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愛する人に嘘をつかれていたことを知らない悲しみ。

初めて結婚した相手は、少し年上だったけどリーダー性のある男性で、私の一目惚れだった。

でも、当時は連絡先も知らない。

毎週同期とお疲れ様会と称してとあるごはん屋さんに行って、そこで見かける程度だった。

色々、常連さん同士で話をするようになり、ゆっくり時間をかけて恋愛関係となり結婚した。


私は、幸せな結婚生活を幼少期に見ていなかったこともあり、不安だった。

両親みたいに顔を合わせれば喧嘩。

物が家中を飛び交いあった。

私は、布団の中で早く収まれと静かに泣いていた。



でも、結婚生活は幸せだった。
愛する人が毎日隣にいる生活。
こんなに幸せなんだ。
ただ、そう思っていた。

大変だったけど、こんな日が永遠に続けばいいとさえ思っていた。


しばらくして妊娠、出産した。


育児休暇を取っていたので、いつものように家事をこなして、主人の部屋の掃除をした。


テーブルの上に、初めて見る使い古した手帳が置いてあった。

見てはいけないそんな気持ちもした。
でも、何気なく、手を伸ばしてしまった。



そこには、日本語ではない書体の一文が書いてあり、横にはとある国の住所と思われる分が記載してあった。



もうどんな書体だったかとかも思い出せない。


けれど、当時はスマホで翻訳した。



そこには、目にしたくないものが書いてあった。


「君のことも、君の子供のこともずっと愛している」


一瞬。


これまでの人生でこれほどまでに心臓が動くであろうかというほどに、ざわざわと嫌な女の勘が巡り巡った。


それからは、幸せという時間から一気に生地獄へと突き落とされることとなる。

つづく