【新NISA】日本で発売されている投資信託でコロナショック時の暴落率を計算してみた。(S&P500と債券の組み合わせで)〜前編〜
要約
日本で販売している投資信託でコロナショック時の下落率を計算してみました。S&P500をインデックスとする投資信託とハイイールド債、国際債券の投資信託を組み合わせたポートフォリオで計算した結果、「S&P500とハイイールド債」と「S&P500と国際債券」を組み合わせたそれぞれの10年間でのトータルリターンは、3.62倍、3.39倍。コロナショック時の減少率は、32.0%、27.7%でした。
コロナショックののような暴落リスクを考えた場合、ハイイールド債の投資信託は、格付けが高い国際債券投資信託よりも効果的でないことがわかりました。
1.イントロダクション
2024年に新NISAが始まりました。You tubeでバブル時のリスクヘッジを説明しているチャンネルを見かけます。このようなチャンネルでのシミュレーションは、"Portfolio Visualizer"(https://www.portfoliovisualizer.com/) でのシミュレーション結果を示しています。このシミュレーションで分散投資が大事だなってことは、理解できます。ただ、このシミュレーションは、アメリカドルでの試算なので、日本円でどの程度の暴落して、中長期投資でのリターンがどの位になるのかは、わかりません。
私は、新NISAで「三菱UFJ-eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を買っているのですが、成長投資枠で債券を買うことを考えています。債券の候補は、「三菱UFJ-eMAXIS Slim 先進国債券インデックス」と「SBI-SBI・iシェアーズ・米国ハイイールド債券インデックス・ファンド(愛称:サクっと米国ハイイールド債)」です。
2.データセット
どうせ、シミュレーションをするのであれば、長期間のデータを持つ投資信託で計算したいと思いました。というのも、ポートフォリオごとの平均年利も知りたいですし。上記の3つの投資信託は、設立から5年程度なので、SBI証券が提供している10年程度の基準価格データがある投資信託でポートフォリオ分析をしてみました。
この分析に使用した投資信託は、以下の3つです。
ブラックロック-iシェアーズ 米国株式(S&P500)インデックス・ファンド(基準価格データ:2013/9/3以降)→【略称S&P500】
※「三菱UFJ-eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の代わり
※どちらも「S&P500」をベンチマークとする投資信託です。
ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国債券インデックスファンド(基準価格データ:2013/12/10以降)→【略称FTSE】
※「三菱UFJ-eMAXIS Slim 先進国債券インデックス」の代り
※どちらも「FTSE世界国債インデックス」をベンチマークとする投資信託です。
フィデリティ-フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド(資産成長)D(Hなし)(基準価格データ:2013/5/23以降)→【略称High_Yield】
※「SBI-SBI・iシェアーズ・米国ハイイールド債券インデックス・ファンド(愛称:サクっと米国ハイイールド債)」の代り
※どちらも「ICE BofA USハイ・イールド・コンストレインド・インデックス(円換算)」をベンチマークとする投資信託です。
3.試算の前提条件と評価項目
試算の前提条件
投資額割合
S&P500:債券投資信託(FTSE, High_Yield) =2:1
試算したポートフォリオ
S&P500:100%
FTSE:100%
High_Yield:100%
評価項目
10年間(2014ー2023)のトータルリターン
10年間(2014ー2023)の平均年利
コロナショック時の基準価格の減少率
4.試算結果
分析結果は、このようになりました。
4.1 10年間の基準価格推移
図表.1は2014年から2023年までの各ポートフォリオの基準価格の推移を示しています。どのポートフォリオでも2020年3月頃に基準価格が大きく落ち込んでいます。コロナショックですね。コロナショック後は順調に戻してますが、2022年は一進一退の値動きになっています。ウクライナ侵攻の影響ですね。やはり、株価に対して戦争の影響は大きかったことがわかります。その後の2023年は、すごい勢いで上昇しています。
評価項目の
「10年間(2014ー2023)のトータルリターン(基準価格比)」
「10年間(2014ー2023)の平均年利」を図表.2に示します。
トータルリターンが10年で4.88倍(平均年利;15.14%)になっているS&P500がすごい。
「S&P500とハイイールド債」、「S&P500と外国債券(FTSE)」のトータルリターンは、それぞれ3.62倍、3.39倍ですが、平均年利(10年)は、11.21%、11.61%で大きな差がありませんでした。
4.2 コロナショック時の債券のリスクカバー
次に、コロナショック時の基準価格の推移を見てみましょう(図表.3)。図表4には、コロナショック時の減少率データを示しています。
2020年の2月下旬から3月下旬にかけて、基準価格が急激に減少しています。S&P500の最大基準価格は、34.1%減少しています。減少率を抑えるために債券を組み込んだ
「S&P500とハイイールド債」、「S&P500と外国債券(FTSE)」は、それぞれ31.99%、27.69%でした。「S&P500とハイイールド債」はS&P500の減少率を抑えきれていません。
ハイイールド債は、S&P500と同じような基準価格推移であり、この傾向はコロナショック時も同様でした(減少率;24.79%)。一方で、外国債券(FTSE)は、10年間でのトータルリターンが低く、コロナショック時の基準価格変動も5.05%と小さかったことが、コロナショック時の減少率を抑えられた原因ですね。
5.結論
以上の資産から、国際債券をポートフォリオに組み込もうと思います。理由は、暴落時の下落率を抑えられこととトータルリターンが試算前に思っていたよりも多かったことです。
次回予告
国際債券のポートフォリオ比率の検討をしてみましたので、その結果を報告する予定です。
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