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「誰もが自分らしくワクワクする人生」を。ソーシャルベンチャー代表の信念と経営改革

「誰もが自分らしくワクワクする人生」を目指して。14年間で感じた変化

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2017年4月、新たに掲げた「第二創業期」。企業理念である「GP CREDO(以下、クレド)」やロゴを一新してまで伝えたかった当時の僕の想いは、”ソーシャルビジネスをもっと生み出そう”というものでした。

2003年に会社を起こしてから14年間、「障がい者の良き認知を広める」というミッションのもと走り続けてきました。その中で僕が大きく感じていたのは、「障がい者」や「社会問題」という言葉の意味の広がりと、ソーシャルベンチャー自体の可能性です。

創業当時、「障がい者」という言葉は主に身体障害者や知的障害者のことを指している、“わかりやすい”言葉でした。

それが14年経つと、精神疾患のある方や発達障害の方たちもカテゴライズされるなど、「障がい者」という言葉の捉え方が変わっていきました。引きこもりや不登校、ホームレスの方についても、障がいが問題のもとになっているという声を聞くこともありました。

そんな中で、会社全体を「障がい者雇用を支援する会社」から、広く「社会問題を解決する会社」に変えたんです。

また、この14年間で感じたのは、「社会問題を解決しながら仕事として携われる、こんな幸せなことはないだろう」という感覚です。創業から14年間やってきたけれど、とにかく楽しいんですよね。

楽しかったから、こういう働き方をもっと増やしたかったんです。やりがいもあるし、時代を動かしているんだという感覚、それによって笑顔の人が増えていっているとダイレクトに感じる機会がこれまでに何度もありました。

一方で「社会問題はそんな生ぬるいもんじゃない」そういう声ももちろんありました。でも、僕は「やらないよりはマシなんじゃないか」「僕らが動いてることで少しでも変わっているはず」と信じているし、小さな一歩でも前に進んでいれば、社会全体は前進していると思っていたので、走り続けられたんです。

われわれのサービスがオープンしただけで、希望をもらった、勇気がでた、という声をもらいました。その人たちの後押しにもなっていました。

僕は、障がいのある方は世の中から「できない」という否定的な意見や、「かわいそう」という同情などの、“負”のイメージを負って生きていて、そのイメージこそが社会進出を阻んでいると思っていて。そういうものを払拭したいんです。

僕たちの活動を通じて、障がいのある方々がその有無に関わらず仕事にいろんな選択肢を手に入れ、拒まれず、正当に評価される。「障がいがあります」ということを堂々と言える……。

そんな「自分が自分らしく、ありのままで生活できる人生を生きられる」 という状態は、社会がそれを受け入れ、差別や偏見がないということなんじゃないのかなと。そんな想いをGPのビジョン「誰もが自分らしくワクワクする人生」に込めています。


自転車の両輪のように、ビジネスと社会問題を回していくことの難しさ

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GPでは、ビジネスとして「社会問題を解決する」ことでビジョンを達成していきます。ではなぜ、社会問題を解決することで目指そうとするのか。それは、「誰もやらないから」ということでもあるんです。

2003年に障がい者雇用支援事業を始めたときもそうでしたが、「第二創業期」を掲げた2017年にも、ソーシャルビジネスはもっと流行ると思っていました。「こんなに楽しいのだからみんなやるだろう」と。でも、全然広まっていなかった。

やらない理由が気になり色々と調べてみると、ソーシャルビジネスは“難しい”と思われていることがわかりました。

自転車の前輪と後輪のように、社会問題解決とビジネスが、両方同じ大きさで回っていく難しさがあり、だから他の会社もやらないんだなと。

ところで、内閣府が毎年発表している「子ども・若者白書」をご存知でしょうか。平成26年版の白書にあった、日本を含めた先進国7カ国の13歳から29歳に取ったアンケートの結果に、僕はかなり衝撃を受けました。

日本の若者の自己満足感や自己効力感が、他国に比べて顕著に低かったんですね。「日本が良くなることをしたい」と思っている人が一定数いる中で、「自分で何かを変えられる」と思っている人は少ない。

これをソーシャルビジネスに当てはめたときに、「こういう仕事をやりたいんだけどできない」「やりたいとは思っているけどそんなの無理だよね」と感じてしまっている状態なのかなと読み取れました。

ソーシャルビジネスを14年間やってきたノウハウがあるGPと、ソーシャルビジネスをやりたいができないという人たちがいる。じゃあうちがやるしかない、もっとそういう人を仲間にすれば、いろんなことができるんじゃないかと考えました。


第二創業期という変革から3年間。変わったこと、変えられなかったこと

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今でこそかっこいいロゴやモチーフを使っていますが、実は「第二創業期」を掲げる前のロゴは、僕がつくったものだったんです。しかし「第二創業期」を機にビジョンに沿ったデザインをプロに頼むことにしました。

そうすることで、ロゴもクレドも本当にかっこよくなったんです。「社会には多様性だったり、いろんな問題があったりするよね。そういうことに関わる人、一人ひとりが手を組みやすくなればいいよね」という想いをロゴに組み込みました。

想いを表現ができてからの大きい変化として、「GPに入りたい」と言ってくれる人がすごく増えて。これはやっぱり、「GPはこういう会社です」というのを、ロゴやクレドで伝えられたからじゃないかなと感じています。

一方で、「第二創業期」よりも前からいた社員との摩擦も少なからずありました。

「軽やかになっちゃったのがやりづらい」「前のビジョンのほうが好きだった」と。ただ、辞めた人よりも入りたいという人がはるかに多かったので、結果として「クレドが好き」という人は増えました。

障がい者雇用という文脈でも、この3年間では新しい取り組みがかなりできました。サービスのバリエーションも増やしましたし、就職・転職前後のタイミングにもアプローチできるようになっています。取り組んできた数はとても多く、そういった機運、チャレンジしていることは、振り返ってみるとたくさんありましたね。

しかし障がい者雇用“以外”の領域はなかなかハードルが高く、当初僕が描いていたよりも変化が少ないです。

シングルマザーに向けた支援サービスや、病気や障がいのある子ども向けの応援グッズサービスなど、いくつか子会社は立ち上がっているのですが、もっと起業家や実業家は増やしたい……。これからの課題のひとつだと考えています。


進むことで新たに見えてきた経営課題。「クレド改革」に込めた想いと施策

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2017年に掲げた「第二創業期」から3年が経ち、新たな経営課題が見えてきました。

先ほど「自転車の前輪と後輪のように、社会問題解決とビジネスが、両方同じ大きさで回っていく難しさがある」と言いましたが、GPはここ3年、後輪のビジネスの色が強くなっていました。

会社の売上や利益に意識がぐっとよったため、目的がぼんやりとしてしまったんです。社員にはどこか働きづらさを感じさせてしまったかもしれません。

実際に、社員がクレドを忘れた会社に失望して「言ってることとやってることがちがう」という声があり、退職した人もいました。

そんな中、GPはこの経営課題を乗り越えるため、「クレド改革」を進めていきます。

「クレド改革」はひと言で言えば、「クレドをもっと体感・体現できるような会社に変える」ということです。

社員一人ひとりが「私たちは何を解決しているのか」をより明確に理解した上でワクワク働ける環境をつくります。また、「社会問題解決とビジネスの両輪を回す」という原点に立ち返ることも目指しているんです。

その上でカルチャーも醸成していきます。クレドに「やってみよう、楽しもう」というカルチャーを掲げているからには、挑戦できる会社にしていかなければなりません。

まずは挑戦する土壌として、時間をつくりたいなと。今の仕事に100%の時間当てていては、新しいことに挑戦というのは無理難題ですよね。だからたとえば、制度として今の仕事に当てる時間を80%にして、20%の時間を「やってみよう、楽しもう」に当てられるようにしたいんです。

チームでトライアンドエラーができる環境をつくり、挑戦自体をみんなで褒め称えあえるような組織体制を考えています。「このチームがこんな挑戦をして、こんな結果が得られました」「失敗しちゃったけれど、こんなことを学べました」とどちらも褒め合えるような環境です。

GPで働いている人たちは一人ひとりが魅力的だし、問題意識も強いと感じます。僕も含めたみんなが「やってみよう楽しもう」を実現していけば、ものすごくおもしろい会社になる。結果として社会全体に、社会問題に向き合う人が増えていく力になっていくと信じています。

僕たちゼネラルパートナーズがおもしろい会社・強い会社になれば、それは世の中に良いものを還元できているという指標のひとつになるはずです。2020年の「クレド改革」で僕らが力をつけて、もっともっと社会に良い影響を与えていきます。


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