100点満点の世界から抜け出す

 例えば、テストでは主要五科目それぞれ100点満点なので、全体の点数を上げようとすると不得意な科目、例えば数学を一所懸命勉強してその点数を少しでも上げなければいけなません。なぜなら、例え英語が得意でも、それをいくら勉強しても100点を超えることはない、150点にはできないからです。総合点を上げるには、ほかの不得意な科目も頑張って点数を上げるしかありません。

 こうした100点満点の世界で競争(例えば受験競争)に勝つやりかたが染みついているため、改善、すなわち、悪いところ弱いところを直すことに力を注ぐことが習慣になっていました。

 でも本当は社会に出たら少し様子が違っています。苦手なことは頑張っても普通、「並」になるのがせい一杯ですが、好きなこと得意なことはどんどん伸ばせます。「一流」になり、さらに努力すれば「超一流」にもなることができるのです。
 「一流」が100点とすれば、「超一流」はそれを遥かに超えて上限がありません。
 苦手なことは100点をとれなくても、得意なことを磨けば、100点を遥かに超えて200点、300点となり、総合点では優位に立つことができます。

 ビジネスも同じ。弱みを改善するのでなく(それはそれで必要ですが)、強みをさらに強化(向上)することで、他との差別化になります。「一流」を磨いて「超一流」にすることで、お客様から選ばれるのです。
 また、ビジネスであれば、不得意な部分はそれが得意な組織に任せれば、全体ではさらに強くなれるのです。それが協働です。

 ボルドリッジでは、強みと改善の機会を特定し、強みを活かして改善に取り組みます。ここでいう「改善」は原語は improvement で、悪いところ弱いところを直す(マイナスをゼロにする)というより、現在よりもより良くする(+プラスを++ダブルプラスにする)という意味で使われています。
 「強み」に対するものを「弱み」と言わずに「改善の機会」と呼ぶのもこのためです。

 体に染みついた100点満点の世界から抜け出て、弱みの克服でなく、強みの強化に力を注ぐことが重要と気づきます。

 ボルドリッジ(ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク)は、改善のヒントを示してくれます。
 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国政府のウェブサイトからダウンロードできます。
 下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。英語版とページ、形式を合わせてあり、対訳版としてもご欄いただけます。












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