただけます。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?