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精神障がい者の入社後の相談体制に関する再分析


こんにちは。ゼネラルパートナーズです。

今回は、「精神障がい者の入社後の相談体制に関する再分析」をお届けします。

精神障がい者の新規求職申込件数および就職者数は年々増加していますが、一方で、多くの企業が入社後の定着に課題を感じているようです。

こうした中、2015年9月に実施した『精神障がい者の入社後の相談体制に関する調査』によれば、「社内に障がい者が相談しやすい雰囲気がある」という企業ほど、「精神障がい者の定着が上手くいっている」という傾向が見られました。


そこで、同調査のデータをもとに、相談しやすい雰囲気を作るためには何が必要かを明らかにするため、再分析を実施しました。


対象者:企業(障がい者採用ご担当者)
実施方法:インターネット調査
アンケート期間:2015/9/8~9/17(有効回答者数:113名)


■再分析の内容

社内の相談体制の一つに「人事や上司による面談」が、社外の相談体制の一つに「支援機関の職員による職場訪問」があります。

これらへの取り組み方が、障がい者が相談しやすい雰囲気を作るうえで、どのように関係しているのかについて分析しました。

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1.「相談しやすい雰囲気」と「人事や上司による面談」「支援機関の職員による職場訪問」の相関係数

入社後の相談体制2


「人事や上司による面談」「支援機関の職員による職場訪問」について、障がい者が相談しやすい雰囲気との相関分析を実施しました。その結果、人事や上司との面談を『定期的に』実施している、および、支援機関の職員による職場訪問を活用している、という回答のいずれにおいても正の相関が見られ、相談しやすい雰囲気があると回答している企業ほど、これらに取り組んでいることが分かりました。

これらの結果は、精神障がい者が相談しやすい雰囲気を作るためには、相談の場の積極的な提供が有効であることを示唆します。障がい者からの相談を待つという体制ではなく、課題の有無に限らず『定期的に』障がい者との面談の場を設定することが効果的だと言えます。

また、社外の支援機関の職員による職場訪問が「相談しやすい雰囲気」に繋がっていることからも、背景として、精神障がい者が職場での困り感を主体的に相談することの難しさがうかがえます。


2.「人事や上司による面談」の実施状況と「支援機関の職員による職場訪問」の活用状況との多重比較

入社後の相談体制3


「人事や上司による面談」の実施状況と「支援機関の職員による職場訪問」の活用状況について多重比較を実施しました。その結果、面談を『定期的に』実施している企業の方が、『期間は定めず都度』実施している企業や、実施していない企業よりも、支援機関の職員による職場訪問を積極的に活用している傾向が見られました。

このように、社内で相談できる体制を作っている一方で、社外にも相談できる体制を作っていることを鑑みると、支援機関の職員による職場訪問を、社内の相談体制の補完として活用しているものと思われます。


3.「支援機関の職員による職場訪問」における支援の必要の有無

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2の結果を踏まえ、企業が支援機関の職員による職場訪問に何を求めているのかを分析しました。その結果、「健康管理や生活リズムの構築に関する精神障がい者への助言」「人間関係や職場でのコミュニケーションを改善するための支援」を必要と考える企業が多かった一方で、「職場の障がい者への理解や配慮を促すための支援」「仕事の進め方に関する精神障がい者への助言」「仕事内容の設定や指導方法に関する助言」を必要だと考える企業は半数を下回りました。このことから、社外の支援機関に対しては、社内だけでは対応しにくい「健康や生活面でのアドバイス」や「第三者の立場での職場内の人間関係やコミュニケーションの調整」などが求められているものと推察されます。

以上の結果より、相談体制については、社内・社外のどちらか一方のみあれば良いということではなく、社内での定期的な面談を軸とし、補完として社外の支援機関による面談を活用することが、相談しやすい雰囲気を作り、職場定着へつなげていくために重要だと思われます。


まとめ



障がい者が相談しやすい雰囲気があると回答している企業ほど、以下の2つの取り組みを積極的に行なっている

・人事や上司による面談を『定期的に』実施している
・支援機関の職員による職場訪問を活用している


人事や上司との面談を『定期的に』実施している企業の方が、『期間は定めず都度』実施している企業や、実施していない企業よりも、支援機関の職員による職場訪問を積極的に活用している傾向がある


支援機関の職員に求めることとして、以下の2つの支援をあげる企業が多い

・健康管理や生活リズムの構築に関する助言
・人間関係や職場でのコミュニケーションを改善するための支援


※より詳細な調査結果については、「調査Report」をご覧ください




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